プレゼン資料を作成できるツールには、PowerPointやGoogleスライドなどのさまざまな種類があります。なかでもGoogleスライドは、クラウド上で資料の作成や共有、複数人での共同編集を行えるのが特徴です。
データを保存するためにサーバーを構築したり、ツールを利用するためにソフトウェアをインストールする必要がありません。Googleアカウントさえあれば手軽に利用できるため、テレワーク環境にも柔軟に対応が可能です。
本記事では、Googleスライドの特徴や機能、使い方などを詳しく解説します。
Googleスライドとはクラウド型のプレゼン資料作成サービス
Googleスライドとは、Googleが提供するクラウド型のプレゼン資料作成サービスです。スライドショー形式の資料の編集や共有、PowerPointへの変換、PDFへの書き出しなどの作業がオンライン上で完結します。
Googleアカウントがあれば編集画面にログインできるため、ソフトウェアをインストールする必要がありません。複数のユーザーを招待して共同編集できるのもポイントです。そのため、社内はもちろん、外出先やテレワーク中など、場所を問わずにプレゼン資料を作成できます。
Googleスライドの特徴
Googleスライドには次のような特徴があります。
- 必要なものはインターネット環境とGoogleアカウントのみ
- 基本利用料は無料
- 複数人でのリアルタイムな共同編集が可能
- ほかのソフトウェアで作成した資料を簡単に移行できる
- 社外からでも資料の作成や閲覧が可能
それぞれの特徴について詳しく解説します。
必要なものはインターネット環境とGoogleアカウントのみ
クラウドベースのGoogleスライドは、気軽に導入できるのが特徴です。サービスを利用するには、WebブラウザからGoogleスライドにアクセスし、Googleアカウントとパスワードを入力するだけでログインできます。インターネットに接続した状態であれば、ソフトウェアのインストールはもちろん、サーバーやネットワークなどの構築も不要です。
基本利用料は無料
Googleスライドは基本無料でサービスを利用できます。無料といっても機能が大きく制限されているわけではなく、スライドショーの作成や編集、共有など、プレゼン資料制作に必要な幅広い機能を使えます。
ただし、無料版では1ユーザーあたり15GBまでしかデータを保存できないので、注意が必要です。有料版にアップグレードすると、料金プランによって30GB~5TBまで容量を拡張できます。
有料版のGoogleスライドを利用するには、GmailやGoogleドライブなどの複数のGoogle有料サービスが搭載された、Google Workspaceを導入しましょう。Google Workspaceの特徴や機能、使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
複数人でのリアルタイムな共同編集が可能
Googleスライドで作成した資料はリアルタイムで更新されます。つまり、複数人が同じ資料を編集しても、編集内容が即座に同期され、更新の漏れやミスがほとんど発生しない仕組みです。ディレクターやライター、イラストレーターなど、さまざまなユーザーが頻繁にアクセスするようなケースでは、複数人でのリアルタイムな共同編集が可能なGoogleスライドが役立ちます。
ほかのソフトウェアで作成した資料を簡単に移行できる
Googleスライドは、PPTやPPTX、ODPなどのファイル形式に対応しています。対応範囲内であれば、ほかのソフトウェアやアプリケーションで作成したプレゼン資料でも、ほぼワンクリックでGoogleスライドにアップロードできます。例えば、自身の担当範囲のみをPowerPointで作成し、複数人で編集する際はGoogleスライドへと作業を引き継ぐといったことが可能です。
社外からでも資料の作成や閲覧が可能
GoogleスライドはWebブラウザ版以外に、iOS・Android版のサービスも用意されています。モバイルアプリを導入すれば、スマートフォンやタブレットを用いて社外からでもGoogleスライドを利用できます。
クラウド上でリアルタイムに資料を編集できる、モバイルアプリにも対応しているといったメリットを活かすことで、テレワークやフリーアドレスなどの多様な働き方にも対応しやすくなります。
Googleスライドに搭載されている5つの機能
Googleスライドに搭載されている機能は次の通りです。
- プレゼン資料の作成・編集
- スライドショー
- 変更履歴
- テンプレート
- プレゼン資料の共有
それぞれの機能を理解することで、Googleスライドの活用方法が見えてきます。機能ごとの役割や特徴を解説します。
プレゼン資料の作成・編集
Googleスライドでは、「スライド」と呼ばれる単位で、複数のページをひとまとめにした資料を作成できます。そのため、単一のページを作成するのが中心のGoogleドキュメントよりも、プレゼン資料や冊子などを作成する場合はGoogleスライドが向いているでしょう。
デザイン性の高い資料を作成するための編集機能も豊富に用意されています。
- レイアウト・背景・テーマ
- テキストボックス
- 図形・グラフ作成・描画
- 画像・動画・音声挿入
- 切り替え効果
- スライドの配置変更・整列・回転
- スライド番号
ほとんどの機能はワンクリックで利用できるため、高度な知識や技術は不要です。Googleスライドなら誰でも簡単にプレゼン資料を作成できます。
スライドショー
スライドショーとは、Googleスライドで作成した複数のページ(スライド)を画面上に表示して、1ページずつ順番に切り替える機能です。これによりプレゼンのような形で参加者に資料の内容を紹介できます。
Googleスライドでは、スライドの切り替え方(モーション)の細かい設定が可能です。モーションには次のような種類があります。
- ディゾルブ:スライドが徐々にフェードして次のスライドが現れる
- フェード:いったんスライドが消えて画面が黒くなり、徐々に次のスライドが現れる
- 右からスライド:前のスライドが左へ移動し、次のスライドが右からゆっくりと現れる
- ギャラリー:いったんスライドが奥へと引いた後、次のスライドが現れる
など
モーションはスライド個別、またはスライド全体のいずれかに反映できます。また、テキストや図形などのオブジェクト単位で、フェードインやスライドアウトといったアニメーションを付与できるのも特徴です。モーションやアニメーションの機能を活用すると、スライドショーに動きが加わるため、視聴者の興味喚起につながります。
変更履歴
Googleスライドでは、スライドの変更履歴を確認できます。変更した日時やユーザー名、追加・削除したオブジェクト、更新内容などが、すべて履歴として残ります。仮に更新内容に誤りがあれば、過去のスライドを復元することも可能です。
テンプレート
テンプレートギャラリーから雛形を選択できるのもGoogleスライドの特徴です。テンプレートを利用することで、一からスライドを作成する必要がないため、作業効率の向上が見込めます。
また、Googleスライド用のテンプレートは、インターネット上の有志サイトからでもダウンロードできます。なかにはプロのデザイナーが作成した高品質なテンプレートを無料でダウンロードできる場合もあるため、「Googleスライド テンプレート」のキーワードで検索してみるのも一案です。
プレゼン資料の共有
Googleスライドで作成した資料は、URL一つで共有が可能です。共有URLをコピーして共有先にメールやチャットで通知する、あるいはGoogleアカウントでユーザーを招待するだけで済みます。
資料を共有する際に権限を設定できるのもポイントです。Googleスライドの権限は、「閲覧者・閲覧者(コメント可)・編集者」の3つに分類されます。例えば、プロジェクトメンバーのみ編集権限を与え、取引先や顧客には閲覧権限を付与するといった使い方が可能です。
GoogleスライドとPowerPointの違い
GoogleスライドとMicrosoftのPowerPointは、どちらもクラウド上でスライドを作成できるツールです。両者は似ているようで、料金や機能性などの細かい点に違いがあります。
結論からいえば、料金の安さやストレージ容量の大きさを重視するならGoogleスライド、機能性の高さを優先するならPowerPointがおすすめです。それぞれの違いについて3つの観点から解説します。
料金
GoogleスライドとPowerPointには、どちらにも無料プランが用意されています。そのため、時間をかけてじっくりと機能性や操作性を確認できる点は変わりません。
有料プランに限っては、Googleスライドのほうがお得です。Googleスライドの有料版を利用するにはGoogle Workspace、PowerPointの有料版を利用するにはMicrosoft 365と、それぞれグループウェア(複数のコミュニケーション機能が搭載されたツール)を導入する必要があります。
Google Workspaceの場合は月額680~2,040円、Microsoft 365は月額899~3,298円と、前者のほうがやや割安であることがわかります(価格はすべて年間契約の場合)。
ストレージ容量
ストレージ容量が大きいほど数多くのスライドを保存できます。そのため、多くのユーザーを招待して膨大な量の資料を作成するなら、ストレージ容量が大きいに越したことはありません。
PowerPointよりもGoogleスライドのほうが、より大きい容量が用意されています。
Googleスライドのストレージ容量は、無料プランが1ユーザーあたり15GB、有料プランは30GB~5TBです。一方のPowerPointは、無料プランが1ユーザーあたり5GB、有料プランは1TBです。
いずれの場合でも、容量が不足するとストレージを追加できます。ただし、容量を追加するほど費用がかさむため、標準のストレージ容量が大きいGoogleスライドのほうが、費用を抑えつつ十分なデータ保管スペースを確保できるでしょう。
機能性
機能性に関しては、GoogleスライドよりもPowerPointが優れています。PowerPointはGoogleスライドに比べて、図形や描画ツール、スライドのモーションやアニメーションの種類が豊富です。また、テンプレートの種類も多いため、Googleスライドよりもデザインの幅が広がります。
ただし、Googleスライドにも、プレゼン資料作成に必要な機能は十分に搭載されています。デザイナーを起用して高品質な資料を作成するような場合でもない限りは、Googleスライドでも問題はないでしょう。
データの保存場所
基本的に、Googleスライドで作成した資料はGoogleドライブに、PowerPointの場合はOneDriveにデータが保存されます。また、どちらもローカル上に資料をエクスポートすることも可能です。そのため、普段使用しているクラウドストレージをもとに、GoogleスライドとPowerPointを選び分けるのも良いでしょう。
例えば、普段はGoogleサービスを利用する機会が多いのに、スライド作成ツールのみPowerPointを利用するようになると、GoogleドライブとOneDriveの両方を管理しなければならず、管理工数の手間や工数が増えてしまいます。スライド作成ツールだけでなく、メールやチャット、表計算ツールなど、さまざまなコミュニケーションツールを俯瞰的に捉え、サービスを一本化することが重要です。
Googleスライドの導入方法・使い方
Googleスライドの導入から基本的な運用までの手順は次の通りです。
- Googleスライドにアクセス
- プレゼン資料の作成
- スライドショーの開始
- プレゼン資料の共有
手順ごとに進め方を解説します。
1. Googleスライドにアクセス
Googleスライドにアクセスするには、Googleの公式サイトまたはGoogle Chromeのトップページからアプリ一覧をクリックし、[スライド]を選択します。
Googleスライドは基本無料で利用できますが、ログインするためのGoogleアカウント(Gmailアドレスとパスワード)が必要です。Googleアカウントを保有していない場合は、こちらの記事で作成方法を解説しているので参考にしてください
2. プレゼン資料の作成
Googleスライドにアクセスするとトップページが表示されるので、[空白のプレゼンテーション]をクリックしてプレゼン資料を作成しましょう。
プレゼン資料は一から作成する以外に、テンプレートを利用する方法もあります。この場合は[テンプレートギャラリー]をクリックすると、利用可能なテンプレート一覧が表示されます。
編集画面が表示されると、変更したいオブジェクトを選択した状態で、画面上部にある編集ツールを使って加工します。
3. スライドショーの開始
プレゼン資料の作成が終わりスライドショーを始める場合は、画面右上の[スライドショー]をクリックします。作成した資料が画面全体に表示され、指定したモーションやアニメーションが開始します。
モーションを変更する場合は、編集ツールから[切り替え効果]を選択しましょう。
[スライドの移行]の項目にあるドロップダウンリストから任意のモーションを選びます。
また、この状態でオブジェクトを選択すると、[アニメーションを追加]を選択できるようになります。
[アニメーションを追加]をクリックすると、オブジェクトごとに任意のアニメーションを付け加えられます。
4. プレゼン資料の共有
プレゼン資料を共有する際は、画面右上の人型のマークをクリックします。すると共有設定画面が開くので、共有方法と権限を設定しましょう。
アクセスするユーザー全員に同じ権限を与える場合、[一般的な設定]欄の[制限付き]を[リンクを知っている全員]に変更し、[閲覧者]の権限も変更します。
閲覧のみを許可するなら[閲覧者]、閲覧と編集の両方を可能にするなら[編集者]といったイメージです。最後に、[リンクをコピー]をクリックすると共有URLをコピーできるため、共有したい人にメールやチャットなどで通知します。
ユーザー個別に権限を設定するなら、[ユーザー、グループ、カレンダーの予定を追加]の入力窓に、共有するユーザーのGoogleアカウント(Gmailアドレス)を入力します。
すると、そのユーザーに対する権限を設定できます。
[送信]をクリックすると、対象のGmailアドレスに共有URLが届く仕組みです。
Googleスライドの活用方法
Googleスライドには次のような活用方法があります。
- プレゼン中のQ&A
- Google Meetでの画面共有
- 音声付きプレゼン資料の作成
それぞれの活用例を詳しく解説します。
プレゼン中のQ&A
Googleスライドのスライドショーを進めている際、観覧者からの質問を受け付けられます。プレゼンター側の質問に対する回答も可能です。質問と回答はスライドショーの画面内に表示できるため、プレゼンを邪魔することなく質疑応答を行えます。
Q&Aを利用する手順は次の通りです。
- スライドショー中の画面から[プレゼンタービュー > ユーザーツール]にアクセス
- [新しいセッションを開始]してQ&Aをスタート
- プレゼンが終了すると自動的にQ&Aも終了
質疑応答の履歴はデータとして残るので、プレゼン資料の補足として活用できるのが利点です。
Google Meetでの画面共有
離れた場所にいるユーザーと画面共有しながらプレゼンを行いたい場合は、Google Meetを活用しましょう。Google MeetはWeb会議ツールで、会議中にコメントやファイルの送信、画面共有が可能です。
プレゼンターが自身の端末画面を共有することで、会議参加中のユーザーもスライドショーを閲覧できます。また、リアルタイムに質疑応答を行えるのもメリットです。
音声付きプレゼン資料の作成
Googleスライドには音声ファイルを貼り付けられます。そのためには、まずGoogleドライブやローカル上に任意の音声ファイルを保管しておきましょう。
Googleスライドに音声ファイルを貼り付ける手順は次の通りです。
- Googleスライドの編集画面から[挿入 > 音声]をクリック
- Googleドライブやローカルフォルダなどから音声ファイルを開く
- スライド上に表示されたスピーカーアイコンをクリックすると音声が流れる
スピーカーアイコンをクリックすると、音調調節やループ再生も可能です。音声付きプレゼン資料を作成することで、ユーザーはプレゼンのような感覚で資料を閲覧できるため、観覧者を集めてプレゼンを開催する必要がありません。
Googleスライドを活用して効率良くプレゼン資料を作成しよう
クラウド上でスムーズにプレゼン資料を作成したり、複数人で共同編集を行ったりする場合は、Googleスライドが役立ちます。Googleスライドは基本無料で利用でき、ソフトウェアやサーバーなどを用意する必要がありません。また、場所を問わずに利用できるため、テレワークなどの幅広い形式の働き方にも対応しやすいでしょう。
電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Googleサービスの導入支援サービスを提供しています。Googleスライドはもちろん、Google Workspaceのサポートにも対応しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。「Googleサービスを活用したいが具体的なイメージが湧かない」といったお悩みを抱える方は、ぜひ電算システムへと気軽にお問い合わせください。
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