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クラウドリフトとは?
クラウドシフトとの違いや移行するための手順を解説

 2024.06.13  株式会社電算システム

DXの進展やテレワークの普及により、ますますデジタル技術の活用が求められる昨今において、オンプレミス環境からクラウド環境への移行を検討している企業も多いのではないでしょうか。とはいえ、クラウド移行に際しては、既存システムとの連携性が損なわれたり、データ移行に多大な労力が必要になったりと、何かと課題が生じがちです。

そこで、本記事で紹介するクラウドリフトを検討するのがおすすめです。クラウドリフトでは、既存の構成を変えずにシステム環境を移行できるため、手間を抑えつつ短期間で手続きが完了します。そのため、本格的にクラウド移行を実施する際の第一歩となります。

本記事では、クラウドリフトの目的やメリット、進め方を解説します。特に「クラウド移行を検討しているものの、ハードルが高くて手を焼いている」という方は、本記事を参考にクラウドリフトを進めてみてください。

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クラウドリフトとはシステム構成を変えずにクラウドへと移行する方法

クラウドリフトとは、オンプレミス環境の基本的な構成はそのままに、システムの一部のみをクラウドへと移行する方法を指します。既存のシステムやアプリケーションを改修する必要がないため、効率良くクラウド移行を進められるのが利点です。

一般的にクラウドリフトを行うには、サービス事業者のサーバーやネットワークといったコンピューティングリソースを利用できるIaaS(Infrastructure as a Service)を活用します。IaaSを導入すると、仮想化した状態の既存システムをクラウド上で稼働できるため、使い勝手は従来と変わりません。

ただし、既存システムのコードそのものを改変するわけではないので、業務効率化や生産性向上といったクラウドならではのメリットを最大限に享受できない点には注意が必要です。クラウドリフトはあくまで、本格的なクラウド移行を進めるためのきっかけを生み出すのが役割となります。

クラウドリフトとクラウドシフトの違い

クラウド移行を進めるにあたっては、クラウドリフトのほかにもクラウドシフトという手段も存在します。両者の主な違いは仮想マシンの構築方法です。

クラウドリフトの場合、オンプレミス環境に存在するデータセンターの仮想マシンを、構成を変えずにそのままクラウド上へと移行します。一方、クラウドシフトでは、クラウド上でいちから仮想マシンを構築するため、オンプレミス環境の仮想マシンとは構成そのものが変わります。

そのため、クラウドシフトのほうが、クラウド独自の特性に合わせて柔軟にシステムを設計しやすいといえるでしょう。オンプレミス環境から即座にクラウドシフトへと発展も可能ですが、間にクラウドリフトを経由するケースも珍しくありません。

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このようにクラウドリフトへと移行した既存システムを、クラウド環境に合わせて最適化する方法を「リフトアンドシフト」と呼びます。リフトアンドシフトの体制で採用することで、簡易的なクラウド環境でテスト検証を行ったうえで本格的なクラウド移行を進められます。いきなりクラウド移行を進める場合に比べ、システムトラブルや運用面の見直しなどが起きにくいのがメリットです。

クラウドリフトを実施する5つのメリット

クラウドリフトのメリットを参考に、あらかじめその効果をイメージすることが大切です。ここでは、クラウドリフトを実施する5つのメリットを解説します。

クラウド移行やDX化のきっかけが生まれる

クラウドリフトは、クラウド移行の数ある方法のなかでも導入ハードルが低いのがポイントです。新しく仮想マシンを構築する必要がなく、既存のシステムをクラウド環境に乗せ換えるだけで済みます。使い勝手も既存のシステムと変わらないため、計画策定や移行手続きの手間を最小限に抑えられ、おのずとスピーディにクラウドへの移行が進むでしょう。

最終的にクラウドへの移行を実現するには、クラウドシフトを経由しなければならないため、クラウドリフトのみの手続きでは不十分です。しかし、クラウドシフトを実行する前にシステムやアプリケーションの動作環境を検証できるため、本格的なクラウド移行のきっかけが生まれます。また、導入ハードルが低い分、社内でDXを推し進める際の推進剤にもなり得ます。

コストを抑えつつクラウド環境での検証が可能

クラウドリフトはクラウドシフトに比べ、既存のシステム構成をそのまま使用するため、仮想マシンの開発コストを軽減できます。加えて、オンプレミス環境では必須だったサーバーやネットワーク機器など、ハードウェアを導入する必要がないのも特徴です。そのため、開発コストだけでなく、ハードウェアの導入コストや運用コストも抑えられます。

このような利点を活かせば、コストを抑えつつクラウド環境での検証が可能です。クラウドシフトを行う前に、簡易的なクラウド環境でシステムの不具合や問題点を見つけ、改善を繰り返すと良いでしょう。

物理的なスペースが不要になる

オンプレミスのシステムをクラウドへと移行すると、ハードウェアを設置する必要がなくなります。物理的なスペースが不要になるため、サーバーやネットワーク機器などを設置するためのデータセンターの維持コストを抑えられるでしょう。

また、社内にハードウェアを設置している場合は、クラウドへの移行に伴ってスペースが空きます。つまり、オフィス縮小や空きスペースの活用などの選択肢が生まれるということです。

サーバーのスケール調整に柔軟性が生まれる

サーバーは事業規模やビジネスの環境変化に合わせて、スケールを調整する機会が少なくありません。例えば、サーバーの台数を増やすスケールアウトや、台数を減らすスケールインが代表的です。そのほか、サーバーのスペックを調整するスケールアップやスケールダウンなどの種類もあります。

オンプレミス環境では、このようなサーバーのスケール調整に大きなコストが発生します。物理的なサーバーの増減や機能拡張が必要になるためです。一方、クラウド化を実現すると物理的なサーバーが不要なので、コストを抑えつつ、より柔軟にスケール調整を行えます。その結果、事業規模やビジネス環境の変化にも対応しやすくなるでしょう。

BCPの強化につながる

BCP(Business Continuity Planning)とは、緊急時の行動指針をまとめた事業継続計画を指します。災害やサイバー攻撃などの不測の事態が起きた際でも、安定した事業継続やスムーズな復旧を行えるようにするのが目的です。

クラウドへの移行によって物理的なハードウェアがなくなると、緊急時の被害が最小限で済みます。また、サーバーやネットワーク機器が保管されているクラウドサービス事業者のデータセンターは、堅牢な設備が整っているケースも珍しくありません。そのため、自社のオンプレミス環境でサーバーやネットワーク機器を管理するよりも、安全性が高まる可能性も考えられるでしょう。

クラウドリフトを実施する4つのデメリット

クラウドリフトにはメリットだけでなくデメリットもあります。注意点を押さえておくことで、事前に適切な対策を立てやすくなります。

クラウド化のメリットを最大限に活かせない

クラウドリフトを進める際は、既存のシステムやアプリケーションの構成を変更しません。あくまでオンプレミスの仮想マシンをクラウド上に移行するのみなので、既存のシステムやアプリケーションのサポートが終了するリスクが残ります。場合によっては、そのシステムやアプリケーションが使えない可能性も考えられるでしょう。

クラウドとは本来、インターネット環境さえあれば誰でもシステムにアクセスできるため、組織の業務効率化や生産性向上に大きな効果を発揮するものです。しかし、使用している最中にシステムが利用できなくなるリスクがあるのは、クラウド本来のメリットを活かせないと言い換えられます。そのため、クラウドリフトで検証を終えた後、なるべく早めにクラウドシフトへと展開するのが理想です。

将来的にはシステムを刷新する必要がある

クラウドのメリットを最大限に活かせないクラウドリフトだからこそ、いつまでもそのままの状態というわけにはいかないでしょう。従来のシステム構成を変えずにクラウドへと移行するのは、古いシステムを引き続き利用するのにほかなりません。

そのため、いずれはクラウドシフトを経てシステムを刷新し、本格的にクラウド環境へと移行することが必要となります。特に、将来的なクラウドシフトを見据えた予算やスケジュールの策定が重要です。あらかじめ緻密な計画を立てておくことで、問題が発生してもスムーズに軌道修正や対処が可能です。

保守管理のコストや手間がかかる

仮想マシンの開発コストやハードウェアの導入コストを軽減できるクラウドリフトですが、保守管理のコストや手間がかかる点には注意が必要です。このような難点があるのは、クラウドリフトでよく利用するIaaSというサービス形態に理由があります。

IaaSはクラウドサービスの一種で、サービス事業者が提供しているサーバーやネットワーク機器を利用できるのが特徴です。ただし、ミドルウェアやOS、仮想ネットワークの管理責任はユーザー側にあります。

一方で、ハードウェアに加え、ミドルウェアやOSまでをも包括して提供しているサービスをPaaS(Platform as a Service)といいます。PaaSの場合は、ユーザーが管理すべきなのはデータとアプリケーションのみで、IaaSよりも管理の負担を抑えられるのがメリットです。

クラウドリフトからクラウドシフトへと移行するなかで、利用するサービスもIaaSからPaaSへと発展させるのも良いでしょう。Google CloudやAWSなどのクラウドプラットフォームでは、プロダクトの組み合わせ次第でIaaSとPaaSを柔軟に使い分けられます。

クラウド環境に適さない業務もある

クラウドへの移行は昨今注目を集めているビジネステーマではありますが、必ずしもクラウド環境が最適解とは限りません。業務の種類によってはクラウド環境よりもオンプレミス環境が適しているケースもあります。今一度、現状の業務を棚卸しして、クラウドへと移行する範囲を明確にすることが大切です。

例えば、企業の財務情報や顧客情報といった特に機密性が求められるデータを扱う際は、セキュリティ要件をより柔軟に反映できるオンプレミス環境のほうが向いています。ほかにも稼働率99.999%以上など、非常に高い可用性が必要なシステムも、クラウド環境ではやや不安が残ります。無理にクラウド化を推し進めようとせず、現状の課題やシステム環境に応じて必要性を判断しましょう。

クラウドリフトを実施するための手順

クラウドリフトを実施する流れは次の通りです。

  1. 目的の設定
  2. IT資産の整理・棚卸し
  3. 移行計画の策定
  4. 移行先のシステムやアーキテクチャの検討
  5. システム移行・動作確認

オンプレミス環境をクラウド環境へと移行する場合、どのような手法を採用するにせよ手順は大きく変わりません。そのため、クラウド移行全般の流れを押さえておくことが重要です。以下の記事でクラウド移行の進め方を詳しく解説しているので、参考にしてください。

クラウドリフトには「Google Cloud」を活用しよう

「Google Cloud」は大手クラウドプラットフォームとして、IaaSやPaaSに関連する幅広いプロダクトがそろっています。ワンストップでリフトアンドシフトを実現できるのがメリットです。

移行先の選択肢には、ダウンタイムなしで移行が可能な「Google Compute Engine」や、既存環境そのままにマイグレーションできる「Google Cloud VMware Engine」などの種類があります。また、Google Cloud上で構築した仮想マシンから、BigQueryなどのデータ分析基盤を稼働できるのも特徴です。従量課金制のプロダクトが中心なので費用対効果にも優れています。

クラウドリフトだけでなく、その後のクラウドシフトも検討している方にとっては、Google Cloudが有力な選択肢になるでしょう。Google Cloudの仕組みや機能については以下の記事で紹介しています。

クラウドリフトでクラウド移行やDX化のきっかけを生み出そう

クラウドリフトは、物理的なサーバーやネットワークのみをクラウドに置き換えられるのが特徴です。プログラムやアプリケーションといった根本的な仕様はそのままの状態で利用できるため、クラウドへの移行手段のなかでもハードルの低さに強みを持ちます。クラウドのメリットを最大限に享受できない難点もありますが、本格的にクラウド移行する前の良いきっかけを生み出せるでしょう。

Google Cloudには、IaaSだけでなくPaaSに関連するプロダクトも含まれているため、リフトアンドシフトを実行するのに役立ちます。また、Google Cloudに含まれるデータ分析基盤のプロダクトと連携すれば、DX化の推進剤としても効果を発揮します。

電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Google Cloudの導入支援サービスを提供しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。さらに、電算システムのリセールサービスを活用すれば、Google Cloudの利用料に関する請求書発行や割引などを利用できます。Google Cloudと電算システムについては以下の資料で詳細を紹介しているので、参考にしてください。

Google Cloud と 電算システムのご紹介

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