Google Workspaceとは、GmailやGoogleドライブといったGoogleのサービスが1つにパッケージされたグループウェアです。Google Workspaceを導入すると社内コミュニケーションを円滑にする効果を見込めますが、アプリケーションの種類が多いため、管理者業務が煩雑になりやすい傾向があります。
そこで、すべてのアプリケーションの設定内容を一括で変更できる管理コンソールが役立ちます。管理コンソールでは具体的に、アカウント変更やセキュリティ対策、端末管理などを実施できるため、アプリケーション個別に設定を行う手間を抑えられます。
本記事では、管理コンソールの特徴や機能、使い方を詳しく解説します。同機能をうまく活用することで、手間なくグループウェアを運用できるため、Google Workspaceの導入を検討している方は参考にしてください。
Google Workspaceの管理コンソールとはアプリケーションの一括設定が可能な機能
Google Workspaceの管理コンソールとは、Google Workspaceに搭載されている数多くのアプリケーションの一元管理や一括設定を行うための機能です。Google Workspaceに搭載されているアプリケーションは、セキュリティ機能やアドオンを含めれば20種類近くにもおよびます。これらのアプリケーションを個別にユーザー管理したり、設定を行っていたりすると、管理者業務が煩雑化しがちです。
管理コンソールであれば、組織アカウントへのユーザー登録やアプリケーションの有効・無効の一括設定、セキュリティの統合管理などを簡易的な操作のみで実行できます。また、Google Workspaceの利用状況をリアルタイムに確認できるのも特徴です。このような機能を活用することで、煩雑化しがちな管理者業務の効率化につながります。
Google Workspaceの管理コンソールでできること
Google Workspaceの管理コンソールには次のような機能が搭載されています。
- ユーザー管理
- グループ管理
- アプリケーション管理
- 端末管理
- セキュリティ管理
- レポート
管理コンソールを利用する際は、あらかじめ具体的なできることを理解することが重要です。それぞれの機能の特徴や設定可能な項目について解説します。
ユーザー管理
管理コンソールでは、Google Workspaceの各アプリケーションを利用するユーザー(アカウント)情報を一括で設定できます。ユーザーの追加や削除、情報の更新、権限付与などをまとめて処理できるため、設定作業の効率化が可能です。
また、Google Workspace全体を通した一元的なユーザー管理を行えるのもポイントです。これにより、例えば退職や異動が生じた場合でも、削除すべきアカウントが明確になるため、データの不正持ち出しや不正利用のリスクを抑えられます。
グループ管理
グループ管理とは、Google Workspace 内でユーザーをグループ化し、効率的にコミュニケーションやリソース共有を行うための機能です。特定の部門やチーム、プロジェクトなど、共通の目的を持つユーザーをグループにまとめることで、メールの一斉送信、Google Meet への招待、Google ドライブでのファイル共有などを容易に行えます。
管理コンソールでは、グループの作成、メンバーの追加・削除、グループ設定の変更など、グループに関する様々な管理操作が可能です。また、グループのアクセス権限を設定することで、特定のグループメンバーだけがアクセスできる共有ドライブやカレンダーを作成することもできます。
Google グループを活用することで、組織内コミュニケーションの活性化、情報共有の効率化、コラボレーションの促進を実現できます。
アプリケーション管理
管理コンソールを利用すると、アプリケーションの設定内容を一括変更できます。例えば、アプリケーションの有効化・無効化をワンクリックで処理する機能が代表的です。ほかにもGmailならPOPやIMAPの制御、Googleドライブであればファイル共有の制限など、それぞれのアプリケーションの設定を一括で変更できます。
管理コンソールでは、Google Workspace のコアアプリであるGmail、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、Meet、カレンダーなど、それぞれのアプリに応じてきめ細かい設定変更が可能です。
これらの設定変更を一元的に行えることで、管理者は組織全体のセキュリティ向上や使用感を統一させることができます。
端末管理
端末管理にアクセスすると、組織内で利用している端末を一目で確認できます。また、使用する端末やWebブラウザの制御、Google Chrome拡張機能の一括配布といった設定も可能です。不正な端末からアクセスがあった場合は、強制ログアウトや端末のブロックなどの処理を行えるため、Google Workspace全体の安全性を向上できます。
セキュリティ管理
セキュリティ管理では、Google Workspace全体のセキュリティ対策を設定・変更できます。例えば、2段階認証の強制化や不審検知時のアラートメール、アクセス制限などのセキュリティ対策があげられます。管理コンソールで設定した内容は各アプリケーションにも反映されるため、個別にセキュリティ管理を行う手間を抑えられるのが利点です。
レポート
管理コンソールのレポートには、Google Workspaceに対するアクセス状況やアプリケーションごとの使用容量などがまとめられています。Google Workspace全体の利用状況を時系列で確認できるのが特徴です。仮に目標よりもアクセス数が低い場合は、システム定着化に向けた取り組みが不足している可能性が考えられます。
また、アクティビティログや2段階認証の実施状況もレポート化できるため、セキュリティ対策としても効果的です。情報漏えいや不正利用のリスクを抑えられるよう、レポートの内容は定期的に確認しましょう。
Google Workspaceの管理コンソールを利用する2つのメリット
さまざまな種類のアプリケーションが搭載されているGoogle Workspaceだけあり、管理コンソールを利用すると、管理者業務の効率化やセキュリティ強化などの恩恵を得られます。ここでは、管理コンソールのメリットを詳しく解説します。
管理者業務の効率化
組織でGoogle Workspaceを運用する場合、責任ある管理者によるアカウントやセキュリティの管理が不可欠です。しかし、管理コンソールのような仕組みがなければ、アプリケーション個別に設定や内容変更を行わなければならず、ユーザー数が多くなるほど膨大な手間がかかります。
管理コンソールにアクセスすると、ユーザーからアプリケーション、端末、セキュリティまで、Google Workspace全体を通して一括での設定や内容変更が可能です。また、専用のアプリケーションを用いることなく、外部サービスからスムーズにデータを移行できます。このような利点から管理コンソールは、管理者業務の効率化に効果を発揮します。
情報漏えいや不正利用の防止
管理コンソールを利用すると、各ユーザーがアクセス可能なアプリケーションを柔軟に制御できます。例えば、DKIM(送信ドメイン認証技術)を使ってGmailでのなりすましを防ぐ、アプリケーションへのログイン時に2段階認証を強制するといった方法が代表的です。このようなセキュリティ対策は管理コンソール上で一括設定できます。
また、ダッシュボードにリアルタイムなセキュリティ状況を可視化できるのも特徴です。外部サービスと共有したファイルの数や種類、迷惑メールの件数などを一目で把握できます。Google Workspace全体の安全性や脅威を正確に理解できるため、結果的に情報漏えいや不正利用の防止につながります。
Google Workspaceの管理コンソールの導入から運用開始までの3ステップ
管理コンソールの導入から運用開始までの流れは次の通りです。
- Google Workspaceのサービス登録
- Google Workspaceへのログイン
- ユーザー追加
手順ごとに進め方やポイントを解説します。
1. Google Workspaceのサービス登録
Google Workspaceの公式サイトにアクセスし、[無料試用を開始]をクリックします。
会社名を入力し、従業員数と地域を選択してください。
あわせて管理者の氏名とメールアドレスも入力します。
次に、Google Workspace専用のメールアドレスを作成するか、既存のGmailアドレスを利用するかを選択しましょう。
Google Workspaceでは、Gmailを利用してメールを送受信する機会が多いため、事業用として利用するなら独自ドメインを取得するのがおすすめです。すでにGmailの独自ドメインを保有している場合は、[既存のドメインを使用して設定する]を選択すると良いでしょう。
既存のGmailアドレスを利用する場合、Googleアカウントへのログインが必要です。
最後に支払方法を設定すればGoogle Workspaceへの登録は完了です。
2. Google Workspaceへのログイン
管理コンソールのログインページにアクセスします。[アカウントを追加してください]をクリックし、先ほど登録した管理者用のGmailアドレスでGoogleアカウントにログインしてください。
上記の手順で一度でもアカウントを追加すれば、2回目以降はそのアカウントをクリックするだけでログインできます。
3. ユーザー追加
Google Workspaceへの登録が完了した後は、参加するユーザーをシステムに登録しましょう。Enterpriseプラン以外は300名まで、Enterpriseプランは上限なしでユーザーを登録できます。
ユーザーを追加する流れは次の通りです。
- 管理コンソールのメニューから[ユーザー]をクリック
- そのなかから[新しいユーザーの追加]を選択
- 追加したいユーザー名を入力し、メールアドレスを登録
- 登録したメールアドレス宛てに通知が届くので許可
登録するユーザー数が多い場合は、ExcelやGoogleスプレッドシートなどにユーザー名とメールアドレスを入力し、CSVファイルとしてアップロードするのがおすすめです。
Google Workspaceの管理コンソールに関するよくある疑問
管理コンソールを利用するにあたり、「ログインできない」「料金体系がわかりにくい」など、さまざまな疑問が発生しがちです。ここでは、FAQ方式でよくある疑問を紹介します。
管理コンソールにログインできない場合の解決策は?
管理コンソールにログインできない場合、さまざまな原因が考えられます。代表的なパターンとその対処法は次の通りです。
ログインできないパターン | 対処法 |
ログインパスワードがわからない | アカウント管理者に問い合わせるか、ログインページ上の[パスワードをお忘れの場合]をクリック |
ユーザー名がわからない | ログインページ上の[メールアドレスをお忘れの場合]をクリック |
エラーが表示される | メールアドレスがGoogle Workspaceに登録されているかを確認するか、Googleの問い合わせフォームに相談 |
2段階認証で拒否される | パスワードを再設定した管理者に認証コードを問い合わせるか、Googleの問い合わせフォームに相談 |
Googleの問い合わせフォームでは、管理コンソールのログインに関する問題のみに絞り込んで相談できるため、問題の早期解決につながります。
問い合わせ内容や該当するアカウントなどを選択し、Googleからの回答を待ちましょう。
管理コンソールは無料アカウントでも利用できる?
管理コンソールはGoogle Workspace専用の機能であり、無料アカウントでの利用は不可能です。Google Workspaceの料金体系は有料プランのみで、無料アカウントには対応していません。
ただし、14日間のトライアル期間中は無料で管理コンソールにアクセスできます。管理コンソールの操作性や機能性を検証する場合は、トライアル期間中に使い勝手を確かめておくと良いでしょう。
管理コンソールを利用する際に追加料金はかかる?
管理コンソールはGoogle Workspaceに標準搭載されている機能です。そのため、追加料金なしですべての機能を利用できます。
有料版のGoogle Workspaceを活用して社内コミュニケーションを円滑に
Google Workspaceは、Googleのさまざまな有料サービスがパッケージ化されたツールです。有料版のGmailやGoogleドライブ、Google Meetなどのコミュニケーションツールが豊富で、グループウェアとして位置付けられています。
本来、Googleのサービスは無料で利用できますが、有料版にアップグレードすることでドライブ容量や会議参加人数の拡張、セキュリティ機能の追加といったメリットが生まれます。また、先ほどから紹介している、管理コンソールで組織全体のアカウントや設定を一元管理できるのも利点です。
有料版といっても無料版のサービスと使い勝手は変わらないため、誰でもすぐに操作に馴染めるでしょう。Google Workspaceを導入することで、メールやチャット、Web会議、スケジュール管理などを一つのプラットフォーム上で実行できるため、スムーズな社内コミュニケーションにつながります。
Google Workspaceの管理コンソールで管理者業務の効率化を図ろう
Google Workspaceを利用するうえで管理コンソールは不可欠な存在です。グループウェアのなかには、ユーザー管理やセキュリティ機能の設定などはアプリケーション個別に実施するものもありますが、Google Workspaceの管理コンソールを使うと一括で処理を行えます。そのため、煩雑化しがちな管理者業務の効率化が可能です。
そもそもGoogle Workspaceとは、GmailやGoogleドライブ、Google Meetなどが統合された、社内コミュニケーションを円滑にするためのツールです。メールやチャット、Web会議などの社内コミュニケーションを一元管理できるため、属人化の抑制や情報共有の促進に効果を発揮します。
Google Workspaceの特徴や導入方法に関しては、こちらの資料で詳しく紹介しています。グループウェアの導入を検討している方や、情報共有不足で悩まされている場合は、ぜひ資料を参考にGoogle Workspaceの活用を視野に入れてみてください。
監修者

Google Workspace のエンジニア資格はもちろん、ChromeOS、Google Cloud (旧GCP)の資格も保有。
顧客と伴走し Google サービスを効果的に活用していただく支援をしております。
趣味は落語。
<保有資格>
・Associate Cloud Engineer
・Professional Google Workspace Administrator
・Professional Cloud Architect
・Professional Cloud Security Engineer
・Professional ChromeOS Administrator
・Certified Educator Level 1
・Certified Educator Level 2







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- Google Workspace
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- 管理コンソール