自社でグループウェアの導入を検討する際に、G Suiteを候補にしているという方は多いのではないでしょうか。G Suiteは、2020年10月にGoogle Workspaceへ名称が変わり、利用者にとってさらに便利なサービスへと生まれ変わりました。企業全体で連携しながら、効率よく業務を進める際に役立つグループウェアです。
そこで本記事では、G SuiteからGoogle Workspaceになったことによる変更点、Google Workspaceで利用できる主なサービス、料金プランについて解説します。Google Workspaceの概要を把握できる内容になっているので、グループウェアの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
GSuite(新:Google Workspace)とはGoogleが提供するクラウド型グループウェア
G Suite(ジースイート)は、Googleが企業向けに開発したクラウド型のグループウェアです。グループウェアは、組織やチームの円滑なコミュニケーションを実現するツールを指します。G Suiteは、2020年10月にリブランディングされ、「Google Workspace」にサービス名が変わりました。G Suiteは、2021年1月16日でサービス提供を終了済みです。
Google Workspaceは、組織やチーム内のやり取りを円滑にして、業務効率化に貢献するサービスです。G Suiteを現代のビジネスシーンに合わせて最適化しており、メールやビデオ会議、スケジュール管理、ストレージなどの多くの機能を備えています。デバイスとインターネット環境が整っていれば、場所や時間にかかわらず、各アプリを使用できます。
働き方が多様化する現代では、リモートワークを導入する企業が増えています。Google Workspaceは、リモートワークでも円滑に業務ができるように、多くの企業や団体、教育現場で導入が進んでいるサービスです。
GSuiteからGoogle Workspaceへの5つの変更点
G Suiteのリブランディングによる変更点は、以下の通りです。
- 最大利用人数に制限
- ストレージ容量に制限
- セキュリティの強化
- アプリ間の連携強化
- 新機能「AppSheet」の追加
変更点を把握して、Google Workspaceの導入を検討する際の参考にしてください。
最大利用人数に制限
Google Workspaceには、G Suiteにはなかった最大利用人数の制限があります。最大利用人数は、サービスの各プランによって異なるため、企業規模によって適切なプランの購入が必要です。Google Workspaceのプランは、BusinessプランとEnterpriseプランに分けられます。
300人以下で利用する場合は、Businessプランで問題ありませんが、300人以上で利用する場合は、Enterpriseプランの購入が必要です。Enterpriseプランには、利用人数に制限がありません。
ストレージ容量に制限
G Suiteには、1ユーザーあたりのストレージ容量が無制限のプランがありましたが、Google Workspaceでは、プラン別にストレージ容量が設定されています。また、ストレージ容量の制限には、プール制を採用しています。
プール制とは、組織全体で利用しているストレージ容量を算出し、制限を設ける計算方式です。組織全体で容量が計算されるため、一部の部署や個人が多くの容量を使用すれば、他の人の利用できる容量が少なくなる場合があります。部署や個人でストレージの利用容量に大きな差がある企業や組織であれば、G Suiteに比べて無駄なく容量を活用可能です。
ただし、組織のストレージ利用容量が上限に達した際は、より容量の大きなプランへのアップグレードが必要です。
セキュリティの強化
Google Workspaceでは、G Suiteにはなかったセキュリティ機能がGoogle MeetやGoogleチャットに追加されています。G Suiteからリブランディングされて追加された主な機能は、以下の通りです。
Google Meet
- 主催者は、参加者の発言やチャットの利用を制限できる
- 主催者がGoogle Meetから退室させた参加者は、自分から再入室できない(主催者から改めて招待された場合は入室可能)
Googleチャット
- チャット上のリンクは、クリックした際にスキャンされ、悪影響を及ぼすコンテンツかどうか確認される
アプリ間の連携強化
G SuiteからGoogle Workspaceに変わり、各アプリの連携機能が強化されました。追加された機能は、以下の通りです。
- ToDoリストやドキュメントをリアルタイムで共同編集できる
- Googleチャットでタスクやファイルをメンバーに共有できる
- 新規タブを開くことなく、スプレッドシート、ドキュメント、スライドを閲覧できる
- 1つの画面でGoogle Meet、Gmail、Googleチャットを操作できる
新機能「AppSheet」の追加
Google Workspaceでは、G Suiteにはなかった「AppSheet」という新機能が追加されています。AppSheetは、コーディング不要でアプリ開発ができる機能です。開発したアプリは、組織内のメンバーに公開できます。
AppSheetを使えば、在庫管理や勤怠管理、顧客管理などの自社に必要なオリジナルアプリの開発が可能です。開発したアプリを使って今まで手動で行っていた業務を自動化すれば、手間や時間を削減できます。また、Googleの各アプリと連携できるため、高い拡張性のあるアプリを開発可能です。AppSheetで連携可能なアプリは、以下の通りです。
- Googleカレンダー
- Gmail
- Googleドライブ
- Googleスプレッドシート
- Google Maps
Google Workspace(旧:G Suite)で利用できる主なサービス
Google Workspaceで利用できる主なアプリは、以下の通りです。
- Gmail
- Google ドライブ
- Google カレンダー
- Google Meet
- Googleチャット
- Google スプレッドシート
- Googleドキュメント
- Google スライド
- 管理コンソール
- Googleフォーム
- Googleサイト
- Appsheet
- Google Keep
- Google Vault
各アプリの機能を把握して、自社に役立つサービスがあるかどうかを確認しましょう。
Gmail
Gmailは、ビジネスをする企業や個人向けに開発されたメールアプリです。優れた検索機能を備えており、確認したい過去のメールを素早く検索できます。また、独自ドメインを購入すれば、自社が設定したドメインでメールのやり取りが可能です。ビジネスで使用するメールアドレスの場合、フリーアドレスでは他社から不信感を抱かれる可能性があります。Gmailで独自ドメインを使えば、自社の信頼性向上につながるでしょう。
Gmailには、他にも迷惑メール対策になるフィルター機能や、複数人に一括でメールを送れるメーリングリスト機能があります。無制限でメーリングリストの作成が可能です。
Googleドライブ
Googleドライブは、画像、動画、テキストなどのファイルをクラウド上に保管できるオンラインストレージアプリです。保管したファイルは、組織内で自由に共有でき、ファイルの管理者が設定した権限によって、閲覧、編集、削除などの操作ができます。権限が付与されれば、組織外の人でもファイルにアクセス可能です。
Googleドライブは、クラウド上にファイルを保管するため、自社サーバーの設置や管理が必要ありません。サーバー管理に必要な手間やコストを削減できます。また、Googleドライブは保管できるファイル形式が多く、WordやExcelなどのさまざまなファイルを保管可能です。
Googleカレンダー
Googleカレンダーは、組織メンバーのスケジュール管理に活用できるアプリです。タスク管理機能や通知機能を備えており、設定したスケジュール通りに円滑に仕事が進むようサポートします。タスク管理機能を使えば、タスクを作成して期限を設定でき、タスクの確認が可能です。通知機能では、登録したスケジュールにアラームを設定して、スケジュールが始まる前の好きな時間に通知できます。
日々のさまざまな業務や会議をGoogleカレンダーに登録しておけば、スケジュールを忘れる心配はありません。また、Googleカレンダーはチーム内で共有できるため、チームメンバーのスケジュール確認が簡単です。
Google Meet
Google Meetは、組織内外のメンバーを招待してビデオ会議ができるアプリです。Googleカレンダーと連携でき、スケジュールの確認画面でビデオ会議の予定を表示できます。Googleカレンダーからリンクをクリックして、ビデオ会議に参加可能です。
ビデオ会議をする際は、Google Meetでスケジュールを設定して、招待したい参加者にリンクを送ります。リンクを共有すれば、組織外の人ともビデオ会議が可能です。また、Google Meetには画面共有機能や録画機能があり、パソコンの画面を共有してプレゼンをしたり、会議の様子を動画として記録したりできます。Webセミナーや社内会議をする際に役立つアプリです。
Googleチャット
Googleチャットは、テキストを用いたコミュニケーションができるビジネスチャットです。チーム内や個人同士でチャットルームを作成して、自由にコミュニケーションが取れます。ダイレクトメッセ―ジを利用すれば、参加する2人以外は閲覧できない状態でやり取りが可能です。
また、コメント共有機能やファイル共有機能を備えており、業務上のコミュニケーションをより円滑にします。ファイル共有機能を使えば、Google ドライブからテキストメッセージに直接ファイルを添付して、チームに共有可能です。
その他
前述したもの以外にも、Google Workspaceでは多くのアプリが利用可能です。他のアプリの概要は、以下の通りです。
- Google スプレッドシート:Excelと互換性があり、グラフ・表の作成に便利な表計算アプリ
- Google ドキュメント:Wordと互換性があり、テキストの作成・編集・共有ができるアプリ
- Google スライド:資料の作成、編集ができるプレゼンテーションアプリ
- Googleフォーム:プログラミング技術不要でアンケートの作成・集計・分析ができるアプリ
- Googleサイト:プログラミングに関する知識や技術が不要でWebサイトを作成できるアプリ
- Appsheet:コーディング不要で自社のオリジナルアプリが開発できるアプリ
- Google Keep:テキスト、写真、音声などをメモしてチームで共有できるアプリ
- Google Vault :Gmailのチャット記録やメールのアーカイブをデータ管理、保全できるアプリ
- 管理コンソール:Google Workspaceのアプリやアカウントの各種設定ができるアプリ
Google Workspace(旧:GSuite)の主な料金プラン
Google Workspaceの主な料金プランは、以下の4つです。
- Business Starter(小規模ビジネス向け)
- Business Standard(中規模ビジネス向け)
- Business Plus
- Enterprise(大企業向け)
企業や組織として利用する場合は、上記4つのプランから選びます。利用者数が300名以下であればBusinessプラン、300名以上であればEnterpriseプランを選びましょう。また、「Google Workspace for Education」という教育関係者向けプラン,非営利団体向けのGoogle Wokrpsace for Nonprofitsも用意されています。各プランの概要を把握して、自社に適したプランを確認しましょう。
Business Starter(小規模ビジネス向け)
Business Starterは、小規模ビジネス向けに用意された月額680円(税抜)で利用できるプランです。Google Meetを使ったビデオ会議に最大100名で参加でき、1ユーザーにつき30GBのストレージ容量が利用できます。ビジネスに必要な標準的な機能が備わっており、小規模事業者やベンチャー企業に適したプランです。データ保全やハッキング対策などのセキュリティ機能が利用でき、独自ドメインも利用可能です。
Business Standard(中規模ビジネス向け)
Business Standardは、中規模ビジネス向けに用意された月額1,360円(税抜)で利用できるプランです。Google Workspaceの基本的な機能をほぼすべて利用できます。Google Meetを使ったビデオ会議に最大150名で参加でき、1ユーザーにつき2TBのストレージ容量が使用可能です。Business Standardは、Business Starterと同様のセキュリティ機能を利用できます。
Business Plus
Business Plusは、大規模ビジネス向けに用意された月額2,040円(税抜)で利用できるプランです。Google Meetを使ったビデオ会議に最大250名で参加でき、1ユーザーにつき5TBのストレージ容量が使用可能です。高度な閲覧権限設定などが利用できるため、より強固なセキュリティ対策を施したい企業に向いています。Business Plusでは、チャットやメールの記録を管理・保全できるGoogle Valutを利用可能です。
Enterprise(大企業向け)
Enterpriseは、大規模企業向けに用意されたプランです。300名以上の利用人数がいる企業や組織に適しています。利用料金は一律ではありません。窓口で問い合わせの上、確認が必要です。Enterpriseは、以下の3つのプランから選べます。
- Enterprise Essentials
- Enterprise Standard
- Enterprise Plus
Enterpriseには、コンプライアンスの制御機能と高度なセキュリティ機能が付いています。また、アプリのアクセス制御を設定できるコンテキストアウェアアクセスも利用可能です。コンテキストアウェアアクセスの詳しい情報は、以下のページをご覧ください。
Google Workspace(旧:G Suite)を活用してビジネスを加速させよう
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