業務で扱う書類や資料はは多くのビジネスシーンで活用されていますが、その管理に課題を感じている企業は少なくありません。管理が不十分な場合、必要な情報をすぐに見つけられなかったり、社内のナレッジ活用やコンプライアンスの徹底が難しくなったりすることもあるでしょう。こうした課題の解決策の1つが、書類管理のデジタル化です。
書類をデジタル化することで、紛失リスクを抑えられるだけでなく、検索やデータ分析も容易になります。書類のデジタル化に役立つツールは多数存在しますが、すでに社内でGoogle Cloudを利用している場合は、Document AIの活用を検討してみてはいかがでしょうか。Document AIはGoogle Cloudで利用できるサービスで、書類のデジタル化だけでなく、情報の抽出や検索などにも応用できます。本記事では、Document AIの基本的な概要から主要機能、料金プランまで解説します。Google Cloudを導入済みで社内の文書管理にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
Document AIは文書のデジタル化・解析を行えるGoogle Cloud上のクラウドサービス
Document AIは、Google Cloud上で利用できるクラウドサービスです。紙の書類やPDFなどのデータを読み取り、書類のデータ化や情報抽出を行うことができます。
例えば、請求書や申請書などの書類から、必要な情報を自動で抽出し、構造化データ(JSON形式など)として取得することが可能です。
▼対応している形式の例
- 手書きの書類
- 印刷された書類
- PDFファイル
- 文字が含まれる画像データ
▼読み取れる情報の例(JSON形式で抽出)
- 名前
- 住所
- 電話番号
- 日付
- 金額
- メールアドレス
参照元:Document AI|Google公式
参照元:Document AI を試す|Google公式
Document AIの機能
Document AIでは、書類のデータ化や情報抽出などの処理を行う「プロセッサ」という機能を利用します。ここでは主なプロセッサの種類を3つに分けて解説します。
汎用プロセッサ
汎用プロセッサは、さまざまな書類に対して幅広く利用できるAIモデルです。APIを有効にするだけで利用できるため、複雑な設定を行わなくてもすぐに活用できます。
▼汎用プロセッサの例
| OCR プロセッサ | 画像やPDF内のテキストを抽出 |
| Form パーサー | フォーム形式の書類からキーと値のペアとして情報を抽出(後続処理に連携しやすい形式) |
参照元:Enterprise Document OCR|Google公式
参照元:Form パーサー|Google公式
専用プロセッサ
専用プロセッサは、領収書や請求書など特定の用途向けに最適化されたAIモデルです。頻繁に利用される書類を効率的に解析できるほか、アップトレーニングを行うことで、自社の業務に合わせてカスタマイズできるプロセッサも存在します。
参照元:プロセッサ リスト|Google公式
参照元:事前トレーニング済みプロセッサをアップトレーニングする|Google公式
カスタムプロセッサ
カスタムプロセッサは、業界独自のフォーマットなど、事前トレーニング済みのプロセッサでは対応できない書類に対応するための機能です。自社のドキュメントを教師データとして学習させることで、自社業務に特化したモデルを容易に構築できます。
▼カスタムプロセッサの例
| カスタムドキュメントエクストラクタ | 事前に設定した内容に沿って、ドキュメントから任意の項目を抽出 |
| カスタムドキュメント分類器 | 事前に学習した内容に沿って、ドキュメントをカテゴリに分類 |
| カスタムドキュメントスプリッター | 事前にトレーニングした内容に沿って、サイズの大きいドキュメントの境界を特定して分割 |
| サマライザ | ドキュメントの内容を要約 |
Document AIでできる3つのこと
ここでは、Document AIを活用して実現できる主な用途を3つ紹介します。
書類処理の自動化
営業資料や請求書、申請書などの書類を扱う業務では、多くの情報を手作業で入力・管理する必要があります。Document AIには高度なOCR技術が搭載されており、紙やPDFの書類から文字情報を読み取ることが可能です。
※OCR:画像やPDFに含まれる文字を読み取り、コンピューターで使えるテキストデータに変換する技術
OCRを活用すれば、これまで紙媒体で行ってきた業務のデジタル化・自動化が可能です。その結果、手作業で行ってきた書類入力などの作業を効率化でき、従業員はより付加価値の高い業務に集中できる様になります。
書類データの分析・活用
Document AIでは、書類から抽出した情報を構造化データとして取得できます。例えば、請求書や申請書から金額・日付・会社名などの情報を自動で抽出し、データとして管理することが可能です。これにより、書類データの集計や分析がしやすくなり、業務改善やマーケティング分析、意思決定などに役立てることができます。
書類の検索・管理の効率化
Document AIで抽出したデータを活用することで、書類の検索や管理を効率化できます。例えば、名前・日付・金額などの情報をもとに検索できるため、大量の書類の中から必要な情報をすばやく見つけることが可能です。これにより、契約書や申請書、帳簿などの管理業務を効率化できます。
Document AIの3つの注意点
ここでは、Document AIを導入・運用する際に注意しておきたいポイントを3つ解説します。
利用状況次第では高額になる恐れ
Document AIは処理したドキュメント数に応じて料金が発生する従量課金制のサービスです。合理的な料金体系である一方、利用状況を正確に把握できていない場合、想定以上のコストが発生する可能性があります。特に、トレーニングの実行やドキュメント処理を大量に行う場合は、コストが大きくかさむ恐れがあります。
そのため、導入前には削減できる業務コストと利用料を比較し、費用対効果を検討することが重要です。判断しづらい場合は、まずはスモールスタートで導入し、効果を検証する方法も有効です。
正しく画像認識できるとは限らない
Document AIはAIを活用した文字認識や情報抽出を行いますが、認識精度が常に100%になるわけではありません。手書き文字が読み取りづらい場合や画像がぼやけている場合は、誤認識が発生する可能性があります。そのため、AIの認識結果を過信せず、結果の確認や必要に応じた手動での修正も取り入れなければなりません。
専門知識がないと使いこなせない
Document AIを高度に活用する場合は、一定のITリテラシーが求められます。事前トレーニング済みプロセッサを利用する場合でも、Google Cloudプロジェクトの設定やAPIの利用方法を理解しておく必要があります。また、カスタムプロセッサで独自AIモデルを構築する場合は、教師データの作成やラベリング(アノテーション)など、機械学習の基本的な知識が必要です。これらの専門知識に不安がある場合は、社内教育や外部パートナーへの委託も検討しましょう。
Document AIの導入プロセス
1.Enable the APIにアクセス

2.「Go to project selector」をクリック

3.プロジェクトの存在を確認
4.「Enable the API」をクリック

5.プロジェクトを確認

6.APIを有効化

Document AIの料金体系
Document AIの料金体系は以下のとおりです。
【テキストをデジタル化】
| プロセッサ | 1~5,000,000ページ以上/月 | 5,000,001ページ以上/月 |
| Enterprise Document OCR プロセッサ | 1,000ページあたり $1.50 | 1,000ページあたり$0.60 |
| OCR アドオン | 1,000ページあたり $6 | 1,000ページあたり$6 |
【ドキュメントから構造とエンティティを抽出する】
| プロセッサ | 1~1,000,000ページ以上/月 | 1,000,001ページ以上/月 |
| カスタム エクストラクタ | 1,000 ページあたり $30 | 1,000ページあたり $20 |
| Form パーサー | 1,000 ページあたり $30 | 1,000ページあたり $20 |
| レイアウト パーサー (初期チャンク化を含む) |
1,000 ページあたり $10 | 1,000ページあたり $10 |
【ドキュメントをチャンクに分割する】
| プロセッサ | 料金 |
| 解析済みドキュメントの再チャンク化 | 1,000 ページあたり $0.02 |
【ドキュメントの分類】
| プロセッサ | 1~1,000,000ページ以上/月 | 1,000,001ページ以上/月 |
| カスタム スプリッター | 1,000 ページあたり $5 | 1,000 ページあたり $3 |
| カスタム分類器 | 1,000 ページあたり $5 | 1,000 ページあたり $3 |
| Summarizer | 1,000 ページあたり $25 | 1,000 ページあたり $25 |
【サービスティア】
| 階層 | 料金 |
| プロビジョニング済み | 1 か月あたり 1 分あたりの追加ページごとに 300 米ドル |
【カスタムプロセッサのホスティング】
<ホスティング料金>
| オペレーション | 料金 |
| ホスティング | 作成したデプロイ済みプロセッサ バージョン 1 時間あたり $0.05 |
<事前トレーニング済みプロセッサの料金>
| プロセッサ | 料金 |
| Invoice パーサー | ドキュメントの 10 ページにつき $0.10 |
| 経費精算所パーサー(旧領収書パーサー) | ドキュメントの 10 ページにつき $0.10 |
| 光熱費明細書パーサー | ドキュメントの 10 ページにつき $0.10 |
| 調達ドキュメント スプリッターおよび分類器 | $0.05/分類済みドキュメント |
| 銀行明細書パーサー | $0.75/分類済みドキュメント |
| 支払い明細パーサー | $0.30/分類済みドキュメント |
| W2 パーサー | $0.30/分類済みドキュメント |
| 貸与ドキュメントの分割と分類 | $0.05/分類済みドキュメント |
| 米国運転免許証パーサー | ドキュメントあたり $0.10 |
| 米国パスポート パーサー | ドキュメントあたり $0.10 |
| 身分証明 | ドキュメントあたり $0.10 |
参照元:Document AI の料金|Google公式
※2026年3月時点
※いずれも税抜
Document AIでドキュメントからデータ抽出することでデータの取り扱いを容易に
Document AIは、Google Cloud上で利用できるクラウドサービスです。紙の書類やPDFからデータを抽出し、書類のデジタル化や情報の整理活用を効率化できます。これにより、書類管理の効率化や情報検索の迅速化など、さまざまな業務改善につなげることが可能です。
一方で、AIによる認識精度が完全ではないため、結果の確認や手動修正が必要になるケースがあります。また、カスタムプロセッサなど高度な機能を活用する場合は、Google Cloudの設定や機械学習の知識が求められる点にも注意が必要です。Document AIは従量課金制のサービスのため、導入前には料金体系を確認し、利用料に応じたコストを把握しておくことが重要です。
なお、Document AIはGoogle Cloud上で利用できるサービスです。Google Cloudの導入・運用について電算システムがサポートしています。詳しく知りたい方は、以下のページから気軽にお問い合わせください。
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- Google Workspace
- キーワード:
- Document AI




