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文科省・高等学校における端末整備状況の調査結果を考察する

 2022.03.15  2023.03.28

2月4日に文部科学省は「高等学校における学習者用コンピュータの整備状況について」の調査結果を公表しました。GIGAスクール構想によって、全国の公立小・中学校ではすでに1人1台の端末整備が行われてましたが、高等学校における整備状況は地域によってばらつきがあります。調査結果から見えてきたことを整理したいと思います。

文科省による調査の概要

今回の調査は、公立高等学校の設置者である自治体ごとに、学校数・生徒数・公費整備台数・PC教室分台数・BYOD端末台数を集計して合計台数を算出しているほか、合計台数を生徒人数で割ることで整備率を提示しています。なお、数字は令和4年度の見込みとなっています。またPC教室の台数を含めると100%を超える自治体もあります。

例えば、青森県では22,492人の生徒に対して、公費整備台数が22,492台となっており100%の整備率となっています。栃木県でも35,278人の生徒に対して、公費整備台数が35,278台となっており100%の整備率となっています。このように自治体が生徒分の端末を公費整備によって100%賄っているのは、群馬県、新潟県、石川県、富山県、福井県、岐阜県、大阪府、和歌山県、徳島県、山口県、愛媛県、高知県、佐賀県、熊本県、大分県、新潟市、北九州市、福岡市となっています。

公費整備台数にPC教室分台数を足し合わせると、整備率が100%に到達するのは、秋田県、堺市となっています。

一方で、長野県では42,682人の生徒に対して、公費整備台数が20,045台で、PC教室分台数は5,557台です。これにBYOD端末台数の24,026台と足し合わせると49,848台となり、整備率が100%になります。こうしたパターンに該当するのは、三重県、広島県、千葉市、川崎市です。

BYOD端末台数も加えると整備率が100%の自治体(文科省データを元に電算システムが作成)

都道府県名

長野県

三重県

広島県

千葉市

川崎市

学校数

82

57

81

2

9

生徒数

42,628

33,712

40,259

1,908

4,304

公費整備台数

20,045

14,185

1,640

0

1,610

PC教室整備台数

5,577

8,243

6,829

267

1,546

BYOD端末台数

24,026

11,650

34,446

1,908

2,057

合計台数

49,648

34,078

42,915

2,175

5,213

台数/人(%)

100%

100%

100%

100%

100%

文科省・高等学校における学習者用コンピュータの整備状況について

https://www.mext.go.jp/content/20220204-mxt_shuukyo01-000003278_001.pdf

調査結果では、1人1台端末の費用負担を原則としてどう考えているかの記述も紹介されています。都道府県別では、設置者負担を原則しているのが24自治体で、保護者負担を原則としているのが23自治体でした。市町村別では設置者負担を原則しているのが5自治体で、保護者負担を原則としているのが13自治体でした。

高等学校における1人1台端末導入のご案内

高等学校における1人1台端末導入のご案内

GIGAスクール構想により、多くの小中学校では1人1台の環境と高速通信ネットワーク環境が整いました。
今後、高等学校においても切れ目なく環境整備をすることが、新しい学習指導要領の全面実施に向けて必要不可欠です。
学校で Chromebook が選ばれる秘訣、端末整備・管理のあり方、BYADによる導入方法などを紹介しています。Chromebook の導入をご検討いただいている学校におすすめです。

  • 1人1台の導入背景
  • Chromebook の特徴と端末整備・管理のあり方
  • DSKの Chromebook 導入・活用支援サービス

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端末整備の分岐点

上記の結果からもわかるように、端末の費用負担を誰が担うかというのが大きな分岐点になります。現状、小・中学校では自治体によるほぼ費用負担ですが、高等学校では自治体負担と保護者負担で2分されているようです。

それぞれの導入方法にメリットとデメリットがありますので、特徴や留意点を押さえてしっかり整備計画を練る必要があるでしょう。

学校・自治体で購入を行う際には、予算の範囲内で学習活動に最適な端末を選ぶことができますので、活用用途や場面をしっかり吟味して端末選びをするのが良いでしょう。有事に備えて、オンライン授業に対応できるようにすることも必須要件でしょう。

また、これまでのコンピュータ室の整備などと同様に、数年後に機器更新のサイクルが巡ってくることや、古くなったパソコンの処理方法なども考慮に入れて検討を行う必要があります。さらに、学校からの貸与という形態を取っているため、故障や紛失に備えて代替機などの準備も忘れずにしましょう。

費用負担別の1人1台の導入形態

学校・自治体

保護者

機器の貸与

BYOD・BYAD・CYOD

保護者負担による整備形態

保護者の費用負担を前提とした導入方法はBYOD・BYAD・CYODの3つがあります。

まず、BYODとはBring Your Own Device の略で、自分が持っている端末を自由に持ち込む形態です。

端末の種類はパソコンやタブレットで、場合によってはスマートフォンといったこともあるでしょう。すでに手持ちの端末を学校に持ち込むことができるため、保護者の負担を最小限に押さえることができます。また、生徒は普段から使い慣れている端末を使うことができるため、スムーズに授業で使い始めることができます。

一方で、普段使いしている端末では、生徒はさまざまなアプリケーションをインストールしています。そこからパソコンウイルス感染が起きたり、学校の情報が流出したりといったリスクを考慮する必要があります。

また、端末にはタッチパネルやペン、カメラの有無などの固有差が生じますので、そうした点を考慮に入れて、授業を組み立てる必要があります。さらに、紛失や盗難といったトラブルが起こることもありますが、管理運用面での支援が難しい点も予め織り込んでおく必要があるでしょう。

次は、BYADとはBring Your Assigned Deviceの略で、学校が端末の種類やスペックをすべて指定して導入する形態です。

導入する機種が統一されているというのが特徴かつメリットになります。まず、操作やトラブルの対応が統⼀されるため、教員の負担が⼩さくなります。次に、端末の故障や紛失などトラブルの際の対応フローが明確でシンプルです。 管理運用面では、OS バージョンが統⼀されているため、アプリやソフトウェアのバージョン管理が容易なのもメリットです。家庭の経済格差によって、低スペック端末や中古端末を使うことによるいじめ等の問題が発⽣しない点も見逃せません。

Chromebook を導入した場合には、Chrome Education Upgrade (CEU)という MDM を活用することで、授業中に不必要なサービスやアプリの利⽤を一括して制限することが可能です。また端末の紛失時・盗難時に遠隔からロックすることや初期化しても管理対象端末のままで設定することが可能なため、盗難時のデータ漏洩対策、盗難対策も可能です。

BYADによる導入は、機種を指定でき、端末を管理するMDMを使えるため、生徒が自由に端末を持ち込むBYODと比べて、安心して端末を使える環境を整備でき、運用もラクにできます。電算システムではオススメの導入形態です。

最後に、CYODとは Choose Your Own Device の略で、学校がある程度端末の機種やスペックを指定しながら、利用者に複数の候補を示しながら導入する形態です。

保護者に選択を委ねることができるため、完全に指定するBYADよりは、生徒が自分自身の端末という気持ちを持ちやすい点がメリットとして挙げられます。

例えば、学校が Chromebook を導入しようとした場合には、「キーボード付きで画面サイズが11インチ以上で、ハードディスクが4GB以上、ストレージが32GB以上の Chromebook 」と指定すれば、複数メーカーのいわゆるGIGAスクール端末モデルが候補として挙がってきますので、そのなかから利用者に選んでもらうことができます。

Chromebook での CYOD を採用した場合でも Chrome Education Upgrade (CEU)は適用できるため、端末の管理運用面での快適さは損なわれません。

とはいえ、端末を購入するための手順や方法は、学校がより具体的に示す必要がありますので、信頼できる事業者と協力しながら準備・販売の調整を行うのが良いでしょう。

Google for Education
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端末整備の今後を展望する

現段階で今後のことを占うのはなかなか難しいのですが、現在、公費負担で端末整備をしている自治体が保護者負担に変更するといったことが起こるかもしれません。

こうした原則に変更が生じるようなことがある場合には、大きな分岐となるため、ステークホルダーは慎重に考えて行く必要があるでしょう。

その意味では、本調査が経年で行われることで、自治体の考え方の変化を見ていくことができるでしょう。

なお、今後のことで、一つだけ言い当てることができるのは、導入したものが使われない状況があれば、公費にしても保護者負担にしても、多くの人が悲しむことになるということです。

1人1台の端末を活用することで、個別最適な学びや協働的な学びが実現しやすくなります。もちろん、GIGAスクール構想のそもそもの目的を理解したり、これまでのスタイルの授業の見直しなども欠かせないわけですが、校務の効率化も含めて、前向きに取り組んでいただけたらと思います。

まとめ

今回は、文科省による高等学校における端末整備状況の調査結果を元に考察をしてみました。

高等学校における端末導入は始まったばかりです。しばらくは試行錯誤が続くのかもしれませんが、それぞれの自治体や学校のやりたいことを明確にし、改善のサイクルを回していくことでしか成功への道筋はつくれません。ぜひ、前向きかつチャレンジ精神旺盛に端末を活用していただければと思います。

電算システムでは、 Google for Education のソリューションを中心に学校現場におけるDXを支援しています。学校現場における豊富な導入実績を誇る弊社ならではのご提案も可能です。Chromebook や Google Workspace for Education などの導入や活用についてお困りごとなどございましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

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Google Workspace for Education のご紹介

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