グループウェアとは、組織内の円滑なコミュニケーションを支援するソフトウェアです。
グループウェアにはさまざまな製品があるため、自社に合うツールを選ぶのが難しく、悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。適切な製品を選択し、スムーズな定着を図るためにも、選び方のポイントや各製品の特徴を理解することが大切です。
本記事では、グループウェアの主要製品を11種類に分け、それぞれの特徴を解説します。グループウェアを比較する際のポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
グループウェアを比較する際の5つのポイント
グループウェアを比較する際は、次のような点を参考に各製品を見比べると良いでしょう。
- 搭載している機能
- ユーザーインターフェースの操作性
- システムの拡張性
- モバイル対応の可否
- 権限設定の柔軟性
搭載している機能
グループウェアは、製品によって搭載されている機能に大きな差があります。
そのため、まずは自社の課題や現状を洗い出し、目的を明確にしたうえで要件定義を行うことが重要です。例えば、スケジュール変更が多く社内周知に多大な手間がかかっているなら、変更時に通知が届く機能は必須だといえるでしょう。
グループウェアの機能は、「コミュニケーション機能・情報共有機能・業務効率化機能」の3つに大別されます。
- コミュニケーション機能:メール、チャット、社内SNSなど
- 情報共有機能:ファイル共有、レポート・議事録作成、アンケートなど
- 業務効率化機能:ワークフロー、経費精算、日報作成など
ただし、豊富な機能を搭載した製品ほど価格が高額になりがちです。費用対効果を高められるよう、あらかじめ必要な機能を取捨選択しましょう。
ユーザーインターフェースの操作性
ユーザーインターフェースの操作性は、ツールの定着を図るために欠かせない要素です。ツールが使いにくいと、従業員の不満が高まったり利用率が低下したりと、スムーズな定着を阻害する要因になり得ます。
操作性を確認するには、無料トライアルを活用してテスト環境を構築するのがおすすめです。
製品によっては永年無料で利用できる無料プランが用意されているケースもありますが、機能が限定されてしまうのが難点です。無料トライアルの場合、期間が限定される分、そのツールのすべての機能を利用できる場合が多いため、操作性とあわせて機能性も検証できます。
システムの拡張性
将来的な事業規模の拡大を見越してシステムの拡張性も確認しましょう。
特に次のような点が重要です。
- APIなどを活用して柔軟に機能を拡張できるか
- 状況に応じて自由にプランを変更できるか
- オプションは豊富か
拡張性の高いグループウェアであれば、最初は低額プランからスモールスタートし、段階的にスケールアップが可能です。反対にスケールダウンも行いやすく、新型コロナウイルスのような突発的なトラブルで事業が縮小しても、スムーズに対応できます。
モバイル対応の可否
グループウェアは、メールやチャット、日報作成といった日常的に使用する機能が多いからこそ、外出先からツールを利用する機会も少なくありません。そのため、モバイル対応の可否をチェックしておくのがおすすめです。
モバイルアプリがあれば、場所を問わず、スマートフォンからツールを利用できます。ブラウザ版のツールにアクセスする必要がなく、専用のユーザーインターフェースが用意されているため、使い勝手にも優れます。
また、幅広い端末からシステムにアクセスできれば、テレワークなどの柔軟な働き方にも対応しやすいでしょう。
権限設定の柔軟性
グループウェアは一般的に幅広いユーザーがツールを利用します。システム内のメンバーが多くなるほど、情報漏洩やデータの消失といったセキュリティリスクが課題になりがちです。特に従業員数が多い企業は、権限設定の柔軟性をしっかりと検証しましょう。
権限設定とは、アカウントや組織などの単位で閲覧権限や編集権限を変更できる機能です。例えば、全従業員には閲覧権限のみを付与し、営業チームにのみ編集権限を与えるなどの設定を行えます。設定範囲はツールごとに異なるため、できればトライアル期間中に試用しておきたいところです。
グループウェアの主要11製品の比較表
ここでは、代表的なグループウェアの比較表を紹介します。
製品名 | 月額料金 | 主な機能 |
Google Workspace | 680円/ユーザー~ |
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Microsoft 365 | 750円/ユーザー~ |
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サイボウズOffice | 500円/ユーザー~ |
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kintone | 780円/ユーザー~ |
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LINE WORKS | 450円/ユーザー~ ※無料プランあり |
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サイボウズGaroon | 800円/ユーザー~ |
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desknet’s NEO | 400円/ユーザー~ |
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NI Collabo 360 | 328円/ユーザー~ |
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Lark | 1,420円/ユーザー~ ※無料プランあり |
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WaWaOffice | 400円/ユーザー~ |
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mitoco | 700円/ユーザー~ |
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月額料金に関しては、料金プランが定められている製品もあれば、クライアントごとに料金を設定する製品もあります。特に後者の場合は、問い合わせや見積もりに時間がかかるため、比較・検討に要する余裕のあるスケジュールを設定することが大切です。
グループウェアの主要11製品の特徴
続いては、代表的なグループウェアのそれぞれの特徴を解説します。要点を押さえて自社に合う最適な製品を見つけましょう。
Google Workspace
Google Workspaceは、さまざまなGoogleサービスが搭載されたグループウェアです。主に次のようなサービスが備わっています。
- Gmail:メーラー
- Google Chat:ビジネスチャットツール
- Google Meet:Web会議システム
- Googleドキュメント・スプレッドシート:文書作成・表計算ツール
- Googleドライブ:クラウドストレージ
本来、上記のようなGoogleサービスは無料で利用できますが、Google Workspaceを利用すると有料版へとアップグレードが可能です。これによりユーザー数やストレージ容量などを拡張できます。
ビジネスシーンでも使用機会が多いGoogleサービスだけあり、事業規模やコミュニケーション範囲の拡張に対応したい企業には、Google Workspaceが向いているでしょう。
料金プラン |
※すべて年間契約時の料金 |
主な機能 |
など |
公式サイト | https://workspace.google.co.jp/intl/ja/ |
Microsoft 365
Microsoft 365は、Microsoftのさまざまなコミュニケーションツールが統合されたグループウェアです。主に次のようなツールが搭載されています。
- Word・Excel:文書作成・表計算ツール
- PowerPoint:プレゼンテーションツール
- OneDrive:クラウドストレージ
- Outlook:メーラー
- Microsoft Defender:ウイルス対策ツール
Microsoft 365は、最安値プランでもユーザー上限数が300名、ユーザー1人あたりのストレージ容量が1TBに設定されています。他社のグループウェアに比べて上限が大きいため、大規模な組織に向いています。
料金プラン |
※すべて年間契約時の料金 |
主な機能 |
など |
公式サイト | https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365 |
サイボウズOffice
出典:サイボウズOffice
サイボウズOfficeは、70,000社以上の導入実績を誇る国内最大級のグループウェアです。計13種類の豊富な機能を備えているほか、プレミアムコースであれば、100種類以上のテンプレートから独自の業務アプリを構築できます。
サポートやセミナーが充実しているのもポイントです。ツールを導入・利用するうえで不明な点は気軽に相談できるため、初めてグループウェアを扱う方でも安心です。また、豊富な導入事例などを参考に、具体的な活用方法を理解できます。
料金プラン |
|
主な機能 |
など |
公式サイト | https://office.cybozu.co.jp/ |
kintone
出典:kintone
kintone(キントーン)は、独自で業務アプリを構築するタイプのグループウェアです。
kintoneには100種類以上のサンプルアプリが用意されています。案件管理や顧客管理、日報作成など、部署・業種別にサンプルアプリを自由にインストールできます。好みのアプリを組み合わせれば、社内全体のコミュニケーションシステムや営業部門専用の業務効率化システムといった形で、オリジナルの業務システムを構築できます。
また、社内に蓄積した顧客情報や従業員情報などのデータを、Excel・CSVファイルでインポートできるのも特徴です。
料金プラン |
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主な機能 |
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公式サイト | https://kintone.cybozu.co.jp/ |
LINE WORKS
出典:LINE WORKS
LINE WORKSは、チャットツールのLINEと同じようなユーザーインターフェースに特徴があるグループウェアです。
LINEユーザーに馴染みのあるトークやアンケートに加え、LINEには搭載されていない掲示板やカレンダー、メールなどの幅広いコミュニケーション機能を備えています。LINEと同じ感覚で利用できるため、組織への定着を図りやすいのがメリットです。
また、数多くの機能が標準搭載されており、無料版でも使いやすい性質があります。無料版はユーザー数が最大30名の制限があるものの、小規模な組織ならコストを抑えられます。
料金プラン |
※すべて年間契約時の料金 |
主な機能 |
など |
公式サイト | https://line.worksmobile.com/jp/ |
サイボウズGaroon
出典:サイボウズGaroon
サイボウズGaroonは、柔軟性に優れたグループウェアです。パッケージ版とクラウド版の2種類の料金プランや豊富なオプションなど、組織規模や予算に応じて細かく要望を満たしてくれます。日・英・簡・繁の4つの言語に対応しているのも特徴です。
同ツールは、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)主催のHDI格付けベンチマーク「モニタリング」で最高評価を獲得しています。その分、充実したサポートが期待できるため、グループウェアの運用に慣れない方でも安心です。
料金プラン |
|
主な機能 |
など |
公式サイト | https://garoon.cybozu.co.jp/ |
desknet’s NEO
desknet’s NEOは、サービス提供実績20年、累計500万ユーザーに利用されているグループウェアです。本当に使いやすいユーザーインターフェースを追及し続けた結果、いまでは使い勝手の高さに定評があります。
同ツールには25種類以上の機能が搭載されているほか、拡張機能「AppSuite」と組み合わせることで、独自の業務アプリを作成可能です。そのため、グループウェアの範囲を超え、幅広いシーンで活用できます。
料金プラン |
|
主な機能 |
など |
公式サイト | https://www.desknets.com/ |
NI Collabo 360
NI Collabo 360は、豊富な機能が搭載されたグループウェアです。利用できる機能は36種類と業界最多水準を誇ります。機能が多い分、独自性の高さにも特徴があります。
例えば、複合機との連携で場所を問わずにFAXの内容を確認できる「FAX Viewer」や、サマリー・ボードなどの機能を搭載したミーティングツール「InstaMTG」などは、NI Collabo 360独自の機能だといえるでしょう。複数の部署や多数のメンバーが参加する大規模な組織でも、同ツールなら対応しやすい利点があります。
料金プラン |
|
主な機能 |
など |
公式サイト | https://www.ni-ware.com/ |
Lark
出典:Lark
Lark(ラーク)は、ビジネスチャットツールを起点に複数の機能を利用できるグループウェアです。
例えば、チャットとメールの機能を組み合わせると、受信トレイに届いたメールをワンクリックでチャットフォームに共有できます。そのほか、チャットフォームから即座にWeb会議システムを開いたり、カレンダー上に予定を共有したりと、さまざまな活用が可能です。
Web会議中に単一のドキュメントを複数人で共同編集できる「マジックシェア」の機能も特徴的です。
料金プラン |
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主な機能 |
など |
公式サイト | https://www.larksuite.com/ja_jp |
WaWaOffice
出典:WaWaOffice
WaWaOfficeは、株式会社アイアットOECが提供するグループウェアです。幅広い機能を手頃な価格で利用できます。データセンターに保管された情報は24時間365日体制で有人監視されており、安全性の高さにも特徴があります。
同社が提供する別のツールとスムーズな連携を図れるのもポイントです。連携可能なツールには、SFA(営業支援システム)の「WaWaFrontier」や、ワークフロー管理システムの「WaWaFlow」などがあります。
料金プラン |
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主な機能 |
など |
公式サイト | https://www.wawaoffice.jp/ |
mitoco
出典:mitoco
mitoco(ミトコ)は、SFAの主要製品であるSalesforceのクラウドプラットフォーム上で提供されているグループウェアです。Salesforceは大手金融機関にも導入されているだけあり、堅牢度の高いセキュリティレベルが期待できます。そのほか、SFAならではの顧客管理や営業分析などの機能も利用可能です。
同ツールは、顧客データを起点にグループウェアの各種機能が備わっています。そのため、顧客を中心に社内で情報共有を行い、コミュニケーションを深められるのが利点です。
料金プラン | 月額700円/ユーザー~ |
主な機能 |
など |
公式サイト | https://www.mitoco.net/ |
Googleサービスをよく利用する組織にはGoogle Workspaceがおすすめ
グループウェアの多様な選択肢のなかから自社に合うものを見つけるには、普段どのようなツールを利用しているか思い起こしてみると良いでしょう。メーラーやビジネスチャットツール、クラウドストレージなどを洗い出します。
例えば、Gmail や Google Chatで社内コミュニケーションを行い、Googleドキュメントや Googleスプレッドシートで作成したファイルを Googleドライブに保存するなど、普段からよくGoogleサービスを利用している方には、Google Workspace が向いています。
Google Workspace は、20種類のGoogleサービスの有料版を低コストで利用できるだけでなく、各ツールの一括設定も容易に行えるのが特徴です。連携可能な外部サービスも豊富で、「Google Workspace Marketplace」から自由に検索できるため、拡張性にも優れています。
このように、よく利用しているサービスを起点にグループウェアを選択すると、いままで利用していたサービスのコスト削減にもつながります。
さまざまなグループウェアを比較して最適なツールを選択しよう
グループウェアには、特徴や性質が異なる数多くの種類が存在します。一つひとつの製品の機能性や操作性を詳しく検証することも大切ですが、それではあまりにも時間と手間がかかってしまうため、選定時のチェックポイントを理解することが重要です。
数多くの製品があるグループウェアのなかでも、特に Google Workspace とMicrosoft 365が代表的です。
普段からよくGoogleサービスを利用する場合は、Google Workspaceがおすすめですが、「Microsoftの製品も捨てがたい」という方もいるでしょう。以下の資料で2大グループウェアを徹底的に比較していますので、ぜひ参考にしてください。
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