2021年は、年明け早々に 1 都 3 県より「緊急事態行動」の要請が検討され、政府も「緊急事態宣言」の発出にむけて調整に入るなど、例年とは異なる緊迫した空気のなかでスタートを切りました。
昨年は、テレワークという働き方が、新型コロナウィルス蔓延とともに拡大した一年でもありました。ビデオ会議システムを提供する企業の株価が軒並み高騰したのも記憶に新しいところです。しかし、全国的には通勤に自家用車を利用している地域も多く、テレワークの必要性を感じないままに今日まできたという企業さまや、導入準備や検討をしたものの、様々な理由から導入を見送ったという企業さまもいらっしゃるかと思います。
きっかけはどうあれ、テレワークという制度を取り入れることで副次的にもたらされるポジティブな効果は多岐にわたります。テレワーク導入をしょうがなく検討するのではなく、テレワークの効果が実証された今だからこそ、前向きに社員の自由な働き方、自社に合ったニューノーマルを検討したいというふうに、マインドチェンジいただければ幸いです。
そうは言っても、コスト>メリット。無い袖は触れないと思うご担当者さまもいらっしゃるかとは思います。そこで本稿では、費用や手間を最小限に抑え、最大限に効果を出せるよう、まずはタイプ別におすすめのテレワークの始め方をご紹介し、その上で導入効果にも触れたいと思います。
タイプ別:賢いテレワークの始め方
全Type共通:最低限の検証とスモールスタート
まずはスモールスタートで、できるだけ早く始めるのが成功の秘訣です。検証が長引くほど、次のステップに進む一歩が重くなります。既成事実化するためにも、ある程度検証してみていけそうだと踏めば、少数からスタートし、実務に合わせたルールを走りながら策定していくのも一つの手です。そのため、比較的チャレンジしやすい職務の社員から始めてもらうことをオススメします。(敢えて、社長や役員の方から環境を整えることで、全社展開に弾みがついたという企業さまもいらっしゃいます!)
逆にやってはいけないこともあります。それは、既存の環境でできることをそっくりそのまま求めることです。今までと違う新しい制度を取り入れ、環境を創り上げるのです。これまでの働き方やポリシーの継続を目指していては、イノベーションは起こせません。なぜ導入する必要があるのか、目的やゴール(実現したいこと)を明確にし、それらをスピーディーに実現するための方法を考える必要があります。
【対象部門を絞る】
POINT:比較的テレワークしやすい業務内容の部門を選ぶ
ex.)営業部門の1チームや情報システム部門の一部など
ex.)特定業務や、少しの時間のみPCを利用するライトユーザに配布をする
【対象人数を絞る】
ex.)大企業:30名以下、中堅企業10名前後、小規模企業:5名前後
Type A : コストも手間も極力かけたくない
先行き不透明な今、大きな投資ができないという企業さまは多いと思いますが、必ずしも多大なコストをかける必要はありません。検証についても、大掛かりで高額なシステムを導入するのであればそれだけ多くの人的リソースを投入することになりますが、最小限の構成で始めれば、短期間で終わります。前述の通り、スモールスタートで徐々に広げるやり方であれば、コストをコントロールすることもできます。一番導入効果の大きいと思われる部門や職務の方からスタートしてください。(電算システムでは、Chromebookやオプションサービスの無償検証環境のご提供を行っております。ぜひ、ご活用ください。)
【マストで用意するもの】
- 安価なノートPC(既存のものでもOK)
- 端末管理ライセンス(MDM)
【既存環境・業務内容により選択】
- リモートデスクトップサービス
- VPN
- Web会議システム(無料のサービスでもOK)
社内システムにアクセスする必要がある、Office 2016 以前のバージョンを業務のメインツールとして利用している・・・etc.の理由から、スプラッシュトップなどのリモートデスクトップサービスを同時に導入したり、VPNにアクセスできる社員を拡張する企業さまが多いです。Web会議システムについては、無料で使えるものも多くあるのでぜひ、いくつかお試しいただき自社に合うものをご選択ください。
自宅など社外で利用するので端末にファイルを保存させたくない、セキュリティ面で不安がある・・・という場合は、設定するための端末管理ライセンス(MDM)を導入することで対応できます。
とはいえ、基本的にはノートPCとインターネット回線があれば、テレワークは始められます。さらに昨年は、テレワーク助成金の恩恵で、最大300万円ほど助成された例もあるかと思います。コストを重視するのであれば、そういった助成が受けられるチャンスもぜひお見逃しなく。
Type B : 新しい端末を購入しないで、セキュアに始めたい
新しい端末を購入したばかりで、全部の端末を買い換える申請が通りそうにないが、既存の端末をそのまま使わせるのは、セキュリティ的に不安・・・というお客様は意外にいらっしゃいます。そんな場合には、既存PCのOSを Chrome 化することのできる Chrome OS Flex(旧 Cloudready ) のインストールがおすすめです。Chromebook 等の Chrome OS 端末と異なる部分もありますが、Chrome OS Flex をインストールしたPCも同様に Google 管理コンソールから管理することができるようになります。ユーザーにとっては使い慣れた端末を継続して利用でき、企業にとってはPC調達にかかるコストと時間を節減できるというメリットがあります。
【マストで用意するもの】
- PC( H/W要件・認定モデル※英語サイト )
- USBメモリ
- 端末管理ライセンス( Chrome Enterprise Upgrade )
Chrome OS Flex(旧 Cloudready )は、Chrome OS 端末管理ライセンス( Chrome Enterprise Upgrade )の一機能です。企業向けは年額7,000円から利用可能で、個人向け(無償版)のほか、教育機関向け(有償版)もあります。とりあえず、簡単に検証してみたいということであれば、無償でインストール可能です。ぜひお試しください。
Type C : Google Workspace を最大限有効活用したい
現在、Google Workspace ( 旧 G Suite )を導入しており、業務のメインツールとして利用している従業員が多ければ、すぐにでもテレワークを始めることができるかと思います。Web会議システムも費用内で機能に含まれているので、追加で用意するものが少なくて済むこともメリットの一つです。Google Workspace ユーザーであれば親和性の高さから、端末は Chromebook を利用するのが、ユーザー側にとっても管理者側にとっても、最善の選択になるかと思います。
【マストで用意するもの】
- Chromebook
- 端末管理ライセンス( Chrome Enterprise Upgrade )
【既存環境・業務内容により選択】
- リモートデスクトップサービスやVDI(DaaS含む)
- VPN
既に、Google Workspace 内で作成しているユーザーアカウントや組織を利用して、端末ポリシーやアカウントポリシーを振り分けることができ、管理コンソールも一つに集約されますので、Google Workspace ユーザーさまには、オススメです。また、端末管理ライセンス( Chrome Enterprise Upgrade )を利用して、端末でのダウンロードを禁止し、Google ドライブ 上にファイルを蓄積させる運用とすることにより、以前に比べて Google ドライブ の使用率が上がったというお声も。Web会議ツール( Google Meet )なども、テレワーク導入前は、あまり利用されていなかったが、テレワークを導入してからよく利用されるようになった等、Google Workspace の利用率が上がり、費用対効果やコラボレーション効果が高まったという結果も多く見受けられました。
Type D : とにかくセキュリティをガチガチに固めたい
コストをかけてでも、とにかくセキュリティを万全にしたい・・・ということであれば、VDI環境の構築が有効な手段の一つとなります。これまでの働き方をできるかぎりそのまま社員に展開したい、というニーズにマッチするかと思います。ただし、ネットワーク環境やVDI環境のスペックに依存することも多いため、前述の通り、スモールスタートでの検証利用をオススメいたします。
【マストで用意するもの】
- VDI(DaaS含む)環境の構築
- ノートPC + 端末管理ライセンス( MDM )
- VPN
端末に Chromebook をご選択された場合、管理ライセンスと併用することで、シンクライアント的なご利用やURLフィルタリングの設定なども可能になります。また、当社では Chromebook と親和性の高い仮想デスクトップサービス(DaaS): Amazon Workspaces の検証もお手伝いさせていただきます。ぜひ、お気軽にお申し付けください。
テレワーク導入の効果
テレワーク導入について、ネガティブなイメージをもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、昨年は多くの企業でテレワーク化が進み、副次的な効果を感じているという声が多くありました。以下、実際に弊社へ寄せられたお客様のお声を集めてみました。
従業員のエンゲージ面と向上・勤怠の改善
『通勤時間がないため、その時間を余暇に充てることができるようになり、ワーク・ライフ・バランスが整った』・・・このご意見は、圧倒的に多かったです。『従業員の満足度も向上し、離職率が減った』という声もよく聞かれます。また、『遅刻がほぼなくなった』など、勤怠も改善したという意見もありました。
生産性の向上
生産性が上がったというお話は、特に営業系の職種でよく聞かれました。『客先への訪問からオンラインMTG中心に変わったことで、移動時間が0になり、1日に対応できる件数が飛躍的に伸びた』ということです。コロナ禍であっても、Web会議システムを利用した商談で、売上も利益も大幅に伸びたという企業さまも多いようです。また、コンシューマー向けの来店型の店舗・ショールームでは、『Web会議システムを取り入れることで、売上を極端に落とさずに済んだ』というお話もいただきました。
採用時に他社優位性を出せた
『地方の会社なので、テレワーク制度を採用サイトのなかでアピールすることで、他社との差別化ができたように思う』というご意見もありました。確かに、同業種や同規模の会社で待遇面も大きく変わらない場合、テレワークがある会社の方が人気が出るかと思います。反対に、首都圏では、テレワーク制度を導入していないことで、選択肢から外されてしまうということもあるかもしれません。同業他社の同行をチェックしてみてはいかがでしょうか?意外にも、創業100年を超える老舗企業が積極的にテレワークやクラウド化を取り入れていたりすることが分かりますよ。
クラウド化・ペーパレス化が推進された
2011年の東日本大震災以降、国内でBCP対策という考え方が進み、クラウドサービスの導入も徐々に進んできました。しかし、日本独特のハンコリレーや紙文化は消えずに残っており、完全なクラウド化やペーパレス化の実現を難しくしていました。『テレワーク導入をきっかけに、完全クラウド( & Web )化を達成した』『ペーパレス化が飛躍的に促進された』などの声が聞かれました。さらには、『ワークフローをクラウド化したことで、ハンコリレーがかなりスピードアップされた』『電子印の普及が進んだ』というお話も伺っております。
コスト削減
『出社人数が減ったので オフィス を縮小し、フリーアドレス(特定の席の廃止)を導入することで家賃や光熱費、維持費等の諸々のコストが大幅に削減されました。社員全員にノートPCとスマートフォンを貸与することになりましたが、それでもコスト削減効果の方が大きかったです』というお声も。オフィスの賃料は大きいので、削減した分をIoTに投資しても、それでも利益が上回ったというのはすごいことですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今後、テレワークを実施したほとんどの企業では、新型コロナウィルスの流行が収束した後でも週1〜3回程度のテレワーク勤務を継続するとの情報もあります。
ぜひ、前向きにテレワーク導入のご検討を始めてみてください。電算システムでは、Chromebook および 管理ライセンス( Chrome Enterprise Upgrade ) の無償トライアルや Amazon Workspaces の検証ご支援も行っております。
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