クラウドサービスの利用は、比較的導入障壁が少ないと言える中小企業への普及フェーズから、今では大手企業においてもその導入や活用が積極的に進み始めています。今では、企業のビジネスを支える大切なインフラの1つと言えます。
最近ではシステム化の検討を行う際に、クラウドサービスが利用可能であるか?否か?から検討を開始するケースも増えており、クラウドサービスを利用する為の基準を設けることで、導入検討の迅速化を測る企業も増えています。
そこで本稿では、クラウドサービスの利用を検討している方に向けて、そのメリットについてご紹介していきます。
開発におけるメリット
クラウドサービスの数あるメリットの中で、利用開始までの導入スピードは速さは特筆すべきポイントと言えます。
オンプレミスでシステムを導入する場合は、RFP作成・ベンダー選定・関連資材の調達・設置、さらには社内ネットワークの調整など。実に多くの調整や検討作業を必要とします。
一方で、クラウドサービスの場合は、契約を行い、初期設定等を完了させ、Webブラウザ等で利用するだけです。導入決定から検証作業、さらに本格稼働までの時間を圧倒的に短縮できます。
例えば、アプリケーション開発の環境構築などでは、PaaS(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)を利用することも一般化しています。PaaSではデータベース構築やDNSサーバー設定、ストレージ環境の設定など、すべて設定作業をほぼWebブラウザから行うことができ、必要な環境整備は1日程度で完了させることが可能です。
また、システム構成が確定できない段階から利用開始できる点も大きなメリットで、実際に必要とするリソースを確認しながら決定することも可能になります。
価格におけるメリット
価格面におけるメリットで注目したいのが「使用分だけ支払う」ということです。
多くのクラウドサービスでは初期費用も低額で、すぐにサービスを利用し始めることができます。もちろん、当月の利用料金や年間契約料金等を支払う必要がありますが、「使用分のみ」というメリットは想像以上に大きなものです。
オンプレミスでシステムを構築する場合は、償却期間に合わせて5年ないし6年分を見越して使用量を試算し、予め想定されるリソース分をまとめて購入する必要があるため、利用段階から初期投資として莫大な費用が必要になります。
端末を新調したりインターネット環境を整備したりするコストを除けば、クラウドサービスを利用し始めるコストは「使用する分だけ」となります。そのため、初期投資額を大幅に抑えることが可能です。
もう1つのメリットが価格透明性です。クラウドサービスを利用してシステムを導入する場合、使用料=使用量となる為、常に効率的な利用を意識することができます。リソースが必要な場合は、その分だけ拡張することでシステムにかかっているコストを明確にすることができます。関連するビジネスの成長に合わせて使用量を変更するなど、IT予算計画も立てやすくなるので、より計画的な経営戦略が可能になります。
運用におけるメリット
クラウドサービスとオンプレミス、運用面の大きな違いはシステムメンテナンスのすべてをクラウドベンダーが対応するという点です。
個々のマシン、CPU、メモリ、電源、HDD/SSD、ネットワークカード、スイッチ、ルーターなどすべてのメンテナンスを提供事業者側で実施してくれます。オンプレミスに比べると圧倒的に運用負担を軽減できるため、運用コストにしめる人件費の割合を大幅に削減可能です。
また、オンプレミスではハードウェアを購入するにあたり、5~6年程度のEOL(End of Life)/EOSL(End of Service Life)が設定されています。ベンダーによっては8~10年に延長可能な場合もありますが、保守料金が割高になることが一般的です。
EOL/EOSLを意識すると、最低でも2年前から環境入れ替えの検討を開始する必要があり、数ヶ月の納期を考慮して機器の手配を進め、1年ほど前から機材入れ替えに向けた試験を実施するといったプロセスが必要です。
つまり環境構築や機器の入れ替えなど、ほぼ数年おきにはその検討や作業を実施していかなければなりません。
それに対し、クラウドサービスではハードウェアに関するEOL/EOSLがなくあくまでサービスレベルとして保証されます。利用者は自分自身でライフサイクルを意識する必要がないため、システム面運用面の負担や予算化などの管理面から解放されます。
セキュリティにおけるメリット
クラウドサービスを利用する上で、セキュリティ面が不安な方が多いのではないでしょうか。おそらくは、自分自身の裁量で対策や判断ができない為、運用面で不安視する為だと考えられます。
ところが、昨今の高度化するセキュリティ対策は、プロフェッショナルであるクラウドベンダーに一任することが最良の選択だと認識されつつあります。
2017年末~2018年のSpectre (スペクター) ・Meltdown (メルトダウン)脆弱性対応において、Google・Microsoft・AWSよりも早く対応したベンダーはほぼいなかったのではないでしょうか。
加えて、強力なセキュリティシステムを構築するの為には、多額な投資が必要ですあり、持続的な運用も欠かせません。
常にセキュリティ面に配慮することはとても重要なことです。そのため限られた人材で適切な対策を長期にわたり持続するためにも、クラウドサービスを利用することは有効な選択ではないでしょうか。
人的リソースやコスト、運用の負担を抑えながら、強力なセキュリティ環境を使用できるメリットは非常に大きいと考えられます。
拡張性におけるメリット
企業のシステム環境は常に変化するものであり、必要に応じて都度拡張したり変化していきます。
その対応策がコンピュータリソースのスケールアップとスケールアウトです。スケールアップはCPUを高速化したり、メモリを増設したりして処理能力を増強します。一方、スケールアウトはサーバー台数を増やすことで処理能力を増強します。
これら柔軟性を持ったシステム環境は、クラウドサービスの特長がもっとも生かされるメリットと言えます。
管理画面からの操作で簡単にスケールアップを実施し、数百~数千台程度のインスタンス作成であれば簡単にスケールアウトが可能です。
システム拡張における最大の課題は、拡張までのスピードです。劇的に変化するビジネスニーズへ対応するためには、素早い変更が必要であり、クラウドサービスはその要件を十分に満たしています。
利用におけるメリット
クラウドサービスを実際に利用するにあたってのメリットはやはり、ネットワークの種類に関わらず同じ環境にアクセスできる点です。
Webブラウザ経由でサービスを提供するため、環境へのアクセス管理はすべてアカウントIDとパスワードで管理されます。これはつまり、異なるデバイスを使用していても、同一のアカウントIDとパスワードを入力すればどこにいても同じ環境にアクセスできるということです。
たとえば社内に設置したファイルサーバーには、同じ社内ネットワークに接続されたデバイスからしかアクセスできません。厳密に言えばVPN(Virtual Private Network)を構築することで社外からでもアクセスできますが、費用・運用負担ともに大きくなります。
一方、クラウドストレージサービスをファイルサーバーの代替として利用している場合は、社外にいてもインターネットに接続さえしていれば、まったく同じ環境にアクセスできます。営業は外出先から顧客資料を取り出すことができますし、リモートワークを実施する際のファイル共有スペースとしても活用できます。
クラウドストレージサービスに限らず、あらゆるクラウドサービスが同じメリットを有しています。もちろん、必要に応じてネットワークを限定できるため、セキュリティも確保できます。
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クラウドサービスを検討しよう!
いかがでしょうか?クラウドサービスはあらゆる面でオンプレミスにはないメリットがあり、多くのユーザー企業にたくさんの恩恵をもたらしています。
いきなり全ての環境をクラウドサービスへ移行する必要はありません。段階的に迎えるサーバー公開やアプリケーションの切り替えなど、タイミングを掴みながら、クラウドサービスへの利用可否を検討項目に入れるところか始めてみてはいかがでしょか。
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