基本無料で利用できるGmailやGoogleドライブ、Google Meetなどは費用対効果が高く、ビジネスシーンのさまざまな場面で活用できます。しかし、ここで注意すべきなのがセキュリティです。
Googleサービスを利用する際のセキュリティ意識が低ければ、データの詐取やマルウェア感染といたリスクが高まります。Googleサービスを安全に利用するには、さまざまなリスクを見据えたセキュリティ対策が必須です。
本記事では、Googleサービスを利用する際に必要なセキュリティ対策を、8つの観点から紹介します。セキュリティリスクを軽減し、安全にサービスを利用したい方は、ぜひ参考にしてください。
Googleのセキュリティは安全なのか?
Googleサービスの安全性を検討するうえで、「そもそもGoogleそのものの安全性に問題はないのか」という点を視野に入れる必要があります。その意味でいうと、Googleのセキュリティ対策は盤石で、安全性に関しては世界トップレベルの水準を満たしているといっても過言ではありません。
例えば、Googleが実施している代表的なセキュリティ対策には、次のような種類があります。
- 生体認証や侵入検知システムといった最新設備を搭載したデータセンターを完備
- セキュリティチームによる24時間365日の監視体制を実現
- 第三者機関によるセキュリティやコンプライアンスの定期監査
- リージョンとゾーンによる世界各地へのデータ分散
- ISO/IEC27001・27017などのセキュリティ認証の取得
- TLS接続の標準化・常時有効化
このように高度なセキュリティ対策を実施しているからこそ、ユーザーは安心してGoogleサービスを利用できます。ただし、Googleサービスをより安全に利用するためには、Googleのセキュリティに頼り切るのではなく、社内でも入念なセキュリティ対策を実行することが重要です。
Googleサービスを利用する際のセキュリティ対策の重要性
Googleでは、ユーザーが安心してサービスを利用できるよう、さまざまなセキュリティ対策を実施していますが、企業側でもセキュリティレベル向上に向けた取り組みが欠かせません。社内でのセキュリティ対策が不十分な状態であれば、次のようなリスクが発生する可能性があります。
- 情報の機密性に関するリスク
- 情報の完全性に関するリスク
- 情報の可用性に関するリスク
それぞれのリスクについて詳しく解説します。
情報の機密性に関するリスク
情報の機密性とは、社内に蓄積された情報が外部に漏えいしない程度を表します。機密性が低ければ、データの所有者・関係者以外の人物が社内情報にアクセスするリスクが高まり、情報漏えい事故に発展しかねません。
情報の機密性に関するリスクには、次のような種類があります。
- 不正アクセス
- データの盗難・盗聴
- 過失による口外や持ち出しといったヒューマンエラー
- 悪意のある従業員による不正行為
企業ではさまざまな情報を扱いますが、なかでも顧客や従業員の個人情報、製品の開発資料など、機密情報の管理には厳重な注意が必要です。
情報の完全性に関するリスク
情報の完全性とは、情報に誤りや欠損がなく、さらには最新であることを指します。完全性が欠如した情報は、不正確かつ適切な制御が行われていないため、利用するに値しません。
情報の完全性に関するリスクには、次のような種類があります。
- サイバー攻撃による情報の改ざん
- ハードウェアの障害によるデータの欠損
- システムの誤操作や誤入力によるデータの不備
情報の機密性が損なわれる場合は情報漏えいのリスクが高まる一方、情報の完全性に欠ける場合は、資産が消失したり顧客に不利益を与えたりする恐れがあります。
情報の可用性に関するリスク
情報の可用性とは、必要なときに必要な情報へとアクセスできるかという、情報の利用可能な状態を指します。情報の可用性に関するリスクには、次のような種類があります。
- DDoS攻撃をはじめとするネットワーク攻撃
- サーバーやソフトウェアなどの機能停止
- ハードウェアの故障や障害
可用性の低い状態が続くと業務が停滞し、組織の生産性が低下する恐れがあります。
Googleサービスを利用する際に必要な8つのセキュリティ対策
Googleサービスを利用する際に実施すべきセキュリティ対策は次の通りです。
- セキュリティ診断
- 2段階認証(関連記事:【徹底解説】Googleアカウントの2段階認証(2SV)とは? 概要から設定まで基本ガイド)
- セーフブラウジング
- ウイルス対策ソフトの導入
- ログインパスワードの一元管理
- セキュリティルールの策定
- 社員教育の徹底
- Google Workspaceの導入
このようなセキュリティ対策には、Googleアカウントの機能として利用できるものもあれば、Googleのサービス外で実施できるものもあります。可能な限り充実したセキュリティ対策を実施し、Googleサービスを利用する際の安全性を高めましょう。
セキュリティ診断
セキュリティ診断は、Googleアカウントに搭載されている、アカウント全体のセキュリティ耐性を検証する機能です。Googleアカウントのセキュリティに関する現在の状態と、必要であろう対策方法がわかります。
Google ChromeやGmailなどを利用している際に、「アカウントのセキュリティを強化しよう」と表示される場合、セキュリティ対策が不足している可能性があるため、セキュリティ診断で必要な対策方法を検討すると良いでしょう。
2段階認証
Googleアカウントの管理画面から2段階認証を設定すると、Googleサービスにログインする度に2段階認証が実行されます。2段階認証とは、ID(Gmailアドレス)とパスワードに加え、追加の情報を使ってログインする機能です。追加の情報にはさまざまな種類がありますが、例えばパスキーやスマートフォンへの通知、認証アプリから発行される認証コードなどを使って追加認証を行います。
仮にIDやパスワードが外部に流出しても、追加の情報がなければGoogleサービスにログインできないため、なりすましや不正アクセスを防ぐ場合に効果的です。ただし、ログイン時の工数が増えるので、手間と効果のバランスを考えながら導入を検討する必要があります。
セーフブラウジング
セーフブラウジングもGoogleアカウントの管理画面から設定できる機能で、フィッシングサイトへのアクセスや危険なファイルのダウンロードを防止できます。危険なWebサイトやアプリケーション、ファイルなどにアクセスした際は、画面上に警告が表示される仕組みです。
セーフブラウジングはマルウェア感染のリスクを防げるほか、シャドーIT対策にもなります。シャドーITとは、管理者の許可を得ず、従業員が自身の勝手な判断でIT機器やITサービスを利用する行為です。なかには海外の怪しいWebサイトにアクセスしたり、あまり知られていないモバイルアプリをインストールしたりして、セキュリティトラブルに発展するケースもありますが、セーフブラウジングなら未然にその行為を防げます。
ウイルス対策ソフトの導入
安全性が高いGoogleサービスとはいえ、どうしてもウイルスの侵入を防げないケースもあります。例えば、Gmailで悪意のある第三者から届いたメールを開封し、何気なく、なかにあるファイルをダウンロードしてしまうような状況があてはまります。そのため、ウイルス感染を未然に防ぐだけでなく、感染した後のセキュリティ対策も必要です。
感染後のセキュリティ対策としては、ウイルス対策ソフトがあげられます。ウイルス対策ソフトがあれば、端末に混入しているウイルスの早期検知が可能です。また、ウイルスを除去するための対処法もわかるため、問題の早期解決につながります。
ログインパスワードの一元管理
Googleサービスを利用する際は、Googleアカウントのログインパスワードが必要です。第三者から推測されやすいパスワードを設定すると、不正アクセスを受け、データの窃取や改ざんのリスクが高まります。そのため、大文字や小文字、記号などを組み合わせた複雑なパスワードを設定しましょう。
ユーザー数が多い場合は、管理者側でログインパスワードを一元管理するのが理想です。個別に設定・管理する場合、人によってログインパスワードの強度が異なり、不正アクセスを受けた際の原因を特定しにくくなるためです。また、ユーザーや部門ごとに特定の法則を設けると、ログインパスワードを忘れてしまうリスクを抑えられます。
セキュリティルールの策定
ヒューマンエラーや不正利用など、社内でのセキュリティリスクを軽減するには、ルールの策定と徹底が不可欠です。ただし、一概にセキュリティルールといっても、Googleサービスの利用範囲は広く、さまざまな業務シーンを想定する必要があります。
例えば、Googleサービスはクラウド上で利用できるものが多いため、社外に端末を持ち出す際のルールや、テレワークを行う際のルールなどが必須です。この場合は、「持ち運ぶ必要のない情報を端末に保存しない」「外出時は端末が入ったバッグを手放さない」といった、状況に応じた詳細なルールを設定しましょう。
社員教育の徹底
従業員の意識向上に向けた社員教育も、セキュリティ対策の一環です。セキュリティ対策を行わないと生じ得るリスクや具体的な取り組み方、目的などを把握することで、はじめてセキュリティの重要性を理解することも考えられます。
社員教育は役員や情報セキュリティ部門が担当することもありますが、外部から専門家の講師を招くのも一案です。外注すると費用がかかるものの、より専門的な知識や他社の事例を知るきっかけになります。
Google Workspaceの導入
幅広い種類のGoogleサービスを利用する場合は、Google Workspaceを導入するのが良いでしょう。Google Workspaceとは、Googleのさまざまなコミュニケーションサービスが搭載されたグループウェアです。GmailやGoogleドライブ、Google Meetなどの有料版をまとめて利用できます。
Google Workspaceの強みは、利用しているGoogleサービスのセキュリティを一括設定できる点です。サービス全体のセキュリティ対策をまとめて有効化できるほか、サービスごとにセキュリティの内容を細かく設定できます。
また、Google Workspaceには、有料サービス限定のGoogle VaultやセキュアLDAP、DLP(データ損失防止)といったセキュリティ機能が搭載されています。ここまでに紹介したセキュリティ対策と組み合わせることで、Googleサービスを利用する際の安全性を強化できます。
Googleサービスを安心して利用できるようにセキュリティを充実させよう
世界トップレベルのセキュリティを誇るGoogleですが、そのGoogleが提供するサービスを利用するからといって、必ずしもセキュリティリスクがゼロになるわけではありません。管理者・ユーザー側のセキュリティ意識が甘いと、機密情報の窃取や改ざんにつながる恐れもあります。そのため、今回紹介した複数のセキュリティ対策を念頭に、Googleサービスを利用する際の安全性を高めましょう。
電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Googleサービスの導入支援サービスを提供しています。GmailやGoogleドライブなどの個別のサービスはもちろん、Google Workspaceのサポートにも対応しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。「Googleサービスを活用したいが具体的なイメージが湧かない」といったお悩みを抱える方は、ぜひ電算システムへと気軽にお問い合わせください。
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