新しいメールサーバーの利用を検討している方や、すでにメールサーバーを利用している方のなかには、どのようなセキュリティ対策をすればよいか悩んでいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。デジタル化が進んでいる現代では、データ管理の安全性が重要になっており、メールサーバーのセキュリティ対策が欠かせません。
メールサーバーのセキュリティ対策を十分にしていれば、万が一システムに不具合が生じた場合にも、迅速に適切な行動が取れて、被害を最小限に抑えられます。この記事では、メールサーバーの基本的な知識や、メールサーバーの不具合によるダウン障害対策、メールサーバーを選ぶ際のポイントを解説します。
メールサーバーがダウンした際の対応や、システムのセキュリティ対策について詳しくまとめた内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
メールサーバーとはメールの送受信の役割を担うサーバー
メールサーバーは、メールデータを送受信する機能を持ったサーバーの総称です。メールサーバーが行うメールの送信と受信は、それぞれ別のサーバーが実行します。利用するサービスによって異なりますが、使用しているサーバーを確認する一般的な方法は、以下の通りです。
- メールソフトを開く
- メールソフトの環境設定画面またはアカウント設定画面を開く
メールサーバーは、メールの送信・受信といった機能を持つ複数のサーバーが連携して成り立っています。メールサーバーの一部として稼働している各サーバーの名称とそれぞれの機能は、以下の通りです。
- SMTPサーバー:メール送信の機能
- POPサーバー・IMAPサーバー:メール受信の機能
- DNSサーバー:IPアドレスを管理する機能
SMTPサーバーによってメールが送信された後は、DNSサーバーがIPアドレス(インターネット上における住所のようなもの)を確認し、送信先のメールサーバーに届けます。DNSサーバーは、電話帳のような役割を担っており、メールの送信先となるアドレスを確認して、送信者のサーバーに伝達します。3つのサーバーが持つそれぞれの機能が稼働してはじめて、送信者から送信先にメールが送られる仕組みです。
メールサーバーの不具合によるダウン障害が起きた際の対処法
多くの場合、メールサーバーは24時間365日稼働し続けて、メールと添付ファイルの送受信を休まず行うため、過負荷によってシステムがダウンするリスクがあります。ソフトウェアやOSのエラーが発生した場合は、以下の対処方法を試してみましょう。
- サーバーを再起動する
- システムの復旧機能を使用する
- OSを再インストールする
メールサーバーがダウンしてから復旧するまでの間は、基本的に外部からのメール送受信のリクエストは実行できません。CPU(中央演算処理装置)やハードディスクドライブの寿命、電源ユニットの故障などの物理的な機器の破損が起きた場合は、代替パーツへの交換対応が必要になり、より多くの時間を要します。
自力での復旧が難しい場合は、システム管理サポートやメーカーのカスタマーセンター、サーバーを取り扱うコンピューターの修理サービスを活用して、不具合を直す方法もあります。また、一時的に予備のシステムに切り替えることで、業務への支障を最小限に抑えることが可能です。とにかく、修理サービスやメーカーのサポートサービスを利用して、なるべく早く復旧する動きが大切です。
メールサーバーの不具合によるダウン障害対策4選
突然発生するメールサーバーのダウンによる被害拡大を防止し、できる限り早く復旧させるためにも、事前の障害対策の実施が必要不可欠です。具体的な事前対策を確認して、自社のメールサーバーの運用に役立てましょう。
サーバーを冗長化する
サーバーの冗長化とは、トラブルに備えておく仕組みのことです。サーバーがダウンしても、できるだけ被害や損害を最小限に留めることを目的に行います。サーバーの冗長化には、具体的に以下の方法があります。
①サーバーの台数を増やしアクセスを分散させる
サーバーの台数を増やして、アクセスを分散させる方法です。1台のサーバーで運営すると、アクセスがその1台に集中した時に許容量を超えてサーバー機能がダウンしてしまいます。それを防ぐため、複数のサーバーでデータベースごとに分けて管理すれば、アクセスが1台のサーバーに集中しません。
②予備のサーバーを設置する
予備のサーバーとは、サーバーダウンやトラブル時に備えて用意しておくサーバーのことです。待機系サーバーとも呼ばれます。まったく同じデータが入ったサーバーを予備に用意しておくイメージで、バックアップ用と兼ねて運用する企業も多いです。
③ロードバランサーを導入する
ロードバランサーとは、サーバーにかかる負荷を分散させる仕組みのことです。見た目はサーバーと変わりませんが、仲介専用のシステムとして複数のパソコンとの間にかませるイメージです。
サーバーを複数台利用する場合、通常はユーザーからのリクエストに対して各サーバーが一斉に応えようとします。そのためどのサーバーにも負荷がかかり、アクセスが集中するとアクセス不可になってしまう場合も考えられます。それを交通整備するのがロードバランサーになります。
ユーザーからリクエストがあると、ロードバランサーが一旦引き受け、瞬時にどのサーバーからデータを送るのか判断します。そのため、サーバーへの負荷を最小限に抑えることができ、ユーザーへも安定した情報提供ができます。
ネットワークからエクスポートでバックアップを保存する
サービス事業者のメールサーバーを利用したクラウド型サービスを使っている場合、サーバーの障害によって、サービスが一時的に利用できなくなる可能性があります。ごく稀ではありますが、重要なメールが誤操作や重度のシステムエラーによって紛失するトラブルを防止するために、エクスポート機能を使って、定期的なデータのバックアップを取りましょう。メールデータのバックアップを手動で行う場合は、以下の方法がおすすめです。
- パソコン上でバックアップ対象のメールを開く
- メールの内容をパソコン上のWordやメモ帳などを使ってテキストファイル形式にする
- 外付けハードディスクやDVD-R、NAS、RAIDケースなどにデータを保存する
また、すでに保存されたバックアップデータから更新された情報をバックアップする「差分バックアップ」もおすすめです。自動で差分バックアップが行われる体制を整備すれば、より強固な障害対策の構築につながります。
メールサーバーは、ホームページのようにキャッシュが残らないため、アカウントやメールを一度でも失えば、一般ユーザーでのデータ復旧は多くの場合できません。アカウントやメールを失うトラブルには特に注意して、万が一に備えた対策が必要です。メールの紛失を防ぐために、サービスのバックアップ機能を十分に活用しましょう。
予備のアカウントを用意しておく
インターネットプロバイダである So-net や jcom、biglobe、goo、nifty などのサービスを利用している場合は、トラブルの発生に備えて予備のアカウントを用意しておけば、より安心でしょう。予備のアカウント作成におすすめのメールサービスは、以下の通りです。
- Gmail
- Outlook
- Yahoo!メール
- iCloud
- Zohoメール
- AOLメール
上記のメールサービスは、スマートフォンやタブレット、パソコンでもログインできるマルチデバイス対応です。メールサーバーにトラブルが発生しても、手元にあるデバイスからサービスにすばやくアクセスできます。
多重化や複数サーバー運用などの障害対策を実施しているサービスを導入する
現代では、メールサーバーやメールシステムは、大手企業、中小企業、個人にいたるまで幅広く利用されています。メールサーバーを運用してサービス提供している事業者のなかには、RAID(複数あるハードディスクを1つのシステムのように表示する技術)を活用したハードディスクの多重化や、複数のサーバー運用による物理的な障害対策をしている場合があります。
サービス事業者が行っている対策は、メールサーバーのダウンやデータ読み込みエラーを原因としたシステムの被害防止と早期復旧に効果的です。機器やデータの安全性向上のために、ハードディスクの多重化をはじめとした障害対策をしているサービスの導入も検討しましょう。
内部のセキュリティ体制を整備する
近年では、第三者の不正アクセスによる攻撃で被害を受ける企業も少なくありません。メールを活用したサイバー攻撃でシステムに負荷を与えて、サーバーをダウンさせる手法も多く利用されています。
そのため、セキュリティ対策が不十分な場合は、メールからウイルスに感染し、システム内部が破壊されるリスクが高まります。企業と関わりのある顧客や取引先などにも被害が及ぶ可能性があるため、十分なセキュリティ対策が必要です。システムの24時間365日の監視をはじめとした、万全なセキュリティ体制を整備して、システムの保護と被害防止に努めましょう。
セキュリティ体制の整備に伴い、メールサーバーの停止が必要な場合は、顧客や取引先などの関係者へ事前に通知すれば、円滑に作業が進められます。通知する際は、メールサーバーを停止する日程や理由をわかりやすく記載しましょう。
メールサーバー選びで見るべきポイント4選
メールサーバー選びで見るべきポイントは、以下の4つです。
- プラン料金と性能のバランス
- 作成できるメールアカウント数
- サポート体制の充実度
- セキュリティの万全さ
ポイントを確認して、メールサーバーを選ぶ際の参考にしましょう。
プラン料金と性能のバランス
メールサーバーは、プランの利用料金が高くなるにつれて、高性能で機能も豊富になる場合が一般的です。利用料金が高いプランを選択すれば、より充実したサービスを受けられますが、必ずしも自社に向いているとは言えません。
企業規模や事業内容といった自社の目的や特徴を確認して、性能や機能が見合ったプランを利用しましょう。また、プランの利用料金が変わらなくても、性能と機能が異なる場合もあります。複数のサービスやプラン同士で比較して、自社が求める性能と機能の揃ったメールサーバー選びが大切です。
作成できるメールアカウント数
メールサーバーのなかには、作成可能なメールアカウント数に上限が設定されている場合があります。メールアカウント数が不足して、アカウントを新たに追加したいときは、プランをアップグレードしたり、オプションサービスを利用したりしなければなりません。事前にメールアカウント数の上限を調べて、自社に必要な数が確保できるかを確認しましょう。
サポート体制の充実度
メールサーバーを選ぶ際は、サポート体制の充実度が大切です。特にはじめてメールサーバーを利用する場合は、予期せぬトラブルが起きた際に対応しきれないため、充実したサポートが受けられるようにしましょう。トラブルや不明点の解消は、自社で試みるよりも、専門家のいるサポートサービスを受ける方が早く正確にできます。
サポート体制の充実度は、メールサーバーの費用対効果を大きく左右する重要なポイントであるため、より充実したサポートが受けられるサービスやプランを選びましょう。
セキュリティの万全さ
メールサーバーには、企業が保有する機密情報が保管されるため、セキュリティ対策が重要です。メールサーバーを選ぶ際は、稼働率が高く、セキュリティ機能が充実したサービスにしましょう。セキュリティ機能が充実すれば、コストも増えるため、自社に適切なバランスを考慮して、メールサーバーを選ぶ工夫が大切です。
クラウドメールサービスなら Google Workspace がおすすめ
クラウド型のメールサービスは、コスト削減やセキュリティ対策の強化、利便性に優れており、メールサーバーの利用を検討している方におすすめです。万が一メールサーバーがダウンした際にも、サービス事業者が迅速に対応してくれるため、より安心できます。
クラウド型のメールサービスのなかでも特におすすめなのは、Google が開発・提供している「Gmail」です。Gmail は、グループウェアである「Google Workspace」に含まれているサービスで、ビジネスに役立つさまざまな機能をメールサービスと一緒に利用できます。Google Workspace に備わっている主なアプリケーションは、以下の通りです。
- Gmail
- Googleカレンダー
- Googleドライブ
- Googleドキュメント
- Googleスプレッドシート
- Google Meet
- Googleチャット
- Googleスライド
- Googleフォーム
- Googleサイト
Google Workspace には、豊富な機能が利用できるアプリケーションが揃っており、各アプリケーションを通して、部署やチーム間での情報共有や連携を活性化させる特徴があります。個人向けプランと法人向けプランの操作画面がほとんど同じであるため、すでに個人で利用している場合は、導入してから慣れるまでの時間を大幅に短縮できます。
Gmail には、ほかにも以下のような優れた機能があります。
- Google 独自の検索技術を利用したメール管理機能が備わっている
- 機械学習によって99.9%の精度でスパムを検出できる高度なセキュリティ機能が利用でき、フィッシングによるサイバー攻撃からユーザーを保護する
- メールの添付ファイルは、複数のエンジンによって自動的にウイルススキャンされるため、外部とのファイルのやり取りも安心できる
- インターネットへの通信環境があれば、デバイスに関係なく、どこからでもアプリケーションを利用できる
Google Workspace は、チーム内のコラボレーションやシームレスな情報共有を可能にし、業務効率化や生産性の向上に貢献します。Google Workspace について興味のある方は、以下の記事をご覧ください。
自社に合うメールサーバーを見極めよう
リモートワークが推進され、対面でのコミュニケーションが減っている現代では、よりスムーズでセキュアなメールのやり取りが求められます。また、メールサーバーのダウンをはじめとしたトラブルに備えて、システムの仕組みやエラーの対処法を把握しておけば、急な問題にも適切に対応できます。「メールの容量が上限に達していて、重要なメールを受信できない」といったトラブル防止にもつながるため、事前の情報収集は必ず行いましょう。
企業や団体でメールサーバーを利用する場合は、Gmail の法人向けサービス、または Google Workspace がおすすめです。無料のメールサーバーと比較して安全性が高いため、安心して利用できます。電算システムでは、Google Workspace と無償版の違いについて解説している資料を無料で提供しています。Google Workspace に興味のある方は、以下のページから資料をダウンロードしてみてください。
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また、Google のプレミアムパートナーを務める電算システムは、初めてサービスを導入する中小企業をはじめとした法人さまに対して、Google Workspace の導入サポートを行っています。Google Workspace の導入を検討している方は、お気軽に電算システムへご相談ください。
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