画像や動画、音声など、さまざまな生成AIサービスが登場するなか、クリエイティブ業務にその仕組みを取り入れたいと考えている方も多いのではないでしょうか。このような場合は、今回紹介するNano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)がおすすめです。
Nano Bananaでは、アップロードまたは生成した画像の情報をAIが記憶し、キャラクターやオブジェクトの一貫性を保持できる特徴があります。そのため、被写体のスタイルや構図を変えずに、髪型や服装だけ変える、あるいは不要な箇所を消去するといった活用が可能です。非常に簡単なプロンプトを入力するだけで済むため、デザイナー・イラストレーター以外の方でも容易に使いこなせます。
本記事では、Nano Bananaの特徴や仕組み、料金体系、商用利用時の注意点などを詳しく解説します。具体的な活用例やプロンプトの例、導入方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)とは?画像生成・編集機能に特化した生成AIモデル
まずは、Nano Bananaの仕組みや概要、従来の画像生成AIサービスとの違いについて解説します。
Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)の概要
Nano Bananaとは、Google社が提供する、画像生成・編集機能に特化した生成AIモデルです。プロンプト(テキストによる指示)をもとにオリジナル画像を生成できるのはもちろん、AIとの対話を繰り返して細やかな修正を加えられる特徴があります。
もともとNano Bananaの名が現れたのは、2025年8月中旬頃にまでさかのぼります。その頃、AIモデル評価プラットフォーム「LMArena」で、突如として高性能な生成AIモデルが出現し、そのコードネームが「Nano Banana」と呼ばれていました。正体不明ながらも非常に高精度な出力が可能なNano Bananaの出現により、当コミュニティ内で大きな話題を集めました。
その後、この生成AIモデルが、Google社が開発したGemini 2.5 Flash Imageであることが判明します。2025年11月現在では、Nano BananaはGemini 2.5 Flash Imageとして正式にリリースされており、Google AI StudioやGeminiアプリを経由してサービスを利用できます。
従来の画像生成AIサービスとの違い
ChatGPTやStable Diffusionをはじめとする従来の画像生成AIサービスでは、被写体の構図は変えずにポーズや背景のみを変更しようとすると、被写体の顔や表情、服装などが微妙に変化してしまう課題を抱えていました。その点、Nano Bananaでは、被写体の特徴を記憶したうえで既存の画像を修正できます。
例えば、「バルコニーで昼寝している猫」の画像を生成後、「その猫が室内のソファで寝ている姿に変更して」と指示を与えると、猫の特徴は変えずにシーンのみを変更できます。既存の画像をアップロードして、画像そのものの構図や被写体の服装・背景のみを変えることも可能です。

このように、同じ被写体を使って、背景や色彩、輝度などを細かくスピーディーに調整できることから、キャラクター制作や商品画像の差し替え、資料の図解などの効率性を飛躍的に高められます。自然言語のプロンプトを入力するだけで指示を与えられるため、特別な知識や技術も必要ありません。
Nano Bananaを活用したフィギュア化も話題に
Nano Bananaでは、画像の生成や編集だけでなく、3Dプリンターと組み合わせて画像内のキャラクターや人物などをフィギュア化できます。ブリスターパッケージ入りのフィギュア画像や三面図を作成するためのプロンプトさえ理解していれば、短時間で効率良くモデルを作成できるため、SNSを中心に話題を集めています。

Nano Bananaを使用すると、正投影図の作成や質感調整、破綻修正などをAIに指示できます。そして、完成した画像を3D変換ツールでモデリングし、3Dプリンターで現物のフィギュアを出力する仕組みです。このようなフィギュア化が可能な点は、キャラクターやオブジェクトの一貫性を保てるNano Bananaならではの強みだといえるでしょう。
2025年10月3日に正式リリース
Nano Bananaは、もともとプレビュー版として提供されていましたが、2025年10月3日のメジャーアップデートによって正式リリースされました。正式版の公開により、Google Cloudのインフラ・セキュリティを基盤とした実稼働環境に対応できるようになりました。また、バッチ処理のサポートや、新たに10種類のアスペクト比が追加されたのもポイントです。
Nano Bananaが持つ3つの特徴
Nano Bananaには次のような特徴があります。
- キャラクターやオブジェクトの一貫性を保持
- ベンチマークに裏付けられた優れた画像生成能力
- プロンプトに対する高度な理解力
このような特徴を理解することで、Nano Bananaの活用方法を見出しやすくなります。それぞれの特徴を詳しく解説します。
キャラクターやオブジェクトの一貫性を保持
Nano Bananaの最大の特徴として、キャラクターやオブジェクトの一貫性を保てる点があげられます。従来の生成AIサービスでは、既存の画像を編集する際に被写体の特徴が変化してしまう課題を抱えていました。その一貫性を保つためには、「LoRA(ローラ)」と呼ばれる手法で追加学習しなければならず、コストや手間が増えてしまいます。
一方のNano Bananaでは、生成あるいはアップロードした画像をAIが記憶し、被写体の特徴を残したまま、背景や構図といったピンポイントの箇所のみを編集できます。顔の構造や髪の色、物体のディティールなど、キャラクターやオブジェクトの細かい要素を正確に捉えて記憶できるのが大きな強みです。
このような点から、再撮影が難しい1枚きりの写真でも別パターンの独自の画像を生み出せます。結果として、クリエイティブ業務の大幅な業務効率化やコスト削減につなげられます。
ベンチマークに裏付けられた優れた画像生成能力
Nano Bananaの画像生成能力は、LMArenaのベンチマークにて証明されています。

出典:Introducing Gemini 2.5 Flash Image, our state-of-the-art image model|Google for Developers
それぞれの項目では、次のような点を評価しています。
- Overall Preference:総合的な好ましさ
- Character:キャラクターの表現力
- Creative:創造性・独創性
- Infographics:グラフや図に含まれる情報の正確性
- Object/Environment:風景や背景を再現する精度
- Stylization:目的の画像や作風に仕上げる能力
棒グラフの左側がNano Bananaのパフォーマンスで、全体的にChatGPTやFlux.1といった他社サービスよりも画像生成能力が高いことがうかがえます。また、Google社の旧モデルであるGemini 2.0 Flash imageよりも、大幅に性能が向上していることもわかります。
このような点から、複数の人物写真から顔のパーツを抽出して合成したり、シャツに付着しているシミを消したりと、さまざまな画像編集へと発展が可能です。
プロンプトに対する高度な理解力
Nano Bananaには最新のGemini 2.5モデルが採用されており、高度な推論能力によってプロンプトに含まれる自然言語を正確に理解できます。これにより、「画像のどの箇所をどのように変更するか」といった具体的な指示が可能になり、プロンプトに沿った正確な画像を出力できます。
現実世界での常識やパターンを理解できるのも特徴です。例えば、「フィボナッチ数列の可視化」や「太陽系の惑星を配置」といった指示に対しても、数学的・天文学的に正しい画像や図解を出力できます。結果として、教材やプレゼン資料の作成、ストーリーテリングなど、より高度な業務にも活用可能です。
Nano Bananaを使ってできること・活用例
Nano Bananaを利用すると、次のようなことが可能になります。
- 髪型の変更や洋服の合成
- 不要な要素を消去
- 必要な情報を補完
- 構図の変更
- 図形やグラフの解釈
それぞれ活用例や具体的なプロンプトの例を紹介します。
髪型の変更や洋服の合成
Nano Bananaでは、画像に写っている人間やキャラクターの一要素のみを自由に編集できます。被写体のポーズや背景、構図などはそのままAIが記憶しているため、髪型や服装など、指定した箇所のみピンポイントで変更できるのが魅力です。
例えば、髪型を変える指示を与えると、次のような出力結果を得られます。

また、人物の画像と洋服の画像を同時にアップロードすることで、両方を合成して1枚の画像を生成できます。被写体の人物がその洋服を着用した姿に変更される仕組みです。
このような機能を活用することで、広告用ビジュアルを素早く差し替えたり、キャラクターやアバターを効率良く作成したりと、クリエイティブ業務の生産性を高められます。
【プロンプトの例】
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不要な要素を消去
Nano Bananaでは、画像内に含まれた不要な要素を消去できます。例えば、画像内のキャラクターやオブジェクトを残したまま、背景のみを消去するといった活用が可能です。

このような処理は一般的なグラフィックソフトでも可能ですが、Nano Bananaであれば簡易的なプロンプト一つで自動的に画像の一部を消去できます。そのため、作業工数を最小限に抑えられ、業務の効率化につながります。デザイナーやイラストレーターといったプロでなくとも作業を行えるのもメリットです。
【プロンプトの例】
| 画像内の背景を消去してください。 |
必要な情報を補完
画像内の必要な情報を補完できるのもNano Bananaの強みです。例えば、食べかけの食材の画像に対して復元の指示を与えると、AIがもとの状態をイメージしつつ必要な情報を補完してくれます。

これにより、同じような写真を何度も撮影する必要がなくなります。再撮影が必要な写真でも、簡単なプロンプトのみで復元できるのが魅力です。食材以外にも、破れた洋服やディスプレイが破損したモニターなど、さまざまな被写体に適用できます。
【プロンプトの例】
| 食パンの食べられた箇所を元の状態に戻してください。 |
構図の変更
写真や画像の構図を変更するには本来、もう一度同じシーンで撮影する必要があり、手間やコストがかかります。その点、Nano Bananaであれば、プロンプトを入力するだけで写真や画像の構図を修正してくれます。

被写体に対する角度を変えるほか、日の丸構図や額縁構図などにも対応が可能です。一度でも写真を撮影すれば、Nano Bananaを使って自由にアレンジできるため、クリエイティブ業務の幅が広がります。
【プロンプトの例】
| 真上から見下ろす構図に変更してください。 |
図形やグラフの解釈
画像内のキャラクターやオブジェクトだけでなく、図形やグラフの情報を正確に読み解けるのもNano Bananaの強みです。例えば、2つの内角が記載されている三角形の画像をアップロードし、残りの内角の角度をAIに算出してもらえます。手書きの図形でも正確に内容を読み取れるのがポイントです。

これは、AIが数学的に正しい知識を持っているからこそ解答が可能であり、より難しく複雑な図形の問題を画像として生成することも可能です。そのため、教材やその解答集を作成する際に効果を発揮します。また、ビジネス資料の図解作成にも発展できるでしょう。
【プロンプトの例】
| xの角度を求めてください。 |
【無料で利用可能】Nano Bananaの料金体系
Nano Bananaは、Google AI StudioとGeminiアプリから利用でき、いずれの場合でも料金が発生しません。画像のアップロードからプロンプトの入力、画像の出力まで、一連のプロセスを無料で利用できます。
ただし、APIを使ってNano Bananaの機能を別のサービスやシステムに組み込む場合、次の料金が発生するので注意が必要です。
| 処理方法 | 利用料金 |
| 標準 |
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| バッチ |
|
なお、1,024×1,024ピクセルの画像を出力すると、1,290個のトークン(コンテンツを生成するための最小単位)を消費します。100万トークン単位に換算した場合、画像出力の料金は$30となります。従量課金制が適用されるため、APIの使用機会が増える場合は適切な予算設計が求められます。
【ツール別】Nano Bananaの使い方
Nano Bananaを利用するには、次の3種類のツールを選択できます。
- Geminiアプリ
- Google AI StudioのChat機能
- Google AI StudioのBuild機能
それぞれ、アクセス方法やNano Bananaの使い方・手順を詳しく解説します。
Geminiアプリ
Geminiアプリとは、Webブラウザやモバイルアプリから手軽にGeminiの機能を利用できるサービスです。Webブラウザから公式サイトにアクセスするか、スマートフォンやタブレットの場合は、Google PlayかApp Storeからモバイルアプリをインストールします。
Geminiアプリにアクセスすると、トップページにプロンプトの入力欄が表示されています。その項目に「~~の画像を生成して」といったプロンプトを入力するか、[+]マークをクリックして編集したい画像をアップロードしましょう。

画像生成の指示を与えた場合は、オリジナル画像が生成されるので、続けて「背景を~~に変更して」「~~のような構図に変えて」といったプロンプトを与えると、キャラクターやオブジェクトの一貫性を保ったまま指示通りに画像を修正してくれます。画像をアップロードした場合は、「この画像を~~のように変更して」といったプロンプトを与えます。

このように、GeminiアプリにはNano Bananaの機能が組み込まれているため、専門的な知識不要で簡易的なプロンプトのみで画像を編集できます。Googleアカウントがあれば無料で利用できるため、導入ハードルを抑えられるのが利点です。
Google AI StudioのChat機能
Google AI StudioのChat機能は、Geminiアプリと同様、プロンプトの入力や画像のアップロードだけで画像の出力や編集を行えます。Googleアカウントがあれば誰でも利用できるのもGeminiアプリと同じです。独自の機能としては、AIモデルの出力を細かく調整したり、外部サービス・システム向けのAPIキーを発行したりできる点があげられます。
使い方としては、Google AI Studioの公式サイトにアクセスし、左側のメニューバーから[Chat]をクリックします。

右側のAIモデルの項目で[Nano Banana]を選択し、出力方法を設定します。

【出力方法の設定項目】
- Temperature:出力される画像のランダム性(1に近いほど創造的かつ多様な表現が可能)
- Aspect ratio:出力される画像のアスペクト比
- Add stop sequence:設定した文字列が検出された時点で出力を停止できる
- Output length:出力可能な最大トークン数(数値が大きいほど出力時の情報量が多い)
- Top P:Temperatureと同様、数値が大きいほど多様性に優れた出力や回答が可能
設定完了後、画面中央下部のチャット欄にプロンプトを入力します。[+]マークをクリックすれば画像のアップロードも可能です。

使い方はGeminiアプリと似ており、画像生成または画像のアップロード後に、「背景を~~に変更して」「~~のような構図に変えて」といった指示を与えるだけです。

Google AI StudioのBuild機能
Google AI Studioには、ChatのほかにBuildと呼ばれる機能も備わっています。Build機能では、プロンプトだけで議事録整理や進捗確認といった独自のアプリケーションを開発できるため、プログラミングの知識や技術がほとんどいりません。
また、アプリケーション開発用の豊富なテンプレートも用意されています。そのなかにはNano Banana向けのテンプレートもあり、画像の合成やグラフの解説といった処理を簡易的な指示だけで実行できます。
Nano Banana向けのテンプレートを利用するには、Google AI Studioにアクセスし、画面左側のメニューバーから[Build > Gallery]の順にクリックします。テンプレート一覧の上部にある[Nano Banana]をクリックすると、Nano Banana専用のテンプレートのみに絞り込めます。

Nano Banana向けのテンプレートには、次のような種類があります。
- Fit Check:人物と洋服の画像を合成できる
- Bananimate:画像の情報をもとに独自のGIFアニメーションを作成できる
- Paint A Place:Googleマップ上の任意の場所や建物を水彩画で出力できる
- Past Forward:人物の過去や未来の姿を創造し画像として出力できる
- Home Canvas:画像内の商品(クッションや電気スタンドなど)を抽出し、独自の画像に置き換える
いずれも画像のアップロードやプロンプトの入力、図の手書きといった簡単な操作だけで、手軽に指示通りのアクションを自動実行できます。目的に沿ったアクションであれば、Chat機能よりも効率的に作業を行えるのがメリットです。
Nano Bananaを商用利用する際の2つの注意点
Nano Bananaは、Google社によって商用利用が認められていますが、次の点には注意する必要があります。
- SynthIDを削除しないこと
- 著作権や商標権を遵守する必要がある
それぞれの注意点について詳しく解説します。
SynthIDを削除しないこと
Nano Bananaで生成した画像には、すべてSynthIDが埋め込まれています。SynthIDとは、人の目では視認できない、検出ツールによって読み取れる識別情報です。第三者でも、その画像がAIによって生成されたものだとわかり、偽装リスクの抑制につながるため、基本的には利用者側で削除してはなりません。
また、Geminiアプリで画像を生成する際は、視認可能なウォーターマークが付与されます。ウォーターマークはSynthIDと違って削除できませんが、商用利用の際、非開示を目的に改変することは避けるべきだといえます。
著作権や商標権を遵守する必要がある
Nano Bananaで生成した画像を商用利用する際は、著作権や商標権に十分な注意が必要です。生成AIは完全にオリジナルなコンテンツを出力できますが、登録商標や既存のキャラクターにあまりにも似通っている場合、権利侵害に発展する恐れがあります。
著作権や商標権、広告に関する法規制などを遵守する義務、あるいはその法的責任は、AIではなく利用者側に帰属します。実際に中国では2024年に、ウルトラマンによく似た画像を生成したAIサービス事業者に著作権侵害の責任を認め、損害賠償を命じた判決が出されました(※)。そのため、法的リスクが存在することを念頭に置いたうえで、リーガルチェックや専門家への相談が可能な体制を整えることが重要です。
※参考:「ウルトラマン」に似た画像提供の生成AI事業者、中国の裁判所が著作権侵害で賠償命令|読売新聞オンライン
Nano Bananaを活用してクリエイティブ業務の効率性を高めよう
Nano Bananaでは、簡易的なプロンプトを入力するだけで、画像の生成から編集まで一貫して実行できます。ほかの画像生成AIサービスに比べて表現力や創造性、正確性に優れており、キャラクターやオブジェクトの一貫性を保ったまま画像を編集できるのが強みです。そのため、髪型や服装の変更、不足する要素の補完、画像同士の合成など、いままでのサービスでは難しかった作業を行えるようになります。
Nano BananaはGeminiアプリでも利用できるため、まずは無料で試してみてはいかがでしょうか。また、GeminiとGoogle Workspaceを組み合わせることで、GmailやGoogleドライブ、Googleドキュメントなどで生成AIの機能を利用できるため、クリエイティブ業務だけでなく組織全体の生産性を高められます。
電算システムでは、Google Workspaceだけでなく、Google Workspace with Geminiの導入支援サービスを提供しています。Geminiの活用方法や体系的な知識を学べるハンズオントレーニングやワークショップ、カスタマイズトレーニングを提供しており、Google Workspace with Geminiのスムーズな定着を支援します。Google Workspace with Geminiの特徴や機能、最新情報などに関しては、以下の資料で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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