WebサイトやECサイトを運営する、あるいはWebアプリケーションを開発する際などには、レンタルサーバーを使って環境を整えるケースも多いのではないでしょうか。しかし、レンタルサーバーには幅広いサービスがあり、それぞれ仕様が異なるため、最適なものを選び分けるのは困難です。
そこで本記事では、レンタルサービスを選ぶ際の比較ポイントを6つの要素に分けて解説します。また、企業規模別におすすめのレンタルサーバーも紹介しているので、サーバー選びに悩んでいる方は参考にしてください。
レンタルサーバーの比較ポイント
レンタルサーバーを選ぶ際の比較ポイントは次の通りです。
- ディスク容量
- サーバーの種類
- 稼働率
- 独自ドメインの費用
- セキュリティ
- ユーザーサポート
要素ごとに複数のサービスを比較することで、最適なレンタルサーバーを選びやすくなります。それぞれの比較ポイントについて詳しく解説します。
ディスク容量
レンタルサーバーはサービスごとにディスク容量が異なります。容量が大きくなるほど、より多くのWebサイトやコンテンツを管理できるのが特徴です。そのため、大規模なWebサイトやECサイトを運営したり、大がかりなWebアプリケーション開発を行ったりするには、容量が大きいレンタルサーバーを選ぶ必要があります。
一般的にコーポレートサイトを作成する程度なら、10~100GB程度の容量でも問題ありません。一方、オウンドメディアやECサイトなど、コンテンツの総数が多い場合、300GB以上の容量を確保するのが理想です。
また、レンタルサーバーの容量は、Web領域とメール領域に分かれている点にも注意が必要です。サイト運用と同時にメールサーバーとしても活用したい場合は、Web領域と同時にメール領域の容量も確保できるよう、やや大きめの容量を選択しましょう。
サーバーの種類
レンタルサーバーは、「共用サーバー」と「専用サーバー」の2種類に分かれます。共用サーバーとは、一つのサーバーに用意されたスペースを複数人で分け合って利用するタイプです。専用サーバーとは、一つのサーバーを独占できるタイプです。共用サーバーと専用サーバーには、それぞれ次のようなメリットとデメリットがあります。
共用サーバー | 専用サーバー | |
---|---|---|
メリット |
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デメリット |
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大まかにいえば、コスト的な利点が大きいのは共用サーバー、スペック面に優れているのが専用サーバーです。共用サーバーの場合、ほかのユーザーの利用状況や障害の影響を受けやすいため、安定的な稼働が求められる中~大規模なサイト運営には向いていません。その代わり、ノウハウがほとんどいらず、費用も安く抑えられるため、共用サーバーは小規模法人や個人事業主と相性が良いでしょう。
稼働率
稼働率とは、特定の期間中にサーバーが安定して稼働している割合です。稼働率が100%に近いレンタルサーバーは、それだけ安定したサイト運営を可能にします。
WebサイトやECサイトの運営、Webアプリケーションの開発など、事業用にレンタルサーバーを利用する場合、システムダウンが発生すればユーザー満足度の低下に直結します。そのため、できるだけ高い稼働率のレンタルサーバーを選ぶことが重要です。稼働率は、「99.9%」といった形で、ベンダーの公式サイトに表記されているケースが少なくありません。
独自ドメインの費用
独自ドメインを取得する場合は、サーバーレンタル料とは別に費用が発生します。そのため、サーバーレンタル料とドメイン利用料の両方を踏まえて予算を決定しましょう。
レンタルサーバーのなかには、無料で独自ドメインを利用できるものもあります。その場合、「契約期間中のみ無料」のサービスと、「初年度だけ無料」のサービスに分かれています。独自ドメインを低コストで利用したい場合は、このような無料サービスを検討するのも一案です。
セキュリティ
サーバーにはユーザーの個人情報や決済情報、コンテンツの内容など、さまざまな機密データが保管されています。万が一、このサーバーが第三者からの攻撃を受けると、外部に情報が流出する可能性も考えられます。情報漏洩事故は自社の信用に直結する問題なので、レンタルサーバーを比較検討する際は万全の備えが必要です。
レンタルサーバーのセキュリティはベンダーごとに大きな違いがあります。代表的なセキュリティ対策としては、独自SSLや自動バックアップ、多要素認証、スパムチェックなどがあげられます。このような機能とともに、セキュリティ認証を取得しているかどうか、過去にトラブルを起こしたことがないかといった点もチェックすると良いでしょう。
ユーザーサポート
レンタルサーバーを利用した経験がない方からすると、ユーザーサポートも重要な比較ポイントとなります。サポートが充実しているベンダーであれば、導入・運用時に不明点があっても、即座に解決策やそのヒントを得られます。
例えば、24時間365日のサポートに対応している場合、時間を問わずに相談できるので安心です。そのほか、技術的な問い合わせにも対応できるテクニカルサポートや、迅速な復旧対応が可能なバックアップサービスなどの種類があります。
ただし、ベンダーによってはサポート時に費用が発生するケースがあります。予算と照らし合わせてユーザーサポートの要否を検討しましょう。
【中~大規模法人向け】レンタルサーバーのおすすめ比較6選
中~大規模法人向けのレンタルサーバーには、次のような種類があります。
サービス名 | 月額料金 | 特徴 |
---|---|---|
Google Compute Engine | 従量課金制 |
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iCLUSTA+ | 1,027~3,646円 |
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CORESERVER | 390円~ |
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SEEDS Hosting Service | 30,000~100,000円 |
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Xserver Business(専用サーバー) |
19,800~60,500円 |
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KAGOYA | 1,480~44,000円 |
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各サービスの特徴やメリットについて詳しく解説します。
Google Compute Engine(GCE)
Google Compute Engineとは、Googleの高性能なサーバーをクラウド上で利用できるサービスです。稼働率99.99%、業界最高水準のスループット(単位時間あたりのデータ転送速度)と、高い可用性を実現できる点に特徴があります自動スケーリングにも対応しており、トラフィックの増減に応じてサーバーへの負荷を分散することで、サイト運営時の安定性を高められます。
また、サーバー以外にもネットワークやOSなど、ITインフラの大部分をレンタルできるのもポイントです。そのため、単なるレンタルサーバーとして利用するだけでなく、独自のインフラ環境を構築して大規模なアプリケーション開発を行うなど、活用シーンの幅を柔軟に広げられます。
初期費用 | 無料 |
月額料金 | 稼働時間やデータ転送量などによる従量課金制 |
ディスク容量 | VMあたり最大36~512TiB |
稼働率 | 99.99% |
無料トライアル | $300分の無料クレジットあり(90日以内) |
公式サイト | https://cloud.google.com/products/compute |
iCLUSTA+
iCLUSTA+は、GMOインターネットグループ株式会社が提供する法人向けレンタルサーバーです。ミニ・レギュラー・プロの3種類の料金プランが用意されています。プロプランのディスク容量は最大750GBと、小規模サイトはもちろん、大規模なWebサイトやECサイトでも問題なく運用できます。
「PlanManager」と呼ばれる独自のサーバー管理パネルを利用できるのも特徴です。パネル上でユーザー情報やメールアドレス、データベースなどの各種設定を行えるほか、Webブラウザから簡単に操作できるため、初めてレンタルサーバーを利用する方でも安心です。
初期費用 | 5,500円(24ヶ月以上の契約は無料) |
月額料金 |
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ディスク容量 | 最大300~750GB |
稼働率 | 99.99% |
無料トライアル | 30日間「全額返金」保証制度あり |
公式サイト | https://shared.gmocloud.com/ |
CORESERVER
CORESERVERは、ディスク容量の大きさに特徴があるレンタルサーバーです。最上位のCORE-Zプランには最大900GBディスク容量が用意されています。数多くのコンテンツやデータを蓄積できるため、大容量のWebサイトやECサイトにも対応可能です。
また、契約期間中に限り、独自ドメインを無料で利用できます。ドメインの購入点数にも制限がないため、例えばブランドごとにドメインを分けてECサイトを運営するなど、より柔軟な運用が可能です。そのほか、最新鋭のCPUやストレージが内蔵されており、処理能力に優れるのも強みだといえるでしょう。
初期費用 | 1,650円(ドメイン同時契約で無料) |
月額料金 |
|
ディスク容量 | 最大400~900GB |
稼働率 | 非公開 |
無料トライアル | 30日間 |
公式サイト | https://www.coreserver.jp/ |
SEEDS Hosting Service
SEEDS Hosting Serviceは、株式会社シーズが提供するレンタル専用サーバーです。専用サーバーなので共用サーバーよりも質の高さに特徴があります。最上位プランのディスク容量は約1.6TB、バックアップストレージも約2.4TBが確保されており、膨大な量のデータやコンテンツを保管できます。
また、サーバーの運用や保守を一任できるのもポイントです。委託する業務の内容によって、フルマネージド・ライトマネージド・セルフマネージドのなかから選択できます。サーバーの導入・運用時に不明点があっても、的確なアドバイスを受けながら進められるので、トラブルが起こるリスクを最小限に抑えられます。
初期費用 |
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月額料金 |
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ディスク容量 |
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稼働率 | 99.9% |
無料トライアル | 60日間 |
公式サイト | https://www.seeds.ne.jp/ |
Xserver Business(専用サーバー)
Xserver(エックスサーバー)は、国内シェアナンバーワンを誇るレンタルサーバーです。その法人向けサービスがXserver Businessで、通常よりも高い機能性を有しています。
Xserver Businessには共用サーバーと専用サーバーの2種類の料金プランがありますが、大規模なWebサイトやECサイトを運用するなら、専用サーバーがおすすめです。また、専用サーバーも、物理的なサーバーを利用する「物理タイプ」と、クラウド上でサーバーを稼働させる「仮想タイプ」の2種類に分かれます。
最上位モデルのディスク容量は4TB。さらに24コアのCPUと128GBのメモリを備えており、トラフィックの増加にも問題なく対応できます。
初期費用 |
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月額料金 |
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ディスク容量 | 最大1~4TB |
稼働率 | 99.99% |
無料トライアル | 10日間 |
公式サイト | https://business.xserver.ne.jp/ |
KAGOYA
KAGOYAは、カゴヤ・ジャパン株式会社が提供するレンタル専用サーバーです。計7種類の料金プランが用意されており、要件に応じて柔軟にサーバー環境を構築できます。最上位プランのディスク容量は最大1TBと、大規模なWebサイトやECサイトでも対応可能です。
また、ユーザーサポートも充実しており、メールアカウントの追加やドメインの変更、サーバー移行など、一部の作業を運営会社に依頼できます。専任エンジニアが24時間常駐しており、即座に障害対応を行ってくれるのも特徴です。
初期費用 |
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月額料金 |
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ディスク容量 | 最大100GB~1TB |
稼働率 | 99.999% |
無料トライアル | 14日間 |
公式サイト | https://www.kagoya.jp/kir/rentalserver/ |
【個人事業主・小規模法人向け】レンタルサーバーのおすすめ比較3選
個人事業主・小規模法人向けのレンタルサーバーには、次のような種類があります。
サービス名 | 料金 | 特徴 |
---|---|---|
ConoHa WING | 643~7,018円 |
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Xserver(共用サーバー) | 990~5,280円 |
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さくらのレンタルサーバ | 121円~ |
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各サービスの特徴やメリットについて詳しく解説します。
ConoHa WING
ConoHa WINGは、処理速度の速さに強みを持つレンタルサーバーです。運営会社のGMOインターネットグループ株式会社の調査では、国内シェア上位10サービスのうち、最高水準の処理速度を誇ります。そのため、WebサイトやECサイトの表示速度を重視する方におすすめです。
料金プランは、通常プランのほかにビジネスプランが用意されています。ビジネスプランではメモリやCPUのコア数が完全保証されており、安定してWebサイトやECサイトを運用できます。また、「.co」や「.jp」の独自ドメインを無料で取得できるのもポイントです。
初期費用 | 無料 |
月額料金 |
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ディスク容量 | 最大300~500GB |
稼働率 | 99.99% |
無料トライアル | なし |
公式サイト | https://www.conoha.jp/wing/ |
Xserver(共用サーバー)
個人事業主の方や小規模法人であれば、Xserverの専用サーバーではなく、共用サーバーを利用するのも方法の一つです。専用サーバーに比べてディスク容量やメモリなどが見劣りするものの、低価格で利用できるのがメリットです。共用サーバーでも最大300~500GBの容量が確保されているため、コーポレートサイトや小規模なブログサイトなら問題なく運用できます。
WordPressの簡単インストール機能を利用できるのも特徴です。画面の案内に沿ってクリック操作のみでWordPressを導入できるため、ブログサイトやオウンドメディアの運用経験がない方でも安心です。
初期費用 | 無料 |
月額料金 |
|
ディスク容量 | 最大300~500GB |
稼働率 | 99.99% |
無料トライアル | 10日間 |
公式サイト | https://www.xserver.ne.jp/ |
さくらのレンタルサーバ
さくらのレンタルサーバは、さくらインターネット株式会社が提供するレンタルサーバーです。目的・用途別に数多くの料金プランが用意されている点に特徴があります。そのため、要件に合わせて適切なプランを選択することで、費用の最適化につながります。
コーポレートサイトや小規模なブログサイトであれば、月額数百円ほどの費用で済みます。WordPressの導入や設定にも対応しており、簡単な操作でシステムを実装できるのも特徴です。Webサイト制作やサーバーの初期設定など、代行サービスの種類も豊富です。
初期費用 |
|
月額料金 |
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ディスク容量 | 最大100~900GB |
稼働率 | 99.99% |
無料トライアル | 14日間 |
公式サイト | https://rs.sakura.ad.jp/ |
質の高いレンタルサーバーを利用するならGoogle Cloudがおすすめ
Google Cloudとは、100種類以上のサービスが搭載されたクラウドプラットフォームです。先ほど紹介したGoogle Compute Engineもこのなかに含まれています。そのため、レンタルサーバー単体としてサービスを利用するだけでなく、複数のサービスを組み合わせて、独自のサイト運用環境やアプリケーション開発環境を構築できるのが特徴です。
例えば、Google Cloudに搭載されているFirebase Hostingのサービスを活用すると、WebサイトやWebアプリケーションのバックエンド機能を利用できます。Webサイトへのログイン機能の実装や、データベースシステムの構築など、より運用しやすい環境を構築できるのが利点です。
このようなサービスはすべて、Googleが持つ高品質なサーバー上で稼働しています。可用性に優れ、安定した通信速度でサイト運用やアプリケーション開発を行えるのは大きなメリットだといえるでしょう。
Googleサーバーを活用するメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
複数のレンタルサーバーを比較して最適なサービスを見つけよう
レンタルサーバーには個人向けや法人向けのさまざまなサービスがあり、それぞれ仕様が大きく異なります。そのため、事業規模や目的、用途などを絞り込み、多角的な観点から適切なサービスを選び分ける必要があります。今回紹介した比較ポイントやおすすめサービスを参考に、最適なレンタルサーバーを見つけてみてください。
レンタルサーバーを選ぶ際は、高品質なGoogleサーバーに着目するのも一案です。Google Cloudを導入すると、クラウド上でGoogleサーバーを利用できるGoogle Compute Engineに加え、ほかにも100種類以上のサービスを組み合わせられます。
電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Google Cloudの導入支援サービスを提供しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。さらに、電算システムのリセールサービスを活用すれば、Google Cloudの利用料に関する請求書発行や割引などを利用できます。Google Cloudと電算システムについては以下の資料で詳細を紹介しているので、参考にしてください。
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