企業の情報システム担当者の方や、管理職の方のなかには、社内でのデータ共有を円滑にするために、共有フォルダの活用を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。共有フォルダの活用には、社内のデータ共有をよりすばやく簡単にできるメリットがあります。また、クラウドストレージで共有フォルダを作れば、社外の相手とも簡単にデータ共有が可能です。
この記事では「共有フォルダの概要」「ファイルサーバーとクラウドストレージの違い」「ファイルサーバーでの共有フォルダの作り方」「クラウドストレージでの共有フォルダの作り方」「クラウドストレージで共有フォルダを作るメリット」「共有フォルダを使用する際のポイント」を解説します。共有フォルダの作り方について詳しく把握できる内容になっているので、ぜひ参考にしてください。
共有フォルダとは【ネットワーク経由でファイル・フォルダを共有する仕組み】
共有フォルダは、特定のファイルやフォルダを、ネットワーク経由で他の人と操作できるようにするもの、または仕組みです。共有フォルダの登場前は、USBメモリやメールを使ってデータを共有する方法が主流でしたが、共有する際に制限があり、データ共有に手間と時間がかかっていました。
現在は、共有フォルダを利用して、ネットワーク経由で円滑にファイルやフォルダを共有できるようになり、データ共有がより簡単になりました。また、共有フォルダであれば、1つのファイルを他の人と共同編集できる機能も利用でき、業務の効率化を図れます。
共有フォルダを作る3つの方法
共有フォルダは、以下3つのシステムで利用可能です。
- ファイルサーバー
- クラウドストレージ
- NAS
それぞれ特徴が異なるため、企業規模や事業内容に合わせて、自社に適したシステムを検討するとよいでしょう。
ファイルサーバー
ファイルサーバーは、画像やテキストなどのファイルをネットワーク上で管理・共有できるサーバーです。パソコン上にあるフォルダーに共有設定をして、共有フォルダが作れます。ファイルサーバーを活用すれば、社内ネットワークにアクセスできる人が自由にデータへアクセス可能です。ファイルサーバーについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
クラウドストレージ
クラウドストレージは、インターネット上に構築された共有フォルダの置き場所です。代表的なクラウドストレージには、以下のようなサービスがあります。
- Googleドライブ
- Dropbox
- Oneドライブ
クラウドストレージでは、サービスの利用開始後にフォルダのアクセス権を設定すれば、共有フォルダが作れます。デバイスとインターネット環境があれば、場所の制限なくデータへアクセスできるため、取引先や顧客といった社外の人とも簡単にデータ共有が可能です。
NAS
NASは、ネットワーク上に接続して、複数の人とデータを共有できるハードディスクです。「Network Attached Storage」の頭文字を取っています。無線LANを使ってアクセスできるため、社外からも必要なデータを確認可能です。
NASでは、クラウドストレージと同じく、フォルダのアクセス権を設定して、共有フォルダを作れます。アクセス権を設定した場合、そのフォルダの下層にあるフォルダにまで同じ設定が適用される仕組みです。NASで共有フォルダを利用する際は、ハードディスクの物理的な破損に気をつけなければなりません。万が一ハードディスクが破損した場合は、データを失う可能性があるため、事前の対策が必要です。
共有フォルダを作成できるファイルサーバーとクラウドストレージの違い
クラウドストレージの登場前は、社内でファイルやフォルダを使用する場合が多く、ファイルサーバーの利用が主流でした。現在は、リモートワーク、出張先での業務効率化や、データ管理システムの操作性・セキュリティ機能の向上を理由に、クラウドストレージが多く利用されています。クラウドストレージを導入すれば、リモートワークをはじめとした働き方の多様化にも柔軟に対応でき、データ共有の効率化も可能です。
クラウドストレージでは、個人向けプランとは別に、法人向けプランも提供されています。法人向けプランでは、より多くの機能や高度なセキュリティ対策が利用できるため、企業での導入におすすめです。
【Windows・Mac別】ファイルサーバーでの共有フォルダの作り方
ファイルサーバーでの共有フォルダの作り方は、パソコンのOSによって異なります。WindowsとMacそれぞれの共有フォルダの作り方を確認して、具体的な手順を把握しましょう。
Windows11の場合
Windows11のパソコンで共有フォルダを作る手順は、以下の通りです。
- エクスプローラー(ファイルやフォルダを管理できるアプリ)を開いて、他の人と共有したいフォルダにカーソルを合わせる
- 右クリックをして「その他のオプションを表示」をクリックする
- 「アクセスを許可する」にカーソルを合わせて「特定のユーザー」をクリックする
- 共有したい人を選択して追加する
- アクセス権限を選択する
- 「共有」をクリックする
アクセス権限では「読み取り」もしくは「読み取り/書き取り」が選択できます。「読み取り」は、ファイルの作成・編集はできず、閲覧のみが可能です。ファイルやフォルダを共有する目的に応じて、適切なアクセス権限を設定しましょう。
セキュリティ対策を強化したい場合は「パスワード保護共有」の設定がおすすめです。「パスワード保護共有」を設定すれば、アクセスする際にパスワードの入力が必要になるため、不正アクセスのリスクを低減できます。
Macの場合
Macのパソコンで共有フォルダを作る手順は、以下の通りです。
- アップルメニューから「システム設定」をクリックする
- 「一般」にある「共有」をクリックする
- 「ファイル共有」を有効にして、他の人と共有したいフォルダを追加する
- 共有したい人を追加して、アクセス権限を設定する
【Googleドライブ】クラウドストレージでの共有フォルダの作り方
Googleドライブは、世界中の多くの人が利用しており、クラウドストレージの代表的なサービスの1つです。Googleドライブでは、以下の手順で共有フォルダを作れます。
- Googleドライブにアクセスして、左上の「新規」をクリックする
- 「フォルダのアップロード」をクリックする
- 共有したいフォルダを選択して、アップロードする
- アップロードしたフォルダにカーソルを合わせて、右クリックをする
- 「共有」にある「共有」をクリックする
- 共有したい人を追加して、アクセス権限を設定する
- 「完了」をクリックする
Googleドライブは検索機能に優れているため、検索窓にフォルダの名称を入力すれば、簡単に共有フォルダへアクセス可能です。
参照:Googleドライブ「Google ドライブでフォルダを共有する」
クラウドストレージで共有フォルダを作る4つのメリット
データ共有の方法として、クラウドストレージで作った共有フォルダを活用する企業が増えています。クラウドストレージは、アクセスのしやすさや編集作業などにおいて、さまざまなメリットがあるサービスです。クラウドストレージで共有フォルダを作るメリットを把握して、自社に役立つ方法かどうかを確認しましょう。クラウドストレージで共有フォルダを作るメリットは、以下の4つです。
- 社内外問わずアクセスできる
- 外部の人とも簡単にデータ共有できる
- クラウド上で共同編集できる
- 自動でバックアップされる
社内外問わずアクセスできる
クラウドストレージで共有フォルダを作れば、従業員が社外で勤務している場合でも、最新のデータを閲覧・編集できます。もし外出先で急に他の資料が必要になっても、クラウドストレージにデータが保管されていれば、すばやく情報の閲覧・出力が可能です。外出先でクラウドストレージに保管されていないデータが必要になった場合は、他の従業員にアップロードしてもらえば、必要な情報を迅速に資料として利用できます。
外部の人とも簡単にデータ共有できる
クラウドストレージでのデータ共有は、共有フォルダのアクセス権を設定して、URLを共有したい人に送るだけで完了します。USBメモリやメールを使って共有する場合に比べて、作業時間と手間を削減可能です。取引先や顧客などの外部の人とも簡単にデータ共有ができるため、作業を効率化できます。
クラウド上で共同編集できる
クラウドストレージには、同じデータを複数人で共同編集できる機能があります。データのアクセス権が付与されている複数人で、1つのデータを同時に編集可能です。会議やチャットなどでコミュニケーションを取りながらデータを編集できるため、作業を効率よく進められます。
自動でバックアップされる
クラウドストレージのほとんどのサービスには、自動でファイルのバックアップデータを保存する機能があります。操作ミスでファイルを誤って削除した場合でも、バックアップデータから復元可能です。また、サービスのなかには、自動でファイルの履歴管理を行うものもあるため、データを過去の状態に戻したい場合にも対応できます。
共有フォルダを使用する際の4つのポイント
共有フォルダを使用する際のポイントは、以下の4つです。
- アクセス権を適切に設定する
- フォルダ名のルールを定める
- 不要なフォルダは廃棄する
- セキュリティ対策をしっかりと行う
ポイントを確認して、自社で共有フォルダを使用する際の参考にしてください。
アクセス権を適切に設定する
共有フォルダの活用は、データ管理を円滑にする便利な方法ですが、適切にアクセス権を設定しなければ、不正アクセスにつながる恐れがあります。不正アクセスによる情報漏えいを防止するために、データへアクセスできる人は必要最低限に設定しましょう。
また、アクセス権のレベルも、セキュリティに関わる重要なポイントです。データの閲覧・編集・削除などのアクションの内、どこまでの操作を可能にするのかを慎重に検討し、人によって細かく設定する必要があります。
フォルダ名のルールを定める
共有フォルダを運用する際は、フォルダ名にルールを定めると、必要なデータへ円滑にアクセスできます。ルールがないまま共有フォルダを運用した場合、必要なファイルやフォルダへのアクセスに時間がかかり、業務効率の低下を招く可能性があるため、注意しましょう。フォルダの作成日を入れたり、使用頻度が高い用語の表記を揃えたりして、どんなフォルダか一目でわかるような運用が大切です。
不要なフォルダは廃棄する
共有フォルダは、定期的に整理しながら使用すると、必要なデータがいつでも探しやすくなります。不要なファイルやフォルダの放置は、円滑なデータ管理の妨げになるだけではなく、ストレージ容量の逼迫にもつながります。共有フォルダ内に不要なファイルやフォルダがないかを定期的に確認して、廃棄しましょう。
不要なファイルやフォルダの蓄積は、データ整理のタイミングを事前に決めておけば、防止できます。部署やチームなどでデータを整理するタイミングを決めて、社内で周知・徹底しましょう。
セキュリティ対策をしっかりと行う
共有フォルダを使用する際は、不正アクセスやウイルス感染を防止するセキュリティ対策が必要不可欠です。セキュリティソフトの導入をはじめとした対策をして、自社のセキュリティを強化しておきましょう。
クラウドストレージでは、サービス事業者が用意したセキュリティ対策を利用できます。多くのサービスが、サイバー攻撃や災害などの防止に効果的なセキュリティ対策を施しているため、セキュリティレベルの高い環境でのデータ管理が可能です。
フォルダを共有するならクラウドストレージがおすすめ
共有フォルダの利用を検討している方には、クラウドストレージの導入がおすすめです。アクセスのしやすさや編集作業効率に優れており、業務効率の向上とセキュリティ対策の強化に役立ちます。
クラウドストレージのなかでも、Googleドライブは国内外の多くの企業が利用しており、操作性やセキュリティ面の両方で評価の高いサービスです。共有フォルダを作る方法や、利用するサービスに迷っている方は、Googleドライブの導入を検討してみるとよいでしょう。
電算システムでは、Googleドライブについて解説している「マイドライブと共有ドライブの比較」という資料を無料で提供しています。フォルダの共有方法を検討している方は、ぜひ一度ご覧ください。
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フォルダを共有する際は目的に合った方法を選ぼう
フォルダの共有方法は、自社の目的に合うものを選びましょう。例えば、ファイルやフォルダを社内だけで利用する場合は、ファイルサーバーが適しています。ファイルサーバーであれば、利用者を社内ネットワークへアクセスできる人に限定できるため、セキュリティ対策がしやすくなります。
社外での利用も想定する場合は、クラウドストレージがおすすめです。社内外にかかわらずアクセスでき、共同編集機能による作業の効率化が図れます。将来も含めて、社外でファイルやフォルダを利用する可能性がある場合は、今のうちからクラウドストレージを導入して、自社で運用しておくとよいでしょう。
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