業務システムや作業用ツールのクラウド化に伴い、オンプレミス環境で使っていたOutlookを、クラウドサービスのGmailに切り替えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。通常、オンプレミスからクラウドへの移行は手間や時間がかかるものですが、OutlookからGmailへのデータ移行は非常に簡単です。
完全クラウドサービスのGmailへと移行すると、リアルタイムでデータが更新されるようになり、メール処理作業の効率化が見込めます。また、ほかのクラウドサービスと連携しやすいのも利点です。
本記事では、OutlookからGmailにデータを移行する方法や手順、注意点を解説します。移行時のよくあるトラブルやその解決法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
OutlookからGmailにデータを移行する方法4ステップ
OutlookからGmailにデータを移行する手順は次の通りです。
- GWMMOのインストール
- Googleアカウントでのログイン
- 移行するデータの選択
- メールの移行開始
ステップ別に詳しい移行方法を解説します。
1. GWMMOのインストール
OutlookからGmailへの移行に関しては、Googleが「Google Workspace Migration for Microsoft Outlook(GWMMO)」という公式ツールを提供しています。このツールを使えば、安全かつスピーディにメールの移行が可能です。
まずはGWMMOのダウンロードサイトにアクセスしましょう。ユーザーが自身の端末に直接インストールする際は、[DOWNLOAD .EXE FILE]の箇所からダウンロードします。ユーザーの端末に管理者側が一括でインストールする場合、[DOWNLOAD .MSI FILE]の箇所にあるファイルを選択しましょう。
2. Googleアカウントでのログイン
ダウンロードファイルを実行すると、自動インストールが開始されます。インストール完了後、Googleアカウントのログイン画面が表示されるので、自身のGmailアドレスを入力しましょう。
すると、WebブラウザのGoogleアカウント選択画面が表示されます。先ほど入力したGmailアドレスと同じアカウントを選択してください。
[次へ]をクリックします。
画面内の内容を確認して[許可]をクリックすると、次の画面へと移行します。
3. 移行するデータの選択
再びGWMMOの画面に戻ります。移行したいOutlookのデータを選択しましょう。
すべてのデータ、または新しいデータのどちらを移行するかを選択します。
カレンダーやコンタクトなど、Gmailに移行するデータを選択し、[移行]をクリックします。
4. メールの移行開始
ここまでの手続きが完了すると自動的に移行処理がスタートします。移行完了後はGmailにアクセスし、正常にデータが移行されているか確認しましょう。これでOutlookからGmailへの移行は完了です。
OutlookからGmailにデータを移行する際のよくあるトラブルと解決法
OutlookからGmailへデータを移行する際は、正常にデータが移行できないなど、何らかのトラブルが発生することがあります。ここでは、よくあるトラブルとその解決法を紹介します。
GWMMOが自動的に起動しない
端末にGWMMOをインストールすると、自動的にアプリケーションが起動します。ただし、端末の利用環境によっては自動で起動しないこともあります。
このような場合は、ローカル上のプログラムファイルからアプリケーションを探しましょう。Windowsの場合、エクスプローラーを立ち上げて、[PC > Windows(C:) > Program Files(x86)」の順に移動し、そのなかにある[Google]をクリックします。
[Google Apps Migration > ClientMigration]の順にクリックすると、GWMMOが起動します。
後の流れは先ほど解説した方法と同じです。
一部移行されないメールがある
Outlookからメールデータを移行する際、すべてがGmailへと移行されるわけではありません。一部のメールデータが移行できない場合は、移行前のメールの容量(添付ファイルを含む)が25MBを超えている可能性が考えられます。
特に、画像や動画など、容量の大きいファイルを添付している場合、この制限に引っかかりやすいので注意が必要です。容量が原因で上手く移行できないなら、容量を減らしてから再度移行手続きを行うか、本文などをコピーして直接Gmailに移行する方法を採りましょう。
移行するデータ量が多すぎて処理が終わらない
OutlookからGmailにデータを移行する際は、データ量が多くなるほど処理が重くなります。処理がなかなか終わらない場合は、一度移行処理を中断し、移行方法を見直しましょう。
一つの方法としてあげられるのは、メールを日付ごとに分割して移行することです。移行するデータを選択する際、メールの項目に[次の日付以降に送受信されたメールのみを移行]と[次の日付以前に送受信されたメールのみを移行]が用意されています。その期間を選択することで、移行するメールデータを複数に分割できます。
移行処理が複数回に分かれてしまうものの、1回あたりの処理が軽くなるのが利点です。
問題の原因がわからない
GWMMOの使用後に問題が発生したものの、その原因がわからないこともあります。このような場合は、Googleが提供しているLog Analyzerというログ分析ツールを使うと良いでしょう。Log Analyzerにアクセスし、[File Upload]の箇所にログファイルをアップロードします。
GWMMOに関するログファイルは、Windowsのエクスプローラーなら、[PC > Windows(C:) > Program Files(x86) > Google」の順にクリックすると表示される、[Google Apps Migration]内の[Tracing]フォルダに格納されています。
ZIPファイルでもアップロードできますが、スムーズに分析を行える非圧縮ファイルがおすすめです。ファイルをアップロードすると、数分以内にエラー内容を特定できます。これでも問題が解決しない場合は、トラブルシューティングや問い合わせを活用しましょう。
OutlookからGmailにデータを移行する際の注意点
OutlookからGmailにデータを移行する際の注意点は次の通りです。
- Outlook以外のメーラーではGWMMOが使えない
- Web上に保存されているOutlookのデータは移行できない
Outlookは、GmailのようにWebブラウザ上で利用できるWeb版が用意されています。しかし、GWMMOを使って移行作業を行う場合、Web上に保存されたデータはGmailに移行できないので注意が必要です。GWMMOの対象となるのは、Windows版やPoPダウンロードで蓄積したデータのみです。
Gmailを最大限に活用するならGoogle Workspaceがおすすめ
Outlookからデータを移行し、本格的にGmailを活用することで、クラウド環境でメールの送受信が可能になるため、メールの確認や配信、ユーザー管理などの作業効率が高まります。さらにGmailを有効活用するなら、Google Workspaceを利用するのがおすすめです。
Google Workspaceは、GmailやGoogleドライブ、Google Meetなど、Googleのさまざまな有料サービスが統合されたグループウェアです。コミュニケーション機能が豊富なので、より円滑な情報共有を実現できます。
無料版のGmailはユーザー1人あたりの容量が15GBですが、有料版なら30GB~5TBに拡張が可能です。また、独自ドメインや24時間365日サポート、チーム単位でのデータ一元管理など、さまざまな機能やサービスが用意されています。まずは14日間の無料トライアルを利用して、Google Workspaceの使い勝手を確かめてみてはいかがでしょうか。
GWMMOを利用してOutlookからGmailへのスムーズな移行を果たそう
今回紹介したGWMMOを利用すれば、異なるメーラー同士のデータをスムーズに移行できます。GmailはOutlookと異なり、完全なクラウドサービスなので、データ移行によりメール処理作業の効率化やスムーズなデータ一元管理、外部システムとの連携など、さまざまなメリットが生まれるでしょう。
Outlookを活用していた場合は、Microsoft製のグループウェア、Microsoft 365を利用しているケースも多いのではないでしょうか。そのため、Outlookからデータを移行する機会に、Google Workspaceに乗り換えるのも一案です。
Google Workspaceのコミュニケーション機能はMicrosoft 365よりも豊富で、Gmailはもちろん、ほかにもGoogleドライブやGoogle Meet、Google Calendarなどが含まれています。それぞれのサービスを連携して組織の生産性を高められるため、チーム内コミュニケーションに欠かせないツールだといえるでしょう。こちらの資料でMicrosoft 365とGoogle Workspaceの違いを比較しているので、ぜひ参考にしてください。
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