テレワークやフレックスタイムといった柔軟な労働制度が普及するに連れ、あらためて社内コミュニケーションの重要性が問われています。社内コミュニケーションが不足している状態は、組織の生産性や従業員のモチベーションを低下させる要因にもなりかねず、早急な対策が必要です。
しかし、社内コミュニケーション活性化に向けて取り組みを進めようにも、「どのように施策を展開すべきかわからない」「現状の課題が見えてこない」と悩んでいる方も多いでしょう。そのため、まずは現状の課題を明らかにし、適切な目的のもと施策を進めていくことが重要です。
本記事では、社内コミュニケーションが重要な理由やよくある課題、活性化させるための方法などを解説します。
社内コミュニケーションとは従業員同士で日常的に行われる会話や交流
- 社内コミュニケーションとは、社内の従業員同士で日常的に行われる会話や仕事のやり取り、情報交換などの行為を指す
- 業務を進めるうえで必要な会話はもちろん、休憩中の雑談やイベント中の交流なども社内コミュニケーションに含まれる
- 組織として効率良く業務を遂行するには、良好な社内コミュニケーションが不可欠
- ほとんどの仕事は一人で完結するのが難しく、複数人で協力して遂行する必要があるため、それぞれが業務の内容や進捗を正確に把握したうえで適正な情報共有を行うことが重要
- また、業務には関係が薄いような何気ない会話も、ときには新たなアイデアの創出や従業員同士のモチベーションアップにつながることもある
- そのため、管理者にとっては、業務の効率性や働きやすさといった多角的な観点から社内コミュニケーションの最適な体制を築くことが大切
社内コミュニケーションが重要な3つの理由
- 組織内の情報共有が活性化するため
- 従業員の定着率の向上につながるため
- 顧客満足度の低下を防げるため
組織内の情報共有が活性化するため
- 組織内で活発な社内コミュニケーションが行われるようになると、情報共有の活性化につながる
- 仕事中のやり取りやミーティング、雑談などを通じて積極的に情報交換をしようとする環境が形成される
- スムーズな情報共有が可能になると生産性向上に発展するのも利点
- 例えば、従業員それぞれが抱えている業務の進捗状況を組織全体で把握することで、ボトルネックや遅延が生じている箇所があれば、スムーズにフォローへと回れる
- 業務フロー全体を従業員同士が協力し合いながら進められるため、業務効率や納期遵守率の向上といった効果が見込める
従業員の定着率の向上につながるため
- 社内コミュニケーションが円滑になると組織全体の風通しが良くなり、従業員同士がお互いに意見をいい合える環境が生まれる
- 忌憚なく意見交換を行える環境は、従業員の士気やモチベーションを考えるうえで非常に重要
- 従業員が普段抱えている不満やストレスを少しだけ声に出すだけでも、随分と気持ちが楽になるだろう
- このような意見を誰とでもいい合える環境を作ることで、ストレスの軽減やモチベーションの向上につながる
- 結果として人間関係のトラブルに悩まされる機会が減り、従業員の定着率の向上へと発展する可能性がある
顧客満足度の低下を防げるため
- 社内コミュニケーションは業務効率や従業員満足度といった内部要素だけでなく、顧客満足度をはじめとする外部要素にも強い影響を与える
- 円滑な社内コミュニケーションが実現すると、顧客に関する情報を共有する機会も増える
- 例えば、顧客の行動傾向やニーズ、商談・問い合わせなどでの会話歴といった情報が組織全体で共有されることで、顧客満足度向上に向けた最適な行動や施策へと発展が可能
- また、部門同士の連携がスムーズになれば、確認漏れや認識不足などの人的ミスが減る
- そのため、人的ミスが原因で顧客満足度が低下する事態を避けられるのもメリット
社内コミュニケーションが不足する5つの原因
従業員同士で顔を合わせる機会が少ない
- 近年は、テレワークやフレックスタイムといった柔軟な労働制度が普及したこともあり、従業員同士で顔を合わせる機会が少ないケースも珍しくない
- このような制度は働き方に柔軟性を生み、従業員のモチベーションや働きやすさにプラスの効果をもたらす一方で、社内コミュニケーションを阻害する要因にもなり得る
- 働く場所が異なる場合、オンライン会議やチャットでもコミュニケーションは可能
- しかし、直接顔を合わせないことで気軽な会話や雑談の機会が減り、組織内の雰囲気が悪化する可能性も考えられる
業務外の会話をしにくい雰囲気がある
- 職場での雰囲気が悪いのも社内コミュニケーションを阻害する要因の一つ
- 例えば、仕事を進めるうえで必要な会話は許されていても、雑談や気軽な会話は許されないというケースはよくある
- 確かに雑談は仕事を進めるうえで本来は必要ないものかもしれない
- しかし、雑談がいっさいない職場は雰囲気が悪化し、従業員の士気やモチベーションを低下させる恐れもある
- 一方で、普段の何気ない会話からビジネスのヒントや、業務を円滑に遂行するための解決策が生まれることもある
- そのため、業務外の会話ができない環境というのも考えもの
従業員が社内コミュニケーションに消極的
- 上層部や管理者側で社内コミュニケーションの活性化を推進しても、従業員側が乗り気でないこともある
- コミュニケーションが不得意な従業員が多い、そもそも従業員が業務外の会話や情報交換を望んでいないなど、さまざまなパターンが考えられる
- 従業員が社内コミュニケーションに消極的であれば、組織風土そのものから見直す必要があるため、改革には大幅な時間や労力が必要
従業員がお互いのことを知らない
- 従業員同士がお互いのことを深く知らないとコミュニケーションが生まれないこともある
- 特に組織の規模が大きくなると、さまざまな部門やプロジェクトチームが増え、顔馴染みのない従業員も多くなる
- このようなケースでは単に情報交換の機会が希薄になるだけでなく、部門間の連携を妨げ、企業競争力が低下する要因にもなりかねないので注意が必要
コミュニケーションツールが形骸化している
- 社内コミュニケーションは対面で直接会話をする以外にも、ツールを活用する手段も含まれている
- 例えば、メールやチャット、Web会議システム、ポータルサイト、社内Wikiなどが代表的なコミュニケーションツール
- ただし、コミュニケーションツールを導入したからといって必ずしも利用されるわけではない
- 「ツールが使いづらい」「操作に慣れない」といった理由で形骸化が進んでいる場合、ツールが機能せずコミュニケーション不足に陥る恐れもある
社内コミュニケーション不足で発生する課題
業務効率の低下
- 効率良く業務を遂行するためには、従業員同士や部門同士のスムーズな連携が必要
- 社内コミュニケーションが不足していると連携が滞り、業務効率を阻害しかねない
- 例えば、情報共有の機会が少なくなれば誤解や誤認識のリスクが高まり、人的ミスが増える可能性がある
- 人的ミスが増えると、業務の見直しや修正といった手戻りの手間や時間がかさむ
- 同じミスを何度も繰り返すことで従業員同士に不信感が生まれ、さらに連携がうまくいかないという悪循環に陥ることも考えられるだろう
業務の属人化
- 属人化とは、特定の情報を一人の従業員しか把握していない状態を指す
- 業務の手順や進捗状況、顧客の購買情報などが特定の従業員に集中した場合、その人物が休んだり離職したりすると業務が滞る可能性が出てくる
- また、知識やノウハウが1ヶ所に集中した結果、ナレッジ共有が進まなくなるのも問題
- 業務の属人化は社内コミュニケーションが不足していると起こりやすくなる
- そのため、些細な情報でもこまめに情報共有を行える仕組みが不可欠
従業員満足度の低下
- 社内コミュニケーションの不足は従業員のストレスの増加やモチベーションの低下を引き起こす
- 結果として従業員満足度が低下し、人材の定着が進まない可能性も考えられる
- 例えば、もともと社内コミュニケーションが希薄な職場では、従業員がお互いの気持ちを把握できなかったり、それが原因で疑心暗鬼になったりと、精神的な負担が大きくなりやすい傾向がある
- また、不安やストレス、不満などを抱えていても、それを相談できる環境が構築されていなければ、士気やモチベーションが低下しかねない
- 従業員満足度の低下は早期離職につながる恐れもあるため、早急な対策が必要
経営層と現場との間における認識のズレ
- コミュニケーションが不足するのは従業員同士だけとは限らない
- 経営層と現場との間でもコミュニケーションが不足し、認識のズレへと発展することもある
- 経営層と現場との間において認識のズレが生じると、ビジネスのさまざまなシーンに影響を与える
- 例えば、何らかのシステムや制度を導入する際、経営層はその重要性を理解していても、現場担当者の理解が不足していることもある
- このような状態で無理に導入を進めようとすると、システムや制度のスムーズな定着を図れないことも珍しくない
- また、不適正な評価に陥る可能性がある点にも注意が必要
- 経営層と現場で評価に対する認識が異なり、「適正に評価されていない」といった従業員の不満につながると、離職率の向上やモチベーションの低下にもつながりかねない
企業競争力の低下
- 社内コミュニケーションが不足すると業務の遅延やミスの増加につながりやすくなる
- このような状態が続けば、ほかの従業員だけでなく取引先や顧客に迷惑をかけることも考えられるだろう
- こうした顧客満足度を下げる行動は企業競争力を低下させる要因
- 本来、顧客満足度を高めるには、顧客の行動傾向やニーズを正確に把握している必要がある
- そのためには営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの部門間連携や情報交換が必須であり、社内コミュニケーションが不足していると実現は困難
社内コミュニケーション不足を解消するための4つの方法
- 課題と目的を明確にする
- 1on1ミーティングを実施する
- 定期的にイベントを開催する
- 気軽に雑談できる環境や仕組みを整える
課題と目的を明確にする
- 社内コミュニケーションを活性化するには、さまざまな取り組み方がある
- しかし、費用や時間的な観点からすべての施策を実行するのは無理があるため、本当に必要なもののみに絞り込むことが重要
- そのためにも現状の課題と社内コミュニケーションの目的を明らかにしよう
- 例えば、業務の属人化がボトルネックになっている場合、現状よりもスムーズに情報共有や情報交換を行える環境や仕組みが必要
- 解決策としては、業務内容や進捗状況をチーム全体で共有できるツールを導入する、あるいは日報や週報といった報告制度を整えるといった方法が浮かびあがる
- 課題と目的が明確になれば必要な施策や要件がわかりやすくなる
- 上層部や管理者だけで決定するのではなく、現場の意見もヒアリングしつつ話を進めるのがおすすめ
1on1ミーティングを実施する
- 1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話する手法
- 一般的に上司と部下の間には一定の距離があるため、無理にでも対話する仕組みがなければ距離が縮まらない
- 1on1ミーティングを実施することで、上司は部下の悩みや不満を把握することができ、部下は上司への相談によって安心感を得られる
- そのため、上司と部下の間で形成されやすい垣根や認識の壁を取り払えるのが利点
- 実際に面談を行う際は、仕事の悩みや将来的なキャリアといった話だけでなく、プライベートに関する相談も対象に含まれる
- 公私両面の話をすることでお互いの距離感が近くなり、コミュニケーションの活性化が期待できる
- ただし、なかにはプライベートの話をしたくない従業員もいるため、相手によって会話する内容を選り分ける柔軟性も求められる
定期的にイベントを開催する
- 大規模な組織であれば、定期的に社内イベントを開催するのも良いだろう
- 従業員なら誰でも参加できるイベントを開くことで、顔馴染みのない従業員同士でコミュニケーションを取る機会が生まれ、新たな社内コラボレーションに発展する可能性がある
- 代表的な社内イベントとしては、新入社員の歓迎会や社員旅行、スポーツ大会、忘年会などがあげられる
- また、社内動画の上映会やゲーム大会、オンライン飲み会など、リモート環境下でイベントを開催するのも一つの方法
- 従業員だけでなく、その家族もイベントに招待することで、さらに交流が深まるだろう
気軽に雑談できる環境や仕組みを整える
- 先ほども紹介した通り、適度な雑談は従業員同士が打ち解ける機会を増やし、社内コミュニケーションの活性化につながる可能性がある
- そのため、気軽に雑談できる環境や仕組みを整えるのも一案
- 例えば、オフィス内に休憩スペースやリフレッシュルーム、喫煙所などを設置する方法が浮かびあがる
- デスク周りや作業場では雑談しにくい場合でも、このような設備があることで従業員同士が気軽に話し合える環境が生まれる
- ただし、雑談の機会が増えて業務効率が低下するリスクもあるため、設備の利用方法や利用時間などのルールを設けることも大切
社内コミュニケーションを活性化させた成功事例
- 国内で積極的に社内コミュニケーションの取り組みを行っている企業としては、日本花王グループがあげられる
- 同社は人材開発の基盤的活動としてダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(Diversity, Equity and Inclusion: DE&I)を推進しており、その一環として受容性と多様性のある職場作りを目指している
- 例えば、専用のコミュニケーションスペース「花王DE&Iのひろば」には、DE&Iに関心を持つ従業員が自主的に集い、連日関連トピックの情報交換や情報共有が行われている
- 従業員だけでなく上層部や管理者も集まり、双方向的なコミュニケーションスペースとして活用されているのが特徴
- また、任意参加のイベント「クイズでまなぶDE&I」も定期的に開催されており、従業員はDE&I推進活動に触れつつ、ほかの従業員と交流の機会を持てる
- 社内コミュニケーション活性化の事例については、こちらの記事でも詳しく紹介している
社内コミュニケーション改善に役立つツール
- 円滑な社内コミュニケーションを実現するためには、ツールを活用するのもおすすめ
- 社内コミュニケーション向けのツールには、メーラーやビジネスチャット、Web会議システムなど、さまざまな種類がある
- しかし、一つひとつのツールを導入しようとすると手間やコストがかかるため、複数のコミュニケーション機能が統合されたグループウェアを導入するのも良いだろう
- Google Workspaceは、20種類近くのGoogleサービスが複合されたグループウェア
- GmailやGoogleドライブ、Google Meet、Googleカレンダーなど、社内コミュニケーション活性化に役立つ幅広いサービスが搭載されている
- Google Workspaceに搭載されているサービスはすべて有料版なので、無料版よりも機能が充実している
- 例えば、Googleドライブはストレージ容量が1ユーザーあたり30GB~5TBに拡張されている
- Google Meetもオンライン会議の同時参加者数が100~1,000人まで対応している
- そのほか、セキュリティ機能やサポート内容も充実しているため、大規模な組織でも安心してGoogleサービスを利用できるのが強み
円滑な社内コミュニケーションを実現させて組織の生産性を高めよう
- 記事のまとめ+CTA
- 社内コミュニケーションは、組織の業務効率や生産性を高めるうえで欠かせない要素
- 情報共有や情報交換の機会が希薄であれば、スムーズに業務を遂行できなかったり、人的ミスが増えたりするリスクがある
- そのため、社内コミュニケーションが不足している場合は、ツールの活用や1on1ミーティングの実施といった取り組みが必須
- より円滑な社内コミュニケーションを実現するため、ツールを導入する際は、Google Workspaceを検討してみてはいかがだろうか
- Google Workspaceには数多くのコミュニケーション機能があり、最大限に活用することで社内コミュニケーションを活性化できる
電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Googleサービスの導入支援サービスを提供しています。Googleサービスはもちろん、Google Workspaceのサポートにも対応しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。「Googleサービスを活用したいが具体的なイメージが湧かない」といったお悩みを抱える方は、ぜひ電算システムへと気軽にお問い合わせください。
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