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【初心者向け】Kubernetesとは?
特徴や機能、導入メリットを徹底解説!

 2025.09.18  株式会社電算システム

近年のアプリケーション開発環境では、コンテナ技術を採用するケースが多く見受けられます。コンテナは、時間帯ごとにサーバー数を増減できる高いスケーラビリティ性や、リソース消費量を最小限に抑えられるメリットが注目されていますが、その反面、OSごとに独立した環境を構築しなければならず、ホストが異なる場合は管理が煩雑化しやすいデメリットをあわせ持ちます。

そこで、コンテナの管理・運用を効率化するための仕組みとして、Kubernetesが注目を集めています。Kubernetesには、オンプレミスやクラウドを問わずマルチな環境で稼働でき、急激なトラフィックの変化にも対応しやすい特徴があります。そのため、これまで危惧されていたコンテナの課題にも柔軟に対応が可能です。

本記事では、Kubernetesの特徴や機能、メリットなどを詳しく解説します。アプリケーション開発の効率化や自動化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
本記事では、大規模言語モデルの特徴や仕組み、活用例、利用時の注意点などを解説します。これからAI関連サービスの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

Kubernetesとはコンテナの運用管理を効率化するためのオープンソースソフトウェア

Kubernetesとは、コンテナの運用や管理を行うためのコンテナオーケストレーションツールの一種です。もともとはGoogleによって開発され、その後オープンソースとして公開されました。

コンテナとは、アプリケーションの実行環境を仮想的に構築する技術であり、アプリケーションに必要な要素を一つの「入れ物」にまとめることで、移動や展開が容易になります。その結果、環境構築や運用の効率化を図れるのが特徴です。

ただし、コンテナの数が増えてくると、それぞれの状態の監視やスケーリング(規模の調整)、セキュリティ対策など、管理作業が複雑化します。そこで登場したのが、複数のコンテナを効率良く運用・制御できるKubernetesです。Kubernetesは、自動スケーリング機能やネットワーク・ストレージとの連携機能を備えており、コンテナ管理にかかる労力を大幅に軽減することが可能です。

Kubernetes・コンテナ・Dockerとの関係性

Kubernetesを理解するには、その基盤となっているコンテナやDockerの仕組み、あるいはそれぞれの関係性をしっかりと押さえておくことが重要です。コンテナやDockerの仕組みを紹介しつつ、Kubernetesとの関係性を解説します。

コンテナの概要とKubernetesとの関係性

コンテナとは、ホストOS上にアプリケーションやライブラリ、設定ファイルなどを一括してパッケージ化し、仮想的なアプリケーション実行環境を構築する技術です。アプリケーションが必要とする環境を仮想的に再現することを目的としています。

一方のKubernetesは、コンテナを効率良く運用・管理し、自動化を実現するためのオープンソースソフトウェアです。つまり、Kubernetesはコンテナそのものではなく、コンテナの運用を支援するツールで、コンテナ技術を最大限に活用するための役割があります。あくまでコンテナの利便性や拡張性を高めるための仕組みであり、コンテナの利用が前提となっています。

このようにコンテナは独立した技術として確立されていますが、Kubernetesはコンテナがあってはじめて役割を果たすものであり、それ単独での使用は想定されていません。したがって、両者を単純に比較することは適切ではありません。

Dockerの概要とKubernetesとの関係性

Dockerは、「コンテナ型仮想化」と呼ばれる仮想化技術を用いてアプリケーションを実行するためのソフトウェアです。一つのOS上に複数のDockerコンテナと呼ばれる環境を構築することが可能です。アプリケーションの実行に欠かせないライブラリやシステムツールなどをコンテナ単位でパッケージ化できるため、実行環境に依存することなく、迅速にアプリケーションをデプロイし、さまざまなコードを動作できるメリットがあります。

Dockerは、コンテナを使ってアプリケーションを動かすためのツールであり、現在ではコンテナ技術の事実上の標準として広く使用されています。コンテナを利用するという点ではほかの技術と共通していますが、DockerとKubernetesでは、動作する場所や用途に明確な違いがあります。

Kubernetesは、複数のマシン(クラスタ)上でコンテナを統合的に管理する仕組みであるのに対し、Dockerは主に単一ノード上でアプリケーションをコンテナに分離して実行するために用いられます。つまり、両者は利用シーンや目的に応じて使い分けるべき関係にあります。

Kubernetesの特徴と主な機能

Kubernetesには、ロールアウトの自動化やローリングアップデートなどのさまざまな機能が搭載されています。それぞれの機能を理解することで、Kubernetesの特徴やできることが見えてきます。以下で詳しく解説します。

ロールアウト・ロールバックの自動化

Kubernetesでは、コンテナの構成を管理する際に、デプロイ後の理想的な状態を記述した設定ファイルを用います。その際、現在のコンテナの状態を監視したうえで、その状態が設定ファイルに記載された理想の状態に近付くよう、段階的に変更を適用します。また、更新中に問題が発生した場合には、更新前の状態を記述した設定ファイルを用いてロールバックを実行できます。

Kubernetesを活用すれば、新しいコンテナの作成や既存コンテナの削除、新しいコンテナへのリソースの適用といった一連の作業は、すべて自動化が可能です。

ローリングアップデート

Kubernetesでは、新しいコンテナをリリースする際に、サービスを一時的に停止させて一度に切り替えるのではなく、段階的に更新を行うことでサービス停止を避ける手法が採用されています。この手法は「ローリングアップデート」と呼ばれ、旧バージョンのコンテナと新バージョンのコンテナを共存させながら、徐々に切り替えを進めていくことで実現されます。

アプリケーションや設定に変更を加える必要がある場合でも、Kubernetesはローリングアップデートにより段階的な更新が可能です。システム全体が一度に停止することを避けつつ、アプリケーションの状態を常に監視しながら、滑らかに新しいバージョンへと移行していく仕組みです。

サービスの抽出と負荷分散

Kubernetesでは、「ポッド」と呼ばれる単位でコンテナのグループを実行・管理しています。各ポッドにはラベルが設定されています。そして、Kubernetesの「サービス」と呼ばれる機能を用い、それぞれのラベルに一致するポッドを自動的に選択し、負荷分散を実施できるのが特徴です。

例えば、アプリケーションのコンテナ数が減少した場合でも、Kubernetesクラスタの内部および外部からリクエストを受け取り、該当するポッドへと接続できます。結果として、新たに増加したコンテナに対してリクエストが自動的に振り分けられ、負荷が適度に分散されます。

ストレージオーケストレーション

オーケストレーションとは、複数のシステムを統合的に連携させ、ソフトウェアやサービスの構築および管理に関する各種タスクを自動化する仕組みです。そして、連携させる範囲をストレージ(補助記憶装置)に限定したものを、「ストレージオーケストレーション」といいます。

Kubernetesでは、ローカルストレージはもちろん、Google CloudやAWSなどのクラウドプラットフォーム、NFSやiSCSIといったネットワークストレージシステムにも対応しています。それぞれのストレージは自由に選択・連携でき、選択することで自動的にマウント(コンテナ内のアプリケーションから利用できるように、外部ストレージを接続すること)される仕組みです。

障害時の自動復旧

Kubernetesは、コンテナに障害が発生した際でも、デプロイ時に指定された設定ファイルをもとに障害発生前の状態を保つよう自動的に復旧が可能です。

例えば、起動に必要なポッド数を維持したり、外部負荷分散システムの構成を再作成したりと、さまざまな処理に対応しています。結果、処理に失敗したコンテナの再起動や、別のコンテナへの処理の引き継ぎ、ヘルスチェックに応答しないコンテナの強制終了といった対応を自動実行できるのが特徴です。

Kubernetesを利用する5つのメリット

Kubernetesを利用するメリットは次の通りです。

  • アプリケーション開発の効率化につながる
  • コンテナのインスタンス数を柔軟に調整できる
  • マルチな環境に対応している
  • DevOpsを実現するうえで効果を発揮する
  • セキュリティの強化につながる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

アプリケーション開発の効率化につながる

Kubernetesを活用することで、アプリケーションのデプロイや更新、スケーリングといった作業を自動化できます。これにより、手作業での煩雑な工程や人為的なミスが大幅に減少し、アプリケーション開発がよりスムーズになります。

また、ローリングアップデート機能を用いることで、新バージョンをリリースする際もサービスを停止することなく、滑らかに更新を行うことが可能です。そのため、アプリケーションを迅速かつ安定して展開・運用するうえで、Kubernetesは非常に強力なツールとなり得ます。アプリケーション開発の効率化により、バグ修正や小規模なアップデートにかかる時間が短縮され、エンジニアの作業負担も軽減されるでしょう。

コンテナのインスタンス数を柔軟に調整できる

Kubernetesの大きな魅力の一つとして、自動スケーリング機能があげられます。この機能により、トラフィックの変動やアプリケーションのリソース使用状況に応じて、コンテナのインスタンス数を自動的に増減させることが可能です。仮にアクセスが急増した場合でも、サービス品質を維持しつつ余計なリソースの消費を最小限に抑えられるのは、Kubernetesを利用する大きなメリットだといえます。

ノードを柔軟に追加・削除できるのもポイントです。そのため、企業の成長や変化するビジネスニーズに応じたインフラのスケーリングに加え、繁忙期と閑散期で利用状況が大きく異なるシステムやアプリケーションにも対応しやすくなります。

自動スケーリングを活用することで、ピーク時のトラフィックや必要なサーバー台数を手動で管理する手間が省け、運用の効率化とコスト削減の両面で効果を発揮します。

マルチな環境に対応している

Kubernetesは、オンプレミス環境でもクラウド環境でも運用が可能です。さらに、単一のクラウドやオンプレミスでの運用に限らず、複数のクラウドにまたがってシステムを展開することもできます。特定のクラウドサービスに依存しないため、開発環境に制約を与えることもありません。

このような特徴を活かすことで、コンテナ化されたアプリケーションの機能や性能を損なうことなく、別の環境へとスムーズに移行できます。そのため、オンプレミスからクラウドへの移行を検討している場合などには、Kubernetesの導入は有効な選択肢となるでしょう。

DevOpsを実現するうえで効果を発揮する

DevOps(Development and Operations)とは、「開発と運用を一体化させることで、システムを常に最新の状態に保ち、ユーザーに迅速に新たな価値を提供する」という考え方です。特に、Webサービスのように継続的に機能を更新・リリースするシステムで広く採用されています。

Kubernetesは、アプリケーションの開発と運用に必要な機能をほぼすべて備えており、両者をシームレスに連携させることが可能です。本番環境を停止することなく改善点の実装や反映が行えるため、システム全体を常に最適な状態に保ちながら、ダウンタイムを最小限に抑えられます。このような特性はDevOpsの実現において非常に有効だといえるでしょう。

セキュリティの強化につながる

関連する周辺技術を正しく理解したうえでKubernetesを活用すれば、セキュリティをより強化することが可能です。例えば、KubernetesはAPIを介して操作される仕組みであるため、APIを利用するユーザーに対して認証やアクセス権限の制御を行うことで、セキュリティレベルを高められます。

また、ポッドやコンテナといった各種オブジェクトにリソース制限を設けることも、セキュリティ強化に寄与します。Kubernetesではアクセス制御や機能制限、権限の細かな設定が行えるため、利用目的に応じたセキュリティレベルの調整が可能です。

ただし、デフォルトの設定のままではセキュリティ面で不十分な部分も存在します。Kubernetesを運用する際には、取り扱うデータや用途に応じて適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

Kubernetesを利用する4つのデメリット

Kubernetesはメリットだけでなく、次のようなデメリットも存在します。

  • 導入コストが高額になる可能性がある
  • 継続的な学習が求められる
  • 頻繁なアップデートに対応する手間がかかる
  • 想定以上の物理インフラの拡充が必要になることがある

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

導入コストが高額になる可能性がある

Kubernetesを導入する際にまず検討すべきなのは、初期費用に関するコストです。運用・管理に必要なサーバーやネットワーク関連のリソースの準備に加え、専門的なスキルを有する人材の育成や教育にも一定の費用がかかります。

また、既存システムとの連携や新たなワークフローの構築など、導入初期の段階では多くの時間と労力を要することも少なくありません。特に小規模な企業やスタートアップにとっては、大きな負担となる可能性も考えられます。このようにKubernetesの導入には、ある程度の初期投資が伴うことをあらかじめ認識しておくことが重要です。

頻繁なアップデートに対応する手間がかかる

Kubernetesは現在も進化を続けているサービスであるため、アップデートの頻度が高く、新機能の追加やセキュリティの強化が頻繁に実施されています。アップデートのたびに検証やテストを行わなければならず、その対応に手間がかかりがちです。アップデートによって一部の機能が一時的に停止する可能性もあるため、更新を適用する前にテストや確認作業が欠かせません。

なお、Kubernetesは4ヶ月ごとに定期的なアップデートが行われます。時期によっては月に複数回の更新が発生することもあります。そのため、定期的なアップデートを視野に入れたうえで、自社にとって最適な運用スケジュールや、それに伴って発生するタスクなどを検討することが大切です。

継続的な学習が求められる

Kubernetesを運用する際は、サーバーやネットワークに関する知識に加え、クラウド環境で運用する場合にはクラウドに関する知識も必要となるため、幅広い分野に対する深い理解が求められます。さらに、Kubernetesは多機能であり、日々進化しているため、導入後も常に最新の知識を保つことが重要です。新機能や新バージョン、セキュリティアップデートなどが頻繁にリリースされるため、それらに対応するための学習も必要です。

Kubernetesの最新情報は英語で提供されるケースも珍しくありません。そのため、Kubernetesを十分に活用するためには、英語での情報収集を含め、最新動向を的確に把握する力が必要となります。

どうしてもノウハウが不足する場合は、専門会社への外注を視野に入れるのも一案です。その場合はKubernetesの導入コストだけでなく、外注費も別に発生するため、予算を設定する際には注意しましょう。

想定以上の物理インフラの拡充が必要になることがある

Kubernetesを運用する際は、高可用性や冗長性を確保するために、クラスター内のノード数を増やすケースも少なくありません。それにより物理サーバーの台数もあわせて増加するのが一般的です。特に大規模なシステムを構築する際には、各サービスの分散配置やリソースの最適化を考慮してサーバーを配置する必要があり、結果として想定以上に物理インフラの拡充が求められることもあります。

Kubernetesを導入することで、サーバー台数の削減や管理負担の軽減を図るつもりが、かえって物理サーバーの増加につながる可能性がある点には注意が必要です。また、サーバー管理の複雑化も避けられないため、継続的な学習を通じてKubernetesや関連サービスへの理解を深め、計画的な運用を行うことが重要だといえます。

Kubernetesの導入にはGoogle Cloudを活用するのがおすすめ

自社でKubernetesの導入を検討している場合には、Google Cloudの活用がおすすめです。Google Cloudとは、クラウドコンピューティングやデータ分析基盤構築、AI開発などにまつわる、100種類以上のサービスが統合されたクラウドプラットフォームです。数あるサービスのなかの一つとして、Google Kubernetes Engine(GKE)が含まれています。

もともとKubernetesはGoogleが開発したプロジェクトであるため、Google Cloudとの親和性の高さに特徴があります。GKEはフルマネージド型のサービスで、マスターノードの管理をGoogle側が担ってくれるため、ユーザー自身がそれを運用・管理する必要がありません。

また、管理コンソールから簡単にクラスタを構築でき、システムの負荷に応じてノードを自動的にスケーリングすることも可能です。ほかにも、Google CloudのサービスアカウントやIAMと連携して権限管理を行えたり、ロードバランサーとの統合によるネットワークトラフィックを分散的に処理できたりと、企業にとって利便性の高い機能が豊富にそろっています。

このようにGKEは、Kubernetes環境をクラウド上で手軽に構築・運用できるコンテナプラットフォームであり、自社の運用負荷を軽減しながら高い柔軟性と拡張性を提供します。Google Cloudの幅広い種類のサービスともスムーズに連携できるため、Kubernetesを活用する際の有力な選択肢になり得ます。

Kubernetesを導入してアプリケーション開発の効率性を高めよう

アプリケーション開発を進めるうえで、Kubernetesは作業の効率化に欠かせないツールだといえます。Kubernetesを活用すると、コンテナを効率良く運用できるほか、アプリケーションのデプロイや更新といった作業の自動化が可能です。

Kubernetesを利用するにはさまざまな方法がありますが、なかでもGoogle Cloudを活用することをおすすめします。もともとKubernetesはGoogleが開発したサービスなので、Google Cloudとの親和性が高い特徴があります。Google Cloudに搭載されているGoogle Kubernetes Engineを活用することで、マスターノードの管理やクラスタ構築などの負担を軽減できます。

電算システムでは、Google Cloudのスターターパックサービスや技術コンサルティングサービスなどを提供しています。KubernetesをはじめとするGoogle Cloudの活用方法に関して、プロの観点からアドバイスを行っています。以下の資料でGoogle Cloudの導入事例を紹介しているので、導入を検討している方は参考にしてください。

監修者

新 直哉
新 直哉
入社5年目。データエンジニアとして、BigQueryを主としたデータ分析基盤の提案・導入支援や、ウェブセミナーの講師などを務める。現在はプリセールスエンジニアの卵として奮闘中。

<保有資格>
・Professional Data Engineer
Professional Data Engineer