Google社製の生成AI「Gemini」は、これまでアドオン(拡張機能)の「Gemini for Google Workspace」として提供されていましたが、その機能がGoogle Workspaceに統合されたことで、追加料金を支払うことなく標準機能としてGeminiを利用できるようになりました。その機能は、新しい名称で「Google Workspace with Gemini」と呼ばれています。
Google Workspace with Geminiは、GmailやGoogleドライブなどの各種サービス内でサイドパネルを呼び出すことで、容易に生成AIの仕組みを利用できる便利なサービスです。しかし、リリース開始直後は日本語に対応していなかったことから、「英語のプロンプト(テキストによる指示)にしか対応していないので使いにくい」という印象を持っていた方も多いのではないでしょうか。
その点、2025年8月時点では、日本語に対応するサービスの種類が増えたことで、誰でも扱いやすいように進化しています。そこで本記事では、Google Workspace with Geminiの日本語対応状況や、対応済みのサービスの種類・特徴などを解説します。
その点、2025年8月時点では、日本語に対応するサービスの種類が増えたことで、誰でも扱いやすいように進化しています。そこで本記事では、Google Workspace with Geminiの日本語対応状況や、対応済みのサービスの種類・特徴などを解説します。
Google Workspace with Geminiは日本語に対応している?
Google Workspace with Geminiは、もともと英語を標準語としてリリースされた製品ですが、提供開始から時間が経つに連れて、徐々に日本語に対応したサービスが増えています。2025年8月時点においては、GmailやGoogleドライブ、Googleチャットなど、Google Workspaceに搭載されているほとんどのサービスが日本語に対応しています。
最近では、各種サービスに含まれた細かい機能も日本語に対応しつつあります。例えば、Google MeetでGeminiを使って自動でメモを作成する際や、Googleドライブのサイドパネルで「@(メンション)」を用いてフォルダを指定する際でも、日本語でAIに指示を与えられるようになりました。
このように、Google Workspace with Geminiの対応言語は徐々に拡大しつつあるので、いままで「日本語に対応していないので使いづらい」と思っていた方でも安心です。わざわざプロンプトを英語に翻訳して指示を与える必要がなくなるため、より効率的かつスムーズにAIを活用できるでしょう。
Google Workspace with Geminiの日本語に対応しているサービス一覧
Google Workspace with Geminiの日本語に対応しているサービスには、次のような種類があります。
- Geminiサイドパネル
- Gmail
- Googleドライブ
- Googleスプレッドシート
- Googleドキュメント
- Googleチャット
- Google Meet
- Googleスライド
- Google Vids
- NotebookLM
ただし、同じサービスでも、まだ日本語に対応していない機能もあるので注意が必要です。そこで、各サービスでどのような機能が日本語に対応しているのか、またどのようなことができるのかを具体的に解説します。
Geminiサイドパネル
Google Workspaceでは、GoogleドライブやGoogleスプレッドシートなどの各種サービスにおいて、画面の右側にパネルを表示させることができます。これは「Geminiサイドパネル」と呼ばれる機能で、プロンプトを入力することで、AIが指示通りのタスクを自動的に実行してくれます。
2024年10月、それまでアルファ版で提供されていたGoogle WorkspaceのGeminiサイドパネルに、日本語を含む7種類の言語が追加されました。これにより、日本語のプロンプトを使ってAIに指示を与えられるようになりました。
Geminiサイドパネルは、GmailやGoogleチャット、Googleドキュメントなど、さまざまなサービスに搭載されています。つまり、このGeminiサイドパネルが日本語に対応したことで、より気軽に各種サービスでGeminiの機能を使えるようになったということです。具体的には、Gmailにおけるドラフトの自動生成やメールの要約、Googleドキュメントにおける文章の自動生成や校正などが、日本語のプロンプトで実行できます。
Gmail
Gmailでは、Geminiを使ってメールの下書きを自動生成できますが、この機能は日本語に対応しています。日本語で指示を与えることが可能なほか、出力される下書きも日本語で表現できます。
実際に機能を利用するには、Gmailにアクセスし、画面左下の文書作成サポートボタンをクリックします。あとは、「営業メール」や「採用面接のお礼メール」といったプロンプトを入力するだけで、AIがその内容に沿ったメールの下書きを作成してくれます。内容に問題があれば、再作成や修正のボタンをクリックすると再び下書きの作成が可能です。
Googleドライブ
Googleドライブでも、Geminiの一部の機能が日本語に対応しています。
例えば、Googleドライブに保存されているPDFファイルや動画ファイルをクリックすると、ファイルの内容を簡易的に確認できるファイルビューアが起動します。Google Workspaceを導入していると、ファイルビューアが起動した段階で、自動的にPDFファイルや動画ファイルの内容をAIが要約してくれます。この際、要約した内容がすべて日本語で表示される仕組みです。
また、2025年5月には、GoogleドライブのGeminiサイドパネルにも日本語対応が可能な機能が追加されました。GoogleドライブのGeminiサイドパネルでは、「@(フォルダ名)内のファイルを要約」といった形で、プロンプトに「@(メンション)」を付けて特定のフォルダを指定できます。これからは、この@付きのプロンプトを日本語で記載できるため、いままでよりも利便性が高まっています。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートは、2025年6月にGeminiの機能が大幅に強化され、より精密なデータ分析を行えるようになりました。スプレッドシート内に含まれたデータの相関関係や変数間コンテキスト傾向などを、AIが正確に読み取れるのが特徴です。そのため、過去のデータにもとづいた将来的な売上の予測や在庫品の異常検知など、従来では難しかった分析や予測を自動的に実行できるようになります。
同じ2025年6月には、上記の機能が日本語に対応するようになりました。そのため、プロンプトを記載する際はもちろん、分析結果やグラフを日本語で出力することも可能です。
Googleドキュメント
Google Workspaceのサービスのなかでも、特に日本語に対応している機能が多いのがGoogleドキュメントです。
GoogleドキュメントでGeminiを使用すると、オリジナルの新しい文章を自動生成できます。この機能を利用するには、まずドキュメントを開いた状態で文章を記載したい場所にカーソルを合わせ、画面左側にある[文書作成サポート]アイコンをクリックします。そして、プロンプトを入力するだけで、その内容に沿った文章をAIが出力してくれます。
また、構成の考案から文章の作成、校正まで、すべての作業をAIに一任することも可能です。この場合は、メニューバーから[ファイル > 新規作成 > ドキュメントサポート]の順にクリックし、作成するドキュメントに関して詳細な指示を与えることで、AIが新規ドキュメントを生成します。
さらに、メニューバーから[挿入 > 画像 > 画像を生成]をクリックすると、プロンプトに沿ったオリジナル画像をAIが自動生成してくれます。ドキュメント内の任意の箇所に挿入できるため、サムネイル画像やインフォグラフィック(情報やデータを視覚的に表現した画像)を使いたい場合に便利です。
ここまでに紹介した機能では、いずれも日本語でのプロンプト入力や出力が可能です。
Googleチャット
Googleチャットでは、リアルタイムに複数人でメッセージをやり取りできます。Google Workspace with Geminiを利用すると、外国語のチャットが入力された段階で、自動的にメッセージが日本語に翻訳されます。自動翻訳を有効にするには、Googleチャットの画面右上の設定アイコンから[メッセージとメディア]をクリックし、[自動翻訳]のトグルボタンをオンにします。
また、Geminiによるメッセージの要約も日本語に対応しています。Googleチャットを開き、要約したいメッセージにカーソルを合わせると、[要約]のボタンが表示されるようになります。そのボタンをクリックすると、原文の下にAIによって要約された文章が表示される仕組みです。
Google Meet
Google Meetでは、Web会議中にGeminiを使って自動的にメモを作成できます。Web会議中の会話内容をAIが解析し、その内容をテキスト形式で出力してくれるため、議事録作成の手間を大幅に削減できるのが利点です。また、メモのなかに「これまでの概要」が表示されるため、Web会議に遅れて参加した人でも一目でいままでの会話の内容を汲み取れます。
2025年3月には、この自動メモ生成機能が日本語に対応するようになりました。そのため、日本語の会話内容でも精密にAIが解析できるほか、その内容を日本語で出力することも可能です。
自動メモ生成機能を利用するには、Web会議画面の右上にある[Geminiでメモを生成]アイコンをクリックします。そして、[メモの作成を開始]をクリックした段階からAIが作業を開始します。作業を中断したい場合は停止ボタンをクリックするだけです。
Googleスライド
Googleスライドでプレゼン資料を作成する際は画像を使用する機会が多いものですが、Google Workspace with Geminiを活用することで、自動的に必要な画像を生成できます。この画像生成機能は、英語や中国語、フランス語など20種類以上の言語に対応しており、そのなかには日本語も含まれています。つまり、日本語でプロンプトを入力した場合でも、正確にユーザーの意図を読み取って画像を生成できるということです。
画像生成機能を利用するには、編集画面で画像を追加したいスライドを選択します。そして、メニューバーから[挿入 > 画像 > 画像の生成]の順にクリックし、プロンプトを入力すれば、その内容に沿った画像をAIが自動的に作成してくれる仕組みです。画像の生成後、[スタイルの追加]をクリックすると画像のカスタマイズを行えます。
Google Vids
Google Vidsは、Google Workspaceに搭載されている生成AI型の動画作成サービスです。Google社の最新動画生成AIモデル「Veo 3」が採用されており、プロンプトを入力するだけで、AIがその内容に沿った動画を自動生成してくれます。そのほか、トリミングやテロップ追加など、生成した動画をその場で編集することも可能です。
2025年8月時点でGoogle Vidsは日本語のプロンプトには対応していません。ただし、Google Vidsで画像を生成する場合のみ、日本語でプロンプトを入力することはできます。
Google Vidsで画像を生成するには、まず任意の動画を開き、メニューバーから[挿入 > 画像を生成]の順にクリックします。そして、プロンプトを入力するとAIが画像を生成してくれます。動画のなかで使用する画像素材を手軽に作成できるため、動画編集の効率化につながります。
NotebookLM
NotebookLMとは、さまざまなデータソースを指定してGeminiの機能を利用できるサービスです。データソースには、テキストファイルや画像、動画、PDF、WebサイトのURLなど、あらゆる形式のデータを指定できます。
例えば、複数の会議資料や契約書をアップロードすれば、社内ドキュメントの整理や要約、ナレッジベース構築といった作業の自動化が可能です。また、Audio Overviews(音声概要)機能により、ポッドキャスト形式の音声データを出力できるのもポイントです。
2025年4月30日には、NotebookLM内で日本語を含む50以上の言語を利用できるようになりました。
Google Workspace with Geminiの言語を変更する方法
Google Workspace with Geminiでは、日本語に対応する機能も徐々に増えてきましたが、なかにはまだ日本語に対応していないものも存在します。日本語未対応の機能を利用する場合は、Googleアカウントから言語を変更する必要があります。
Google Workspace with Geminiの言語を変更するには、Googleアカウントの管理画面にアクセスします。Googleトップページのアプリ一覧のアイコンから、[アカウント]をクリックするだけでアクセスすることが可能です。

左側のメニューバーから[個人情報]をクリックします。

画面を下にスクロールし、[ウェブ向けの全般設定]のなかにある[言語]をクリックしてください。

画面右側にある[言語を変更]のアイコンをクリックします。

すると、[メインの言語を変更]の画面が現れるので、選択肢のなかから日本語に代わる言語を選択しましょう。
Google Workspace with Geminiを使って日常業務の効率性を高めよう
2024年10月にGeminiサイドパネルが日本語に対応するようになってから、そのほかのさまざまなGoogle Workspaceのサービスも対応言語が広がりつつあります。これにより、AIに対するプロンプトや生成コンテンツを日本語で表現できるようになるため、ビジネスの現場でもGeminiを活用しやすくなるはずです。
Google Workspace with Geminiを活用すると、GmailやGoogleドライブなどの各種サービスを使って、文章の作成や要約、資料の分析などの作業を自動的に処理できます。ほとんどの作業はGeminiサイドパネルにプロンプトを入力するだけなので、初めて利用する方にとっても使いやすいのが利点です。
電算システムでは、Google Workspaceだけでなく、Google Workspace with Geminiの導入支援サービスを提供しています。Geminiの活用方法や体系的な知識を学べるハンズオントレーニングやワークショップ、カスタマイズトレーニングを提供しており、Google Workspace with Geminiのスムーズな定着を支援します。Google Workspace with Geminiの特徴や機能、最新情報などに関しては、以下の資料で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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