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GIGA事始め 活用のためのステップ・バイ・ステップ

 2021.05.14  2021.12.23

政府が推し進めるGIGAスクール構想によって、全国の小中学校では1人1台の端末の導入が進みつつあります。文部科学省の発表では、今年3月段階で、97.6%が整備完了済みだそうです。とはいえ、端末が導入されたらすぐに活用がスタートできるわけではありません。

全国には3万校以上の学校があるので、すべての学校が足並みを揃えて同様のスタートを切れるわけではなく、これまでに学校の情報化の知見の蓄積がある地域かどうか、ICT活用の研究指定を受けている学校かどうか、ICTに詳しい教師が複数在籍している学校かどうかなども、今後の活用状況に関係してくるでしょう。では、新学期が始まった今、どこからGIGAを始めればよいのか、ヒントや留意点を見ていきたいと思います。

GIGAスクール構想の背景と目的を確認する

先日、電算システム(DSK)が主催したオンラインセミナーで、湘南学園中学校高等学校の小林勇輔教諭に1人1台の端末活用についてお話をいただきました。そのなかで印象的だったことに、1人1台の活用を進めるうえで躓いたり立ち止まったりした時、「何のための1人1台なのか」を教師間で相互理解をできていたことが大きかったというお話がありました。

当たり前に聞こえるかもしれませんが、最終的なゴールを学校全体として共有することの大切さを教えてくれます。そういう意味では、新学期になって教職員が異動したり、新任教師が赴任したりしている現実を踏まえれば、改めて「GIGAスクール構想で目指されているもの」をしっかりと理解しておく必要があると思います。

背景と目的を理解し、あわせて新しい学習指導要領がなぜこのような形に変わっているかを確認すると、今後の1人1台の端末活用イメージから授業のあり方まで考え、しっかりと腹落ちできる教師が増えるでしょう。

参考資料としては文部科学省の情報を確認してもよいですし、弊社のブログでも何度かGIGAスクール構想については触れていますので、ぜひ、ご一読いただければと思います。

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1人1台の環境に慣れるために

では、1人1台の端末を活用していくための工夫について、いくつか紹介します。

出会いを演出する

1人1台の端末は生徒たちの学びを支える学習の道具です。生徒が文房具のように端末を大事にしながら使いこなしていくには、出会いの瞬間を上手に演出することも大切なポイントです。学芸会や文化祭をコーディネートするのと同じような感覚で、端末を生徒たちに出会わせる仕掛けをしてみましょう。

開梱式や配付式などのように、少し厳かな雰囲気を醸し出すと、大切な学習道具を預かっているんだという自覚を芽生えさせるのに有効でしょう。

端末を使う最低限のルールを決める

次に、学習の道具として機能させるには、使う際のルールを”バランスよく”決めることも大切です。

例えば、朝、充電保管庫から自分の端末を取り出したら、机の中にしまう。授業中に使うときには、端末は机の左側において、右側は教科書やノートを置く。授業で使い終わったら机の中にしまうといった一連の動きは、初期に徹底しておけば、後々効いてくる指導方法です。

帰宅時には、ログアウトしてから翌日に備えるために充電保管庫に戻すことを徹底します。IDやパスワードは他人には教えない、プライベートIDでログインしないといったことを決めておくと、情報モラルや情報セキュリティといった指導にも役立てることができます。もちろん管理者側で、プライベートIDでログインさせない、無駄なアプリをダウンロードさせないといった制御は可能ですから、万が一の事案が発生してもすぐに対処することができます。

とにかく、あれはダメ、これもダメと規制ばかりかけてしてしまうと、自由に使えないのは便利さがないとなってしまう可能性も高いので、生徒たちにも学習用端末の意味を考えさせながら使わせると、自然とその学校に馴染んだ使い方が見えてくるかもしれません。

また、こうした環境に身を置くのはみな初めての経験なのですから、ルールを一度決めたらその限りにするのではなく、都度見直しをしていくのが賢い選択です。生徒たちが自分たちはこういう使い方をしたいという思いが表出しているのであれば、生徒自身でルールをつくるといった方法も有効な一手になるでしょう。

スモールステップを意識する

端末の操作に慣れていない生徒に対して、教室での一斉指導で一気にログインやローマ字入力を習得させるのはなかなか困難を伴います。そこで休み時間や空いた時間などを利用して、少人数にわけて指導すると、躓きを把握しやすくきめ細やかな指導ができて有効です。ローマ字入力も、タイピング練習サイトなどを活用して練習を積み重ねると、すぐに速く打てるようになりますので、ぜひ、活用したいところです。

このように課題を少しずつ解決していけるようにスモールステップにしていくと、より効果的でしょう。

教師もクラウドに慣れる

今回のGIGAスクール構想では、生徒は1人1台の端末を利用して、クラウドを活用して学習していくことが前提となっています。クラウドを利用すれば、いつでもどこからでもデータにアクセスすることができ、パソコンやタブレット、スマートフォンなど端末の種類も選びません。データ共有が容易であることから、クラウド上のデータを複数人で共同編集するといった使い方もできます。

ところが、いざクラウドを使って授業や学習に使おうと試みても、なかなかクラウドの良さを生かした使い方が難しいという声をよく聞きます。スマートフォンやオンラインショッピングなどで個人的にクラウドを利用しているにも関わらず、意外とその仕組みを理解していない大人が多いと考えておくとよいでしょう。

そう考えると、教師がクラウドに慣れる経験を積むことがとても重要なステップです。

具体的には、ドキュメントやスプレッドシート、スライドを共同編集する、カレンダーを共有する、ドライブのデータを共有するといった一般的な使い方で十分です。場数を踏むことで、はじめてわかることがたくさんありますし、もっとこういう使い方の方が便利に使えるのではないか、ああいった方法は試せないかなど、アイデアがどんどん湧いてくるものです。

Google for Education
Google for Education

保護者とも積極的にICTでつながる

1人1台の端末活用というパラダイムシフトを学校だけの閉じたものにしてしまっては、その効果は半減です。ぜひ、地域や保護者も巻き込んだ工夫も図っていきましょう。

そのためには、まずは、学校の1人1台の活用状況をつぶさに保護者に対して情報発信することです。こういう準備をしています、こうした使い方から始めます、ちょっと失敗もあったけど改善してできるようになりましたなど、学校が挑戦している姿を見れば、手を差し伸べたい保護者がきっと出てくるでしょう。ITを職業にしている保護者がいれば、きっと力になってくれるはずです。

次に、今ある業務のうち、ICTで改善を図れるものがないか考え、そこから着手することです。例えば、教師と保護者との個人面談の設定は、紙で往復する作業からオンラインへと切り替えることで、教師の業務の省力化につながります。Classroom とカレンダーを連携させることで、手軽に実現できます。

PTAが主体となって動く学校バザーに保護者の協力を募る場面でも、紙で集計して担当者を割り当てる従来の方法より、ICTを活用することでPTAの担当者の負担をぐっと減らすことができます。保護者を交えた会合などもオンライン化することで、保護者の参加人数に制限をかけずに実施できるようになるので、より良い解決策になるかもしれません。

このように学校と保護者の共通する土台にICTを乗せることで、保護者の協力を得ながら活用を推し進めることが可能になるかもしれません。

上手に使いこなすための留意点

1人1台の端末でICTを利活用するうえでの留意点にも触れておきたいと思います。

特定の教師の負担増

ICTを活用し始めると、ICT機器の不具合やネットワークトラブルなど予期せぬ出来事が起こるかもしれません。そのたびに情報教育担当者に聞きにいくと、相談の内容によっては「それは担当者の仕事の範疇じゃないのにな」となってしまい、業務負担の増加につながりかねません。不具合やトラブルの解決方法を教師同士が上手に共有し、自律的に解決していける組織にすることで、特定の教師だけに負担がのしかからないようにしたいものです。

対話と教育で調整を図る

生徒が使う端末の目的は学習用です。しかしながら、使い始めていくと、悪い意味で指導上の一線を越える使い方をしてくる生徒が現れてくるかもしれません。

そこで大事になるのは、「学習用端末であることの意味」を生徒と一緒に考えることです。ルールを破ったから次からは使わないでは、結局のところ、使われない端末になることが自明です。前述のセミナーで湘南学園中学校高等学校の小林教諭に「対話と教育で解決する」という手法を披露いただきましたが、「誰が何をするための端末なのか」という大前提を教師と生徒で改めて確認することで、ベストな使い方を見つけていきたいものです。

モラルやセキュリティ教育への対応

1人1台の環境下では、情報モラルや情報セキュリティ指導はさらに重要視されるでしょう。しかしながら、学校現場では十分な時間を取って指導ができない現状があるので、授業中に折を見て指導するだけでなく、ホームルームや道徳などもうまく活用するとよいでしょう。

その際、規制するだけでは解決につながらない場面も想定されるため、生徒がテクノロジーのさまざまな問題を理解しながら、適切で責任ある行動を取り、ICTをよりポジティブに利活用できるよう指導したいものです。

健康問題の配慮

長時間にわたって画面を見続けると、大人でさえ目の疲れや肩こりといった身体上にトラブルを抱えることがあります。まとまった時間をとって端末で作業をする際は、適度な休憩を挟んだり、教師から声掛けをするなどといった心掛けも必要でしょう。最近では、生徒用のブルーライトカット眼鏡なども販売されていますので、そうしたアイテムを薦めてみるのも一つの手かもしれません。

まとめ

GIGAスクール新年。多くの学校で1人1台の端末の活用に向けて、向き合う日がスタートしていることでしょう。

今回ご紹介したようなちょっとした工夫で実現できるアイデアは、継続的に取り組めば取り組むほどじわじわ効果が上がるものばかりです。ぜひ、ご参考にしていただければと思います。

電算システム(DSK)では、ドキュメントやスライド、Classroom などのツールが一体になった教育期間向けのグループウェアGoogle Workspace for Education」の学校現場への販売を行っています。学校現場での豊富な導入実績もありますので、ぜひ、導入やその後のサポートを検討してみてはいかがでしょうか。

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