Google が提供するグループウェアサービスの 「Google Workspace(旧 G Suite)」ではシンプルに3つのプランが用意されています。最も低コストで基本的なプランを揃えた Basic、中堅以上の環境に適した Business、そして大企業やセキュリティ要件が厳しい組織向けの Enterprise です。
現在 Google Workspace(旧 G Suite)を検討されている方の中で、自社が中小~中堅企業という場合は Basic か Business を選択される場合が多いかと思います。しかし、プランの選択は組織の規模だけで決まるわけではありません。公共性が高かったり、個人情報や機密情報を特に取り扱い場合などは、小規模な組織でも Enterprise のプランも視野に入ってきます。
「Enterprise」という名前なので大企業での利用を想定しがちですが、それだけではない 旧 G Suite Enterprise のメリットについてご紹介します。
旧 G Suite Enterprise ならではの機能とは?
Google Workspace(旧 G Suite)が提供するサービスが大まかに次のように分類されています。
- Gmail
- カレンダー
- Google+
- GoogleハングアウトMeet
- ドキュメント
- スプレッドシート
- スライド
- フォーム
- Googleドライブ
- Googleサイト
- Keep
- Jamboard
- Cloud Search
- 管理コンソール
- モバイル管理
- Google Vault
各サービスには細かい機能が備わっており、プランによって使用できる機能が異なります。では、その中で Enterprise だけの機能とは何でしょうか?
≪ 旧 G Suite Enterprise だけで使用できる機能≫
- Gmail のデータ損失防止(DLP)
- Googleドライブ のデータ損失防止(DLP)
- Gmail のホスト型S/MIME通信
- サードパーティー製アーカイブサービスとの統合
- セキュリティキー使用の強制
- BigQueryでの Gmail ログ分析
- 画像スキャンによるテキスト検出
- セキュリティセンター
- GoogleハングアウトMeet での最大参加者数50名(通常30名)
- 会議を録画してドライブに保存
- 電話での会議参加
- 端末管理ルールの設定
以上が Enterprise ならではの機能です。次にそれぞれの機能についてご紹介します。
旧 G Suite Enterprise 各機能の詳細
Gmail および Googleドライブ のデータ損失防止(DLP)
データ損失防止(DLP)とはユーザーのミスによるデータ削除や誤送信を防いで、機密情報の損失防止と情報漏えい防止を実現する機能です。グループウェアにおいて高度なセキュリティを維持するためには重要な機能になります。
その中でも光学式文字認識を使用して画像を読み取る機能に優れています。データ損失防止はメール文内やドキュメントに含まれる個人情報などの重要情報を特定して、ルールに基づいてその処理を決定します。しかし、個人情報が画像に含まれる場合はルールを適用できない場合があります。
Enterprise で提供されるデータ損失防止は高精度な画像スキャンによってテキストを検出し、ルールに違反するようなメールや添付ファイルの送信を防止します。
Gmail のホスト型S/MIME通信
S/MIME通信とはメールの暗号化とメールへの電子署名付与が主な役割です。送受信したメールが第三者によって盗聴されたり成りすましが起きないようセキュリティを強化します。
サードパーティー製アーカイブサービスのとの統合
企業が保有するデータは年々増加傾向にあります。そこで多くの企業が導入するサービスがデータアーカイブです。大量のデータを閲覧・加工可能な状態に保存するためにデータアーカイブを使用している場合、これを Google Workspace(旧 G Suite)と統合できます。サードパーティー製アーカイブサービスを使い続けることで従来通りのデータ管理環境を維持し、Google Workspace(旧 G Suite)によって新しいコミュニケーション基盤を作りつつデータを適切に管理できます。
セキュリティキー使用の強制
セキュリティキーとは Google Workspace(旧 G Suite)で2段階認証を可能にするための小型デバイスです。パソコンのUSBポートに接続するかBluetoothを使用して接続し認証を行います。パスワードやPINコードではなくユーザーが所持するセキュリティキーで2段階認証を行えば、セキュリティはグンと向上して第三者による不正ログインなどを防止できます。Enterprise ではこのセキュリティキーの強制使用を設定できます。管理者が設定した期間に従ってユーザーは必ずセキュリティキーを使用せねばならないため、強力なセキュリティを確保できます。
BigQueryでの Gmail ログ分析
BigQueryとは Google Cloud Platform (GCP) で提供されるビッグデータ解析プラットフォームです。この機能を使用すると高性能なカスタムクエリを使って Gmail ログを分析したり、ユーザーが指定した保存期間に応じて Gmail データを保持したりと Gmail に関するデータ分析やセキュリティ強化が実現できます。さらに Googleデータスタジオ などのツールを用いてレポートを作成することも可能です。
セキュリティセンター
セキュリティセンターは高度な管理機能を備えた Enterprise ならではの機能です。外部ユーザーと共有されたファイルやデータ損失防止ルールに抵触したファイルなどについて把握したり、迷惑メール・フィッシング・不審なメール・不正なソフトウェアを含むとみなされたメールを分析しブロックします。
GoogleハングアウトMeet での最大参加者数50名(通常30名)
Basic と Business における GoogleハングアウトMeet の最大参加人数が30名なのに対し、Enterprise では最大50名が参加できます。これはセキュリティ機能ではありませんが、多くの参加者に対する会議を開催するような場合には有効でしょう。
会議を録画してドライブに保存
Enterprise ではパソコン、Android 、iPhoneおよびiPadにてオンライン会議を録画してドライブに保存しそれを共有できます。
電話での会議参加
Enterprise では電話番号からのオンライン会議参加が可能です。
(2018年4月現在、日本ではまだ提供されておりません)
端末管理ルールの設定
Android端末やiOS端末で特定のイベントが検出されたときにトリガーされる操作を設定することにより、イベントが発生したときに管理者に通知メールを送信したり、端末をブロックまたは承認したり、端末から企業アカウントをワイプしたりできます。
旧 G Suite Enterprise は中小企業でも利点が多い
昨今の情報セキュリティは保護すべき対象(AI、IoT、仮想通貨など)が一気に増加していくことからサイバー攻撃の高度化、巧妙化が予測されています。実際に多くの企業がAIやIoTを活用したサービスを展開し、ビジネスとして成功を収めています。しかし、こうしたテクノロジーが進歩することで取得できるデータは増大し、企業の情報資源も増えていきます。これは大企業に限らず中小企業であっても同じです。
情報資源が増えるということはそれを狙うサイバー攻撃も増加するということ。世界中の企業が今、セキュリティとコンプライアンスの強化という課題に直面しています。そこで Enterprise が備えている多数のセキュリティ機能・コンプライアンス機能を使用することは、将来的に深刻化するであろうサイバー攻撃への備えになるでしょう。
また、既に高度なセキュリティやコンプライアンスを必要としている企業の最適解ともなるでしょう。
しかしながら、実際には要件に合わせたプランの選択は難しい場合もあります。DSKではこれまで積み重ねてきた多くの経験をもとに、お客様の要件と適切なソリューションをご提案いたします。ぜひご相談ください。